こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師、鄭智城先生*1の治療例、ABC大学女生的长期背痛_郑智城(2013-02-14発表)を翻訳しました。
仰向けになると呼吸困難、背中が痛い、気持ち悪い、わき腹が痛いなどの諸症状を小柴胡湯1日で治した例。同じ症状で困っている方へ、参考になると幸いです。
仰向けになると呼吸困難になる娘、すべての検査をしても原因不明
2週間前の月曜日、一人のお母さんがフロリダ州から電話かかってきました。
「うちの娘、背中の痛みが再発したけど、漢方薬で治せますか?」
このお母さんは、私がニューヨークにいた時からの知り合い。その後、彼女はフロリダ州に引っ越しして料理屋を経営し、娘だけアメリカ東海岸に残って大学に通っていました。
彼女の娘は去年の夏休みから病気になって、入院もしてあらゆる検査をしたけど原因不明。退院後は良くなったり悪くなったり。最近になってまた発作し、仰向けになると呼吸困難になる。また入院したけど、相変わらず原因不明だそうです。
鍼灸治療で大叫びし、続けられなかった
彼女は娘に「中医学の先生に診てもらって!」と言いました。
最初に診てもらったのは鍼灸医。鍼灸医がお腹に鍼をしただけで、彼女は大叫びで止めたそうです。その後、西洋医学の専門家に診てもらったけど、結果は原因不明。もちろん治ってないです。
いやいやで漢方薬治療に来た娘さん
最後、彼女は娘に言いました。
「近い鄭先生に診てもらいなさい」
娘は嫌々ながら来ました。
苦い漢方薬を飲むのが嫌いだから。
世の中には苦労しないで、手に入れるものは少ないです。美味しくて病気が治る漢方薬は、さらに少ない。
李哲の説明:臨床では、ごくたまに漢方薬が美味しいと感じる人がいます。美味しい原因は、体に必要だからです。以下の記事に一つの症例があるので、どうぞご覧ください。
娘の背中の痛み、正直私も治せる自信がなかったです。母親の陳述を聞いただけでは、非常に難しそうな気がしたので。
「女は大人になると18変」というのは本当でした。何年か前に会った時は、まだ子供だったのに、今は大人の感じがする。私の感覚ですが、アメリカで育った子は、気質が良い子が多いです。
娘さんの脈診をしたら、左の関脈が少し弦脈で、舌診では少し太ってました。
私「気持ち悪い時がありますか?」
娘さん「たまに気持ち悪いです。」
私「わき腹に違和感ありますか?」
娘さん「左わき腹下はだいぶ前から痛いです。」
私「最近は緊張しやすいですか?」
娘さん「少しあります。」
何故かと言うと、娘さんは年明けてから日本に交換留学するので。
私はいろいろ考えてから、やはり小柴胡湯が良いと判断しました。柴胡は8銭を使って、3日分だけ処方しました。
帰るとき、娘さんは不可解な顔で質問しました。
「本当に3日分だけで良いですか???」
今の若者は中医学を疑って、西洋医学の科学的なものしか信じないのは知っています。ただし、科学的なものがそんなに凄かったら、なぜ彼女の痛みは治らないですか?
私は頷いて返事しました。
「飲んだあと、また再診察に来てください。」
娘さんは帰ったあと、2度と来てません。
長期的な背中と肩の痛みは、小柴胡湯ですぐ治った
今日、もう一通の電話が入りました。症状が似ている患者さん、男の留学生。長期的な肩と背中の痛みがありました。彼が電話で言ったのは、「最近先生が処方した小柴胡湯を飲んでから、痛みはすぐ良くなりました。」
彼の電話で、私は前回の娘さんの事を思い出して、お母さんに電話して聞いてみました。お母さんが言うのは、「あいや!本当にありがとうございました。娘は1日だけ飲んで治りましたよ。残りの漢方は飲んでいません。」
やっぱり医療現場で、追跡訪問がないとダメですね。
李哲の解釈と説明
「背中の痛み=小柴胡湯」は間違い
小柴胡湯で背中の痛みを治したのは、初めて見ました。やはり中医学は、患者さんの総合的な症状を判断して、処方箋を考えるから、病名で処方箋を出すものではないですね。
一つ説明を加えますが、「小柴胡湯=背中の痛み」ではない。だから、勝手に小柴胡湯を買ってきて背中の痛みに使わないでください。
上記の文章にも書きましたが、鄭先生は弦脈があってほかの症状を参考にして、小柴胡湯を処方したのです。つまり、背中の痛みはついでに解決したもの。
小柴胡湯の適応症
小柴胡湯は、「傷寒論」で少陽症に使う主力の処方です。
少陽症の典型的な自覚症状は、
- 口の中が苦い
- 咽が乾く
- ときどき寒くなったり熱くなったりする
- 気持ち悪い、吐き気
- イライラ
- 食欲不振
- わき腹が腫れて痛い、違和感ある
臨床では上記の7つのうち、一つもしくは2つ以上の症状を持っている方が多いです。つまり、小柴胡湯の適応症はとても広い。特に女性にとって、小柴胡湯は神の薬だと言っても過言ではないです。
ちなみに、小柴胡湯はひどい中耳炎も治せます。もちろん、少しアレンジが必要ですが。以下の記事、参考になると幸いです。
「小柴胡湯で間質性肺炎になる」報道の罠
「小柴胡湯の厳重な副作用:間質性肺炎」という報道にビビっている方は、よく調べて下さい。当時はインターフェロン療法と兼用していました。
インターフェロンの副作用で間質性肺炎になったのか、小柴胡湯でなったのか、自分で判断して下さい。
C型肝炎を治すために発売されたインターフェロン、その副作用を知らないといけません。ニハイシャ先生は臨床で、インターフェロンでメチャクチャになった患者さんを治療したことがあります。読んだあとでも、インターフェロン療法は必要だ、インターフェロンは素晴らしいと思うなら、どうぞお好きに。
背中の痛みは鍼灸・整体でも治せる
鍼治療の場合は、単なる背中の痛みだったら、委中・崑崙・束骨だけで良いです。董氏奇穴では、重子・重仙なども良い選択肢。治せるツボはいろいろあります。
以下は一つの症例。ぎっくり腰ではなくて、ぎっくり背中になって激痛に襲われた患者さんを治した例です。
鍼治療以外に、背中の痛みは整体でも治せます。以下は何年もたらい回しされて、全然治らない背中の痛みを整体1回で著しく改善した症例。鍼が怖い人は、整体など受けてみてください。
最近忙しくて、記事を書く時間がなくなりました。週二回もしくは週1回の更新になるかも知れません。。。
空いてるとき、なるべく書きますので、次の記事までもうしばらくお待ちください。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
コメント
いつも、忙しい中、ありがとうございます。
遠くて難しい?ですが、近くなら、李哲様に診ていただきたいです。(#^.^#)
お身体、大事になさってくださいね。
id:happy-ok3さん
コメントありがとうございます。
東京に来れたらぜひ鍼治療試してください、お待ちしております。