慢性腰痛・便秘・睡眠障害が腎虚で悪化|鍼灸で改善した50代女性の症例

40年続いた慢性腰痛が、たった数回の鍼灸で日常生活が変わりました。
「朝起きるときに支えが必要」「靴下が履けない」ほどの重症例が、なぜ改善したのか。
本記事では、慢性腰痛が治らない本当の原因と、鍼灸で変化した具体的な症例を紹介します。

目次

慢性腰痛が治らない本当の原因

🔎合わせて読みたい:
→ 腰痛が治らない原因がツボ選びだった症例はこちら(委中で劇的改善)

腎虚が原因の場合

慢性腰痛が治らにとき、経絡ではなくて、内臓が原因のときが多いです。特に腰は腎臓の領域で、腎虚の場合の腰痛はなかなか治らないケースがあります。

急性腰痛は鍼の即効性が現れて、1~2回で治るのが多いけど、内臓から来る腎虚が原因の腰痛は1~2回で治りにくいです。

腎虚の症状が重なった場合

その上に、腎虚のほかの症状も兼ねた場合は、さらに時間がかかる。たとえば尿もれ、尿がうまく出ない、便秘、股関節痛、膝痛などの症状が同時にあるとき。

治す腎虚の分野が広くなるので、時間がかかると言えます。

腎虚を引き起こす要素がある場合

さらに、腎臓を傷つける、腎臓に負担がかかる西洋薬・サプリメント・プロテインなど飲む場合、修復(建設)作業がさらに時間がかかります。

常識ですが、建設は破壊のスピードに敵わない。
いくら鍼を熱心にやっても、腎臓を破壊する要素が多かったら、腎虚が原因の慢性腰痛がなかなか治らないのです。

西洋薬が腎不全を起こした一つの症例として、高血圧薬の副作用で腎不全になった男性の例が参考になります。

50代女性の症状と生活への影響

こんにちは、李哲です。

2018年10月5日。
患者さんは私のおばさん(50代)。

おばさんは以下のような症状に悩んでいました:

慢性腰痛

鍼灸後に軽減するが、運動で再発。小学生時代からの40年間の過労が原因で、腰椎が変形し癒着。朝の起床時に支えが必要で、以前はトイレでの動作や靴下の着用が困難でした。

便秘

漢方薬「麻子仁丸」を夜1回服用で2日後に排便。増量すると下痢になるため自己調整中。1日2~3回の服用を推奨。

睡眠障害

睡眠薬なしで熟睡可能。ただし、夜遅くまでのパソコン作業が影響。

右肩の痛み

長時間のマウス操作による右肩外側の痛み。ストレッチ時に鋭い痛み。

右かかとの感覚異常

皮膚の感覚が鈍いが、深部の肉や骨は触ると感じる。

手指のこわばり

朝の手指関節のこわばりと軽い痛みが持続。

これらの症状は、長年の過労や内臓の虚弱(中医学でいう「腎虚証」)が背景にあり、慢性腰痛の治し方として継続的な治療が必要です。

🔎合わせて読みたい:腎虚が原因の腰痛や便秘に共通する症状はこちら

鍼灸治療の内容と選んだツボの理由

うつ伏せでの鍼灸施術:慢性腰痛と感覚異常の改善

以下はうつ伏せ時に刺した鍼と関連の説明です。

↓大腸兪、腎兪、志室、京門の鍼。
また、命門のお灸も追加し慢性腰痛の改善を狙いました。

鍼を全般的に刺して、命門にお灸まですえる。
私の臨床経験では、ほかにはいない。それほど腰痛が重症だとも言えます。

腎兪・志室・京門・大腸兪に刺した鍼と命門へのお灸で慢性腰痛を治療する鍼灸施術写真。
腎兪・志室・京門・大腸兪の鍼と命門のお灸で慢性腰痛を改善

↓右かかとの感覚異常を改善するために、直火のお灸を施術しました。(5壮)

皆さんは直火だとめちゃくちゃ熱そうだと思うでしょう。実は感覚が鈍いとき、最初のお灸では熱くも痒くもないのです。徐々にお灸の熱が体内に入り、熱い感覚が戻ってきたら、体のシステムの動きが正常になったと言えます。

感覚が鈍い右かかとに直火でお灸をすえた鍼灸施術写真。5壮の温熱刺激で感覚異常を改善。
右かかとの感覚異常に直火のお灸を5壮すえて改善を図る施術

施術では、大椎(骨会)、心兪、肺兪、腎兪、大腸兪、京門、志室、左肩髃に鍼を刺し、右かかと(7壮)と命門(5壮)にお灸を施しました。お灸後、かかとに熱感、命門に温かさと赤みが生じ、慢性腰痛の改善に効果的でした。命門への鍼は腰椎変形のため困難で、お灸に変更。次回も継続予定です。

