こんにちは、李哲です。
中国・河北省の張静先生*1の記事を翻訳しました。鳥肌みたいな発疹・皮膚がかゆみを1週間で治した漢方薬治療例、参考になると幸いです。
(2021-3-25発表)
鳥肌みたいな発疹・皮膚がかゆいのは、1週間の「桂枝二越婢一湯」で治った
一人の患者さんから質問がありました。
「このようなアレルギー性皮膚炎は見たことありますか?」
そして、袖をめくって私に見せてくれました。
うわ!
本当にひどい。
鳥肌みたいな皮膚がいっぱいで、私は怖くて1回しか見てないです。1回だけですが、それでも私の皮膚まで痒くなりました。
私「病気になったキッカケはなんですか?」
彼女「ある年、マンゴを食べた後からアレルギーになり、毎年、春秋に発作しやすいです。見にくいだけではなくて、非常にかゆい。”どうしたの?”とほかの人に何回も聞かれて恥ずかしいです」
脈診してみたら、弱い。
私「汗が出ますか?」
彼女「ほとんど汗が出ません。」
私「睡眠はどうですか?」
彼女「良いです。横になればすぐ寝られます。」
処方箋は「桂枝二越婢一湯」。

桂枝(けいし)の画像
1日飲んで、翌日に彼女が来て話しました。
「皮膚はまったく変わっていません。鳥肌みたいなものが新しく増えて、痒みが増えた気がします。」
私は我慢してもう一度皮膚を見たあと、彼女に話しました。
「続けて飲んでください。1日では治りません。」
1週間飲み続けてから再診察に来ました。鳥肌みたいなアレルギー性皮膚炎は治ったけど、あと1週間飲みたいそうです。
私「治ったのに、なんでまた飲むんですか?」
彼女「治療効果を定めるためです。先生は私がどれだけ辛かったのか知らないですよ。今はやっと袖から腕を出せるようになりました。でも、シャワーのとき、冷たい水で食器洗うとき、まだ痒みが少しあります。」
そして、同じ処方箋をもう1週間飲むことにして、彼女に教えました。「皮膚をツルツルにしたいなら、汗をかかないとダメです」
彼女がすごい早く治ったのは理由があります。
免疫力を抑制する西洋薬を一切飲んでない!
彼女の病気は皮膚から出たいのに、脈が弱くて外に追い出す力がありません。だから、私は発汗作用がある漢方薬で少し手伝い、病気が皮膚から出たら、アレルギー性皮膚炎も自然に治りました。
李哲の解釈と感想
漢方薬の説明と皮膚の養生に関して述べます。
「桂枝二越婢一湯」は脈が弱いときに使う発汗剤
「桂枝二越婢一湯」は文字とおり、桂枝湯2:越婢湯1の比例で作られています。主治(効能)の内容は、以下のとおり。
太阳病,发热恶寒,热多寒少,脉微弱者,此无陽也,不可発汗,宜桂枝二越婢一湯。
引用先:『傷寒雑病論』
上記の患者さんのアレルギー性皮膚は、中医学理論で言うと風邪(ふうじゃ)が皮膚下に隠れているのが原因です。西洋医学の言葉を借りると、風邪(かぜ)のウィルスが皮膚下に隠れている。 中医学治療では発汗剤を使って、風邪のウィルスを汗と一緒に外へ流すのが一般的。(中国では風邪を引いたとき、寝て汗をかけば治るのが常識)
問題は患者さんの脈がすごい弱いので、風邪のウィルスが汗と一緒に流される同時に患者さんの体力もさらに弱まる。場合によっては、風邪のウィルスがまだ残っているのに、体力が先に底をついて、完治ができないのです。
「桂枝二越婢一湯」はこのような進退両難のとき、解決できる処方箋。
日本では「葛根湯」があまりにも有名なので、風邪を引いたとき盲目に「葛根湯」ばかり飲む人がいるけど、風邪を治す処方はたくさんあります。上記の「桂枝二越婢一湯」がその一つ。「葛根湯」を飲んでも風邪が治らない時は、処方が間違っただけです。漢方薬が効かないと間違わないでください。
ちなみに、葛根湯の風邪を治せる巧妙な仕組みは、過去記事で説明したことがあります。どうぞご参考にしてください。
皮膚をきれいにする為には、汗をかくのが大事
張静先生の症例には、一つヒントがあります。
皮膚をよくしたいなら、汗をかくこと。
「お風呂・サウナで汗をかいても良いですか?」の質問をよく受けますが、運動して汗をかくのと違います。
よく運動する女性は、皮膚のツヤ・弾力が同年代の女性より明らかに優秀です。これは見た目に現れるところ。ほかの体力増強・免疫力強化などは説明も要らないでしょう。
適当な運動は健康促進するだけで、悪いことは一切ありません。
皮膚病には鍼も効果的(一部の症例を添付)
漢方薬の素晴らしい効果は、上記の翻訳文を見れば分かりだと思います。それでは、鍼灸は皮膚病治療ができるのか?答えは、もちろんできます。
発汗作用の漢方薬と違って、鍼のメカニズムは解毒。
皮膚にあふれる血液の毒素を便から出す。
もちろん、鍼も刺したときに発汗作用があります。体が暖かくなって、じんわり汗をかきます。ただし、主力は解毒だと私は思っています。
臨床で様々な皮膚病気の患者さんを治療したけど、効果がなかったのは指で数えるくらい。ほかは皆効果が良かったです。上記の漢方薬症例みたいに1週間で治せるとは保証できませんが、少なくとも数回で効果が実感できます。以下は一つの症例、参考にしてください。
西洋医学は発疹、皮膚のかゆみに免疫抑制剤・ステロイド剤を出します。一時的に改善が見られますが、長い目で見ると害のほうが大きい。すでにたくさんの患者さんが脱ステロイドで苦労しています。
皮膚のかゆみ、発疹は難病ではありません。漢方薬・鍼灸はみんな副作用なしで治せます。困っている方は、ぜひ信頼できる鍼灸院・漢方院で治してもらってください。
*1:張静先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
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