こんにちは、李哲です。
親を殴り、布団から出ず、目つきが鋭くなり、情緒が崩壊していく17歳の少年。
西洋医学では「異常なし」。
しかし中医学は、彼の精神錯乱の原因を“胃腸の実証=陽明実証”と見抜きました。
漢方薬と鍼で毒素を排出すると、凶暴化は消え、少年は正常に戻っていきます。
🟥 この記事で分かること
1.発狂・凶暴化・情緒不安定の原因が「胃腸の実証」で起こる理由
2.陽明実証が精神症状を引き起こすメカニズム(黄帝内経の記述)
3.食靠れ(食積)が毒素化し、脳に影響するプロセス
4.下剤系漢方と刺絡療法で改善した具体的な症例
5.西洋医学で異常なしでも、中医学で治るケースがある理由
※中国河北省石家荘市の女医、中医師、張静先生1の症例、一个狂躁的男孩(2022-1-27発表)を李哲が完全翻訳しました。
親を殴るほど発狂した17歳少年の症状
2022-01-27。
Wという患者さん、もともと鍼灸治療予約をしたけど、お昼休みに入っても姿を現していません。もし何かあったら、彼は必ず連絡が来るはず。だから、私は待っていました。
13時過ぎて、彼は一人の友人を連れてきました。友人はおでこ・顔に血の跡が残っていて、拭いてもわかるレベル。私は心の中で思いました。
「遅れたのは、もしかして喧嘩に行ってきたのか?」
Wさんは私に説明しました。
「今日遅れたのは友人の家に行ったからです。ほら、見てくださいよ、息子に殴られて!」
友人が説明しようとしたら、Wさんはボスみたいに手を振ってました。
「私が張先生に説明する!」
3ヶ月引きこもりで30kg痩せた背景
友人の17歳の息子は、すでに3ヶ月家から一歩も出ていません。3ヶ月で30kg痩せて、もともと100kgあったのに今は70kgくらい。
🔎合わせて読みたい:全身の痛みと冷え性、足に力が入らないのが治り、同時に3ヶ月で30kgもダイエットできたアメリカ人男性
お父さんは息子に外出をすすめたけど、息子が布団の中から出ないから、お父さんは布団を引っ張りました。そして息子が激怒、麺棒でお父さんの頭を殴ったのです。
隣のお父さんは話しました。
「息子がストレス溜まったと思って、我慢して返さなかったです。少し殴ったあとは気が済むだろうと。しかし、息子はエスカレーターし、つるばしを持ってきて殴ろうとしました。私はすぐ家から脱出し、友人たちを集めて対策を考えたのです」
Wさんは友人の家に行きました。同時にほかの友人たちも集まり、息子とお話した結果、みんなの意見は:「息子は病気で治療が必要。張先生を呼んで!」
私は詳細を聞いて、心の中からビクビクしました。
Wさんは私を慰めてくれました。
「私たちがいるから大丈夫ですよ」
この息子さんは以前の治療記事で書いたことがある男の子です。詳細は以下をご覧ください。
診察で判明した「中脘の硬いしこり」
最後、私は診療所のもう1人の先生と一緒に行きました。リビングについたら、お母さんともう1人40代の男性がいました。Wさんと友人が言うのは、「息子は布団の中にいます」
リビングの窓口近くにシンプルベッドがあったけど、中に人が入っているかどうかも分からない程度でした。
「張先生が来たよ。起きてみて」
しばらく経ってから、布団の中から息子が出てきました。
顔面蒼白で唇が赤、乾燥。何度も唇を噛んで、目線が定まらずあちこち飛んでいました。私たちの会話は非常に気をつけていました。ゆっくり子供を誘導して、私が座っているソファーの前まで連れて来ました。
脈診をするとき、子供の手はコントロールできないみたいに震え、歯もガタガタ鳴り出し、唇も震えはじめました。高揚した気持ちがまだ収まらない感じ。
🔎合わせて読みたい:パニック障害・ニキビ・下痢・お腹空くと手が震える症状は10回の足つぼ整体で完治!
