60年の頭痛は鍼と柴胡桂枝湯で治り、便秘は小承気湯ですぐ治った。

60年。患者さんが頭痛と共に生きてきた年月です。
9歳で腎炎を患って以来、風に当たるだけで発作し、帽子を一瞬たりとも外せない生活。

そんな長年の苦しみが、柴胡桂枝湯と鍼灸でついに終わりました。
中医学だからこそ辿り着けた改善の記録を紹介します。

※中国河北省石家荘市の有能な女医(中医師)、張静先生1の症例:头痛60年(2021-12-22発表)を李哲が完全翻訳しました。

目次

45年頭痛の症例を超える「60年頭痛」の患者が現れた

今回の症例を記録したのは、誰か本記録を突破する人がいないかを見るためです。

数年前、45年も頭痛に襲われた患者さんを治療した事がありました。当時、私が思ったのは、45年もある頭痛は超えられない記録でしょう。思いの外、今日この記録は破られました。

頭痛45年の患者さんは今でも鮮明に覚えています。患者さんはたくさんのMRIを撮ったら瘀血がありました。彼女が言うのは、「瘀血は治さなくていいです。あまりにも痛いから壁に頭突きしたのが原因です。頭痛だけ治療してくれれば良いのです。」

彼女は最後、 半夏秫米湯で治りました。

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頭痛歴60年の患者が柴胡桂枝湯で改善した経過

次は頭痛60年の患者さんの治療経験を話します。

2021-10-18
1回目の診察。

患者さんが言うのは9歳から頭痛があって、現在は69歳。つまり、頭痛歴が60年です。

9歳のとき腎炎になってから、風に当たると頭痛が発作しました。頭の天辺が痛くなるので、毎日帽子をかぶって、一刻も帽子を取ることができません。

頭痛で苦しむ高齢男性が右手で頭を押さえ、目を閉じてつらそうな表情をしている様子
強い頭痛に悩む高齢男性のイメージ。長年続く頭痛の苦しみを表現した写真。

大便は最初は硬くてその後は下痢、1日1回便通がある。ほかの症状は、だいたい正常。舌苔が少し白くて、脈は少し弦脈。

処方箋は柴胡桂枝湯さいこけいしとうをアレンジしました。

2021ー10ー29
再診察に来るはずですが、コロナの影響で彼は外出ができず、宅配便も現地に入れなくなりました。コロナが解除され、彼はやっと診療所に来られたのです。

処方箋は前回同様。10日分。

彼は自宅が天津で、帰らないといけないかも知れないので、鍼灸も併用する事を薦めました。治りが早くなるから。そして彼は鍼灸も同時に受けました。

頭痛は治ったが便秘が出現|小承気湯での対応

2021-11-28
3回目の診察。

頭痛はすでに治り、新しく便秘の症状が出ました。たくさんの冷たい水を飲むと楽だそうです。

処方箋:小承気湯しょうじょうきとうのアレンジ。

🔎あわせて読みたい:子どもの便秘に小承気湯を処方した症例

便秘は小承気湯で解消|陽明への転化と自己調整力

2021-12-9
4回目の診察。

頭痛は確かに治っている。でも、頭痛が再発するのが怖いからもう一度飲んで治療効果を定める事にしました。彼は今度天津に帰るので、私は漢方薬を宅配便で送りました。

彼の病気は、「三陽」にあります。だから、こんなに長い間の頭痛があっても、軽い処方箋で背中を押すだけで済んだのです。特に3回目の処方箋で、病気はすべて「陽明」に転移しました。彼の自己調整機能は本当に素晴らしかったです。

🔎あわせて読みたい:六経弁証(陽明・三陽など)をわかりやすく解説した記事

李哲による中医学的解釈|処方の理由と六経弁証

半夏秫米湯は頭痛だけでなく不眠にも使われる理由

半夏秫米湯の構成は、半夏と秫米(小米)だけです。

半夏秫米湯は私も使ったことがないので、興味津々です。張静先生は頭痛を治したと言うし、中国ネット上では不眠症を治せると多く記載されています。頭痛と不眠症は全く違う症状だけど、同じ処方箋で治せるみたいです。