仰向けでの鍼灸施術:便秘と睡眠の改善

仰向けで刺した鍼は、胃腸障害と睡眠障害のためがメインでした。

天枢と中脘に刺した鍼で便秘を改善する鍼灸施術写真。腹部の気血を整え腸の働きを高める。
天枢と中脘に刺した鍼で便秘を改善
照海・復溜・太衝に刺した鍼で睡眠と内臓機能を整える鍼灸施術写真。
照海・復溜・太衝に刺した鍼で睡眠薬なしで眠れる体質へ改善
合谷透後渓と支溝に刺した鍼で手指のこわばりと睡眠を改善する鍼灸施術写真。
合谷透後渓と支溝の鍼で手指のこわばりと睡眠の質を改善
右肩の痛みに対する対側治療として、左肩の圧痛点に鍼を刺した鍼灸施術写真。
右肩の痛みを軽減するため左肩の圧痛点に鍼をした対側治療

仰向けでは、天枢、中脘、復溜、腎関(董氏奇穴)、太衝、照海、支溝、合谷透後谿に鍼を施し、右肩の圧痛点に対応する左側にも鍼を刺しました。これらのツボは、便秘解消、睡眠薬なしで眠る方法の実現、肩や手指の症状改善に効果的です。

治療後に起きた変化(腰痛・肩・睡眠・便秘)

施術後、おばさんの症状に以下の改善が見られました:

慢性腰痛:トイレでの動作、靴下の着用、物を拾う動作が以前は困難だったが、現在は全て可能。朝の起床時に支えが必要な状態は残るが、日常生活の質が向上。

右肩の痛み:鋭い痛みが消失し、「だいぶ良い!」と喜びの声。残る軽い痛みは次回で改善予定。

睡眠:太衝や合谷などのツボで睡眠薬なしで熟睡可能に。自然な睡眠を実現。

手指のこわばり:合谷透後谿で以前は即効性があったが、今回は緩やか。継続治療が必要。

右かかと:お灸で熱感が生じ、感覚の改善に期待。

🔎合わせて読みたい:肩の鋭い痛みが鍼で瞬間的に消えた症例はこちら

中医学で考える慢性腰痛の治し方

おばさんの慢性腰痛は、40年間の過労と内臓の虚弱が原因の重症例です。急性腰痛は2~3回の鍼で改善しますが、慢性腰痛の治し方には継続的な治療が必要。

鍼灸は経絡を通じて気血を調整し、内臓機能を強化することで、根本的な改善を促します。おばさんの日常生活の向上(トイレ動作や靴下の着用が可能)は、鍼灸の効果を示す証拠です。

🔎合わせて読みたい:ギックリ腰が鍼1回で改善した症例はこちら

対側治療が効く理由

おばさんが驚いたのは、右肩の痛みに対し左側に鍼を刺す「対側治療」です。

中医学では、右の経絡に気血の渋滞がある場合、左の対応部位に鍼を刺すことで気血を調整し、痛みを解消します。

この手法で右肩の鋭い痛みが消失し、慢性腰痛の治し方にも応用可能。古代の経絡学に基づくこの理論は、現代の鍼灸でも効果を発揮します。

🔎合わせて読みたい: 鍼が痛みや内臓の不調に効く理由を詳しく解説

睡眠薬なしで眠れるようになった理由

睡眠薬の副作用と鍼灸のメリット

おばさんは睡眠薬の副作用(夢遊病など)を懸念し、医師からも同様の説明を受けていました。睡眠薬は依存や事故のリスクがあり、長期使用は推奨されません。

鍼灸では、心兪、肺兪、太衝、合谷などのツボが自然な睡眠を促し、睡眠薬なしで眠る方法を提供。副作用なく体質改善を図れる点が強みです。

🔎合わせて読みたい:睡眠薬の副作用で起きる症状と中医学の改善例はこちら

今後の改善ポイントと治療の見通し

おばさんの慢性腰痛や便秘は完全には解消していませんが、継続治療でさらなる改善が期待できます。

40年間の慢性疾患は時間を要しますが、変化は効果の証。睡眠薬なしで眠る方法も定着しつつあります。次回の施術や感想は、引き続き報告します。鍼灸に興味のある方は、専門家に相談を。

慢性腰痛の関連記事

→ 冷え性・途中覚醒・腰痛が同時に改善した症例はこちら

→ 坐骨神経痛と咳・血痰が鍼と漢方で改善した症例はこちら

→ 仰向けで痛む腰痛が鍼4回で改善した症例はこちら

→ 肩・腰・背中の痛みと冷え性が改善した10代女性の症例はこちら

→ 腰痛と坐骨神経痛が鍼1回で改善し全身が軽くなった症例はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (1件)

  • id:xxxnobuxxx
    ノブさん
    ブコメありがとうございます。
    妊娠中の腰痛は、ぎっくり腰であろうとヘルニアであろうと、鍼はみんな効果があります。ぜひ近くの鍼灸院で試して下さい。

コメントする

CAPTCHA


目次