私は息子と世間話をしました。
息子をリラックスさせるためです。しばらく話してから、息子の手を握ったときに話しました。
「手がすごい冷たいし、震えているけど、私が怖いですか?」
息子は頷き。
私「怖がらないでください。私たちの診療所はここからすごい近いです。住所を言えば、あなたはすぐ分かるはず」
問診が終わって腹診をしたら、中脘穴あたりに拳サイズの硬いしこりが顕著でした。

騙し騙しで子供を診療所まで連れてきた
私「漢方薬を飲んでください」
Wさん「同時に鍼灸をやれば治りがもっと早いですよね?鍼治療もしましょう!」
子供は緊張していたのに、鍼をする話を聞いたらさらに戦闘状態になりました。Wさんはすぐ察して慰めました。
「私もまだ鍼をしてないよ。じゃ、私がサンプルになって見せるから、診療所に行って鍼してみよう。一緒に行こう!」
Wさんの意図は私も分かりました。とにかく、子供を部屋から外へ連れ出したい。Wさんは本当に口がうまくて、騙し騙しで子供を布団の中から診療所まで連れて来ました。
🔎合わせて読みたい:ひどい冷え性、生理痛が6ヶ月で治り、うつ病っぽい性格まで明るくなった女性【足つぼ整体の症例】
西洋医学では異常なし、漢方治療も無効だった理由
その間、私は子供が飲んでいる漢方薬を見ました。以前はどんな治療を受けたのか、チェックするためです。
最初、子供は異常が出たとき、西洋医学の病院に行ったら異常無しと言われました。その後、子供は徐々に情緒不安定と凶暴化になって、人を見る目つきまで変わりました。

おじいちゃん、おばあちゃんは怖くて家から出て、最後は親たちも家に住めなくなりました。子供はひとり暮らし。幸いにも子供は専門シェフなので、餓死になることはなかったです。
2ヶ月前、ある漢方医から処方してもらい、毎日煎じ薬を飲んでいますが一向にも良くなりません。目つきがドンドンきつくなって、情緒不安定もひどくなりました。今日の流血事件が最近の一番ひどい事件だったのです。
子供が飲んだ漢方薬をみたら、四物湯+四君子湯のアレンジ。
李哲の追加説明:
四物湯は貧血の治療に良く使われています。以下は一つの症例、参考になると幸いです。
氷食症の原因と私の治し方:コーヒー・しろ砂糖断ち+漢方薬+黒糖生姜湯
黒い便とともに改善が進んだ中医学治療
私は子供に話しました。
「以前の漢方薬は飲まなくて良いです。新しい処方を出すので」
処方箋は〇〇〇〇
鍼灸は刺絡療法で中脘、太衝、豊隆で瀉血。
漢方薬に関しては特別に説明しました。
「数日飲んだあと、少し下痢になって黒い便が出るのは良いことです。もし下痢にならなかったら、病気は治りません」
李哲の追加説明:
漢方薬を飲んだあと、黒い便が出るのは体内の瘀血(毒素)が出るからです。臨床ではよく見かける好転反応の一つです。以下も治療後に黒い便が出た症例、病院で半年も治らない十二指腸潰瘍が短期間で治った物語です。
🔗半年も治らない十二指腸潰瘍、1回の漢方薬で黒い便が出たあと痛みが治り、精神状態がとても良くなった
1週間飲んでも下痢になってない。下痢のところか、便秘にまでなりました。もう一度処方してから、少しずつ下痢になってきました。
11日間飲んでから、腹部の硬いしこりは消えたので、そろそろ治るところ。その間は毎日刺絡療法をやりました。
心臓のドクンドクンで眠れない症状の改善
私「ほかに何かつらい症状がありますか?」
子供「毎晩ドクンドクンと心臓の鼓動が聞こえて眠れません」
私「水を飲む時は一口一口飲んでください。一気飲みしているから、このような症状が出ます。あなたの横隔膜あたりには、すでに水が貯まり始めています。2つの方法で解決できます。一つ目は漢方薬。2つ目は運動して汗をかくこと。自分で選んで下さい」
子供「歩いて帰って今日から運動します!」
私「ヨッシー!あなたができると信じてます」
14日後、私はもう一度聞きました。
「睡眠はどうですか?」
子供「もう大丈夫です。横になれば、すぐ眠れます」
処方箋は柴胡疎肝湯。7日分を処方。
これで最後の片付けをしました。
飲みきってから、子供は正常に戻りました。
李哲の追加説明:
柴胡疎肝湯は名前とおり、肝臓の気の詰まりをなくすためです。中医学では「肝気鬱結」だといいますが、様々な症状が見られます。代表的なのは精神不安定、怒り気味。以下の症例でも説明しているので、参考になると幸いです。
🔗生理前に肝気鬱結でイライラがひどい、八つ当たりするのは、鍼2~3回で治った
精神錯乱の原因は「陽明実証」だった
治療が終わったあとに知ったけど、子供のお父さんは私が女性か男性かを聞いたそうです。おそらく、殴り合いになった時、逃げられるかどうかを考えたでしょう。
本当に!