柴胡桂枝湯の構成と、60年頭痛に適した理由

柴胡桂枝湯さいこけいしとうの構成は小柴胡湯+桂枝湯です。
一般的に小柴胡湯だけでも治せるけど、桂枝湯を追加したのは頭痛歴が60年もあるから。小柴胡湯を入れた理由は、脈診が弦脈だからだと思います。

小柴胡湯と桂枝湯は、たくさんの処方箋のベースになっているもので、様々な不調を治せます。

以下は小柴胡湯の一つの症例。気持ち悪い、生理が来ない、背中と脇腹が痛いなどの症状、小柴胡湯1日で治りました。病院に行ったら、何日で治るでしょう?

小承気湯以外にもある便秘治療の漢方7種類

小承気湯しょうじょうきとうは便秘を治す処方箋です。組み合わせと比例は大黄4:厚朴2:枳実3(もしくは2)。大黄が1番多い。

中医学の聖典、『傷寒雑病論しょうかんざつびょうろん』2には便秘の処方が7つも記載されています。小承気湯しょうじょうきとう以外の処方箋は大柴胡湯、大承気湯、調胃承気湯、大黄附子細辛湯、厚朴三物湯、麻子仁丸など。麻子仁丸の解説は、以下をご覧ください。

なぜ7つもあるのか?皆さんは不思議だと思うでしょう。

ざっくり説明すると、大まかに「性質が寒い便秘」「性質が熱い便秘」に分けて、温める生薬と冷やす生薬を使い分けます。その後は、大便が十二指腸あたりに、小腸、大腸、肛門あたりにつまったか?場所によって処方箋も変わります。

昔の中医学はレントゲン・CTもなかったのに、どうやって小腸につまった便秘と大腸につまった便秘を区別できるのか?簡単です。患者さんの症状が違うから。患者さんが訴える自覚症状は、任意のハイテクノロジー医療機器よりも正確です。

中医学と西洋医学の違いを詳しい解説したのは以下の記事です。どうぞご参考に。

鍼灸で頭痛を治すときの原則|部位別のツボ選択

漢方薬は気血不足など考えますが、鍼灸でもっとも考えているのは、どの経絡が患部とつながっているかです。したがって、頭痛の部位によって治療するツボ・補瀉方法が変わります。

たとえばオデコの痛み。頭頂部の痛み。偏頭痛。後頭部の痛みなどはみんな治療するツボが違う。以下、数件の鍼治療例を貼りますので、参考になると幸いです。

子供の頭痛と便秘が鍼1回で治り、「魔法使い」だと言われた

頭頂部の痛みが鍼1回で治った症例

偏頭痛・頻尿・足のしびれが鍼で改善した50代女性の症例

後頭部の神経痛を一瞬で治した鍼治療例

上記の患者さんみたいに60年も頭痛を患った方は、まだ診たことないですが、おそらく1~2回で治らないと思います。病歴が長いので、必ずほかの経絡・臓器にも悪影響が出ているはず。

最初から漢方薬・鍼灸治療を受ければさっさと治ったのに、病院でたらい回しされて60年も治ったないまま…お気の毒だとしか言えません。

幸いにも張静先生に出会えたこと。もし張静先生がいなかったら、死ぬ日まで頭痛に襲われ、毎日帽子を取ることができないでしょう。

  1. 張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは張静先生の症例を数多く翻訳しました。以下は2025年、張静先生の診療所で研修した見聞録、参考になると幸いです
    🔗中国河北省の女医・張静先生の診療所で研修したら、目からウロコの「チャイナスピード」に震撼した話

    ↩︎
  2. 傷寒雑病論の解説は、傷寒雑病論の詳細:歴史的偉大さと衝撃的な影響をご覧ください。 ↩︎
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