スイカの効能を陰陽五行説で解説!夏の暑さに効く薬膳効果とは?

箱に書かれた『西瓜』の文字とスイカのイラスト、由来に関する小さな説明文が記載された画像
スイカの名前の由来が書かれた箱。夏の風物詩の秘密とは?

こんにちは、李哲です。
以前、患者さんから頂いた果物、梨・イチゴ・ブドウを説明しました。夏がそろそろ終わりで遅くなりましたが、今回はスイカについてお話しします。

薬草の著作を見ると、スイカは夏の暑さを和らげる効能が強調されています。言い換えると、スイカは熱を冷ます薬物に近い効能がある。梨が肺を潤すのに優れているのに対し、スイカは全身の熱を取り除き、津液を補充するイメージです。

スイカのどんな薬効があるのか、陰陽五行説から分析してみました。参考になると幸いです。

目次

スイカの表面は緑と黒で、腎と膀胱に良い

スイカの皮は、色から見ると緑と黒が目立ちます。

緑と黒は陰陽五行説で「水」に属し、腎と膀胱に関連しています。 つまり、緑と黒の食べ物は腎と膀胱に良いということです。

ただし、スイカの皮は通常食べませんね。薬膳では皮を乾燥させて使うこともありますが、今回は果肉を中心に分析します。

スイカの中身を分析:心と小腸に大変良い!

スイカの果肉は赤い実とジューシーな水分で構成されています。

赤いのは陰陽五行説で心の色。 つまり、赤い食べ物は心と小腸に良い意味です。

皿に盛り付けられた赤くてみずみずしいスイカの切り身が並んでいる画像
スイカの果肉は赤いので、心に良い!

次に味を分析します。

一言で表現すると、甘い! スイカはみずみずしく、甘さが際立ちます。品種によってはほのかな酸味もありますが、基本は甘さが特徴です。

甘いのは陰陽五行説で「脾胃」に属します。

スイカの味は甘くて「脾胃」に良い。果肉は赤くて「心」に良い。この2つは矛盾しません。

陰陽五行説で、心は火。
②脾胃は土に属する。
③火は土を生み、「火生土」の関係。

スイカの甘い味と豊富な水分は脾胃を養い、「火生土」の関係で脾胃の機能を高めます。さらに、赤い果肉は心を清め、熱を取り除く作用があります。つまり、スイカは心の熱を冷まし、津液を補充する作用が大きい。歴代の薬草書でも、暑気あたりや喉の渇きを癒す効果が強調されています。

スイカは心の「熱証」を冷ますことで有名

スイカは心の熱を冷ます作用が強いと論じました。心の熱証とは、具体的にはどんな症状でしょうか?一言でいうと、夏の暑さによる不調や心の過熱です。

心の熱証のときに現れる症状は、

  • 口の渇き・喉の渇き
  • イライラや落ち着きのなさ
  • 熱っぽさや発汗過多
  • 尿が濃い・量が少ない
  • 不眠や動悸…などなど。

上記の症状があるとき、スイカを食べると改善が見られます。

ただし、スイカはあくまで果物であり、薬ではありません。症状が改善しない場合は、漢方薬や鍼灸など専門的な治療を受けてください。

たとえば高熱を下げるとき、伝統的な漢方薬ではスイカを処方しないで、石膏という生薬をよく使います。石膏が入った有名な漢方薬はいろいろありますが、白虎加人参湯がその代表的な漢方薬。その解熱作用がどのくらい強いかは、以下、私の実体験談を見れば分かります。

歴代の薬物誌に記録されたスイカの効能

スイカが中国に輸入されたのは唐宋時代です。なので、唐朝の前の薬草著作にはないですね。

以下、歴代の薬草著作にある記述を引用します。

性味甘寒,主治消烦止渴、解暑热

南宋时期『日用本草』(吴瑞 著)より

西瓜味甘平、无毒。主消渴、治心烦、解酒毒。

『饮膳正要』(元代太医・忽思慧 著)より

性味:甘、淡、寒、无毒。
清熱解暑、止渇利尿

本草綱目』より

主熱病、消暑気、解煩渇、利小便

新修本草』より

みんなの共通点は、夏の暑さにより喉の渇き、イライラ、落ち着かない症状を治し、利尿作用がある。そして、毒がない。

その他の薬草書でも、スイカは夏の暑さや熱証を冷ます効果が記載されていますが省略させていただきます。

薬膳「西瓜汁」は、夏の熱証に効果的

最後に、中国の民間薬膳「西瓜汁」(スイカジュース)を紹介します。 臨床でよく使うのは、夏の暑さによる喉の渇きやイライラがあるときです。

熱中症や夏風邪など、夏の不調に効果的です。病名に関係なく、熱証の症状に老若男女問わず役立ちます。

冷え症や湿気の多い体質の人は過度に食べると悪化するので、要注意!

以下は素材と作り方の紹介です。

薬膳に必要な素材

  • スイカ 1/4個(種を取り除く)
  • 氷砂糖 適量(お好みで)
  • レモン汁 少量(酸味を加える場合)

スイカは水分が多く、ジュースにすると飲みやすい。 レモン汁は熱を冷ます効果を補強しますが、なくても十分です。

丸ごとのスイカと透明なグラスに注がれた赤いスイカジュースが並んでいる画像
スイカとスイカジュースの涼やかな一品

作り方

  1. スイカの果肉を切り出し、種を取り除く。
  2. ミキサーで果肉を滑らかにする。
  3. お好みで氷砂糖やレモン汁を加えて味を調整。
  4. 冷蔵庫で冷やして、グラスに注いで完成。

子供も喜んで飲む甘いスイカジュースは、夏の暑さでぐずる時に最適です。薬嫌いな子供にもおすすめです。

注意点は上記の通り。 すべての熱証や不調に有効なわけではないので、要注意!!

夏のちょっとした不調に、薬膳料理は役立ちます。ただし、薬膳はあくまで食べ物なので、効果が見られない場合は、漢方医や鍼灸師に相談してください。

追記雑談:高すぎるスイカ!

私の記憶では去年まで、スーパーでカットスイカが398円だったのに、最近見たら598円(税込みで650円くらい)!すごい汗をかいた日は、一気に食べちゃうので、暑さを乗り越えるために1回で650円を払う。喉が潤うだけで、お腹いっぱいにもならない。ちょっと高すぎると感じました。

なので、最近はなるべく麦味参顆粒で乗り越えています。麦味参顆粒は1包160円くらいなので、2包あれば1日過ごせるし、スイカよりは遥かに安い。ただし、漢方薬はスイカみたいに美味しくない。

どんどん上がる物価、なんとかならないですかね。このまま上がったら、数年後にはスイカが贅沢品になって、庶民たちは食べられなくなります。

(おわり)

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