冷房で下痢になる男性、人参湯+四逆湯で治った

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こんにちは、李哲です。
中国河北省の有能な女医、張静中医師1の症例を翻訳しました。冷房の風に当たるだけでお腹を壊す男性を治した例、参考になると幸いです。中国語本文のリンク先は以下。

见风就拉肚子
脾胃虚寒

冷房の風に当たると下痢になる男性、人参湯+四逆湯で治った

40歳の男性患者、比較的に痩せ型。治療に来た理由は下痢。数年前にも治療に来たことがあるそうです。

過去のカルテを探し出したら、2018年8月の事でした。当時も同じ症状、風に当たるとダメ、冷房の風でも自然な風でも、当たるとお腹を壊します。

彼が言うのは「一回だけ漢方薬飲んでここ数年は良かったけど、また再発しました」

舌診したら、舌苔は白・腻。
脈は弦脈、細。

彼「どこが悪いでしょう?」
私「臓器から言うと、脾胃の冷え。六経弁証から言うと、太陰病です」

そして、一枚の紙の上で図を書いて説明しました。心臓と小腸、脾胃との関係。

話しているうちに、地震のときある人たちが長時間の飢餓にも耐えられるけど、ある人たちはすぐダメになる話題がありました。その違いを簡単にいうと、脾胃の貯蓄したエネルギーが違うからです。

彼は最後まとめたのは、「私の脾胃のエネルギーが足りないから、風もしくは冷気に当たるとすぐお腹を壊しますね」

彼は要点を理解しました!

2018年の処方箋は、人参湯にんじんとう四逆湯しぎゃくとう
今回の思考回路も同じですが、生薬の量を少し調整しました。

 夫瘦人绕脐痛,必有风冷,谷气不行,而反下之,其气必冲,不冲者,心下则痞

引用先:『金匮要略・腹满寒疝宿食病脉证治第十 』

李哲の解釈と説明

2つの漢方薬の説明

先に人参湯にんじんとうを紹介します。
脾胃が弱くて冷え性がある方に多く使われる漢方薬。
冷えが取り除けない場合、さらに温める附子(トリカブト)を追加すれば、附子理中湯ぶしりちゅうごうになります。

上記の処方箋は人参湯にんじんとう四逆湯しぎゃくとう
四逆湯しぎゃくとうには附子が入っています。だったら、人参湯にんじんとう+附子=附子理中湯ぶしりちゅうごうだけで良いのではないか?

答えは違います。
四逆湯しぎゃくとうで使うのは生のトリカブト
附子理中湯ぶしりちゅうごうで使うのは加工したトリカブト
同じトリカブトだけど、加工が違うので効能も違います。

また加工したかどうかによって、毒性も変わります。これは過去記事で説明しているので、良かったらご覧ください。

下痢を治した鍼灸症例の紹介

脾胃の虚寒は漢方薬の得意分野ですが、鍼灸でも同じように治せます。以下は下痢を治した鍼治療例。治したツボが様々なのは、当時のツボの組み合わせを考えて選んだからです。実際に下痢を治せるツボはたくさんあります。全部刺す必要もなくて、2~3個のツボで十分治せます。

下痢止め薬は、安易に使ってはいけない

上記の患者さん、もし病院に行ったら病院の先生は下痢止め薬を出すでしょう。一時的に下痢が止まるかも知れませんが、肝心な体内環境は変わっていません。つまり、胃腸の冷えは治ってないので、いずれかまた再発します。

また、薬の副作用でほかのもっとひどい問題を引き起こします。以下は、ある西洋薬の説明。

[関係部位:症状]
皮膚:発疹・発赤,かゆみ
精神神経系:頭痛
泌尿器:排尿困難
その他:顔のほてり,異常なまぶしさ

ストッパ下痢止めEX説明書より引用

下痢より排尿困難、異常なまぶしさの方がよっぽどひどくないですか?

一時的に治ったように見せかける。
肝心な体内環境は治せないから、いずれか再発。
副作用は何が出るのかわからない。

こんな治療方法は、安易に頼ってはいけません。

(おわり)

  1. 張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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