お父さんのような考え方だったら、中医師の私たちは格闘技も練習しないといけないですね。でも、子供の話に戻りますが、陽明実証は発作したときは、本当に誰でも抑えられません。
子供の病気の原因は以下の通りです。
飲食の不適切で食積(食靠れ)になり、時間が経つことで腐った食べ物から毒素が出て血液に流れ、最後は陽明実証になったのです。
私は食靠れを取り除いて、血液代謝を改善することで治しました。
🔎合わせて読みたい:食べ過ぎ・飲み過ぎに効くツボ!中脘穴と至陽穴で胃腸トラブルを解消
李哲の解釈と感想
処方薬の解釈
四物湯+四君子湯の組み合わせは、胃腸が弱くて食欲不振・貧血などの症状には効果的だけど、上記の子供のような発狂する人には効きません。また、四物湯と四君子湯を処方するのも温病派の特徴だと言えます。

温病派の先生は小さな病気は治せるかも知れませんが、急性の病気・重病には効かない。経方派の先生じゃないと無理です。温病派と経方派の違いは過去に説明した記事があるので、参考にしてください。
張静先生が〇〇〇〇だと書いているところは公開していないので、詳細が分かりません。あくまでも推測ですが、おそらく大承気湯・大柴胡湯などの下剤だと思います。
胃のあたりに拳サイズの硬いしこりがあるので、食べ物の詰まりに違いはありません。治せるのは漢方薬の下剤しかないです。
大承気湯はニハイシャ先生2の症例に出ています。以下の記事、よかったらご覧んください。
食積は鍼でも治せる
食積は簡単に言うと食べすぎが原因。
食べる量が多くなくても、その人が消化できる限度を超えると食べすぎだと言います。
ちなみに、人間には満腹中枢があるので、食べすぎを事前に防げます。美味しすぎて食べすぎた場合は、お腹が苦しいのは当たり前。このとき、漢方薬もしくは鍼治療、両方とも治せます。以下は一つの鍼治療例、参考になると幸いです。
黄帝内経が語る“発狂と胃腸の関係”
詳細な解説は、うつ病は「静」、躁うつ病は「動」──中医学が解く精神疾患の本当の原因【難経・黄帝内経・傷寒論】をご覧下さい。
なぜ発狂するのか、なぜ発作した時は力士なみに力持ちなのか、どうすれば治せるのか、などが詳しい解説されています。抗精神病薬の副作用も披露しているので、参考になると幸いです。
🔎合わせて読みたい:精神科薬の副作用でてんかんになり、手を切断したがる女性
まとめ:精神症状は「胃腸」からも起こる
陽明実証であろうと、もしくはほかの原因であろうと、中医学は体内の状態を把握して関連の治療ができます。そして二度目の再発を防ぐ。
精神錯乱、発狂などの精神疾患で悩んでいる方は、ぜひ中医学治療を受けてみてください。
精神疾患を改善した症例まとめ(内部リンク)
👉 自殺を図った重度うつ病が漢方薬で完治した症例(肺の陽気不足)
👉 非定型精神病の不眠・落ち着きのなさが鍼4回で改善した症例
👉 PTSDの恐怖感・情緒不安定が漢方薬で1週間で改善した症例
👉 鍼治療中に号泣した4人の女性──隠れたトラウマが解放された症例
👉 パニック障害・ニキビ・下痢・手の震えが足つぼ整体10回で完治した症例
👉 自閉症の子供が漢方薬で言葉・ユーモア・ピアノ・絵が上達した症例(約1年)
- ↩︎
張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは張静先生の症例を数多く翻訳しました。以下は2025年、張静先生の診療所で研修した見聞録、参考になると幸いです
🔗中国河北省の女医・張静先生の診療所で研修したら、目からウロコの「チャイナスピード」に震撼した話 - ↩︎
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

コメント