冷えによる下痢の治し方:人参湯+四逆湯で改善した症例と漢方の効果

冷房の風に当たるだけでお腹を壊す——
そんな“風で下痢する体質”は、脾胃の冷えが原因です。

この記事では、人参湯+四逆湯で再発を止めた症例をもとに、冷えによる下痢の中医学的な治し方を解説します。

📌 この記事で分かること

1.冷え・風で下痢する原因は「脾胃の虚寒(太陰病)」
2.人参湯+四逆湯を使う理由
3.生附子と炮附子の違い
4.鍼灸で下痢が改善する仕組み
5.下痢止め薬を安易に使うべきでない理由
6.関連する改善症例(内部リンク)

※中国河北省の有能な女医、張静中医師1の症例、见风就拉肚子(2021-10-20発表)を李哲が完全翻訳しました。

目次

冷えで下痢になる理由|脾胃の虚寒(太陰病)とは

40歳の男性患者、比較的に痩せ型。
治療に来た理由は下痢。
数年前にも治療に来たことがあるそうです。

過去のカルテを探し出したら、2018年8月の事でした。当時も同じ症状、冷たい風に当たるとダメ、冷房の風でも自然な風でも、当たるとお腹を壊します。

彼が言うのは「一回だけ漢方薬飲んでここ数年は良かったけど、また再発しました」

冷えによる腹痛と下痢で前かがみになり、お腹を両手で押さえる男性の様子
冷房や風に当たると腹痛と下痢を起こす男性。脾胃の冷えが原因の典型例

舌診したら、舌苔は白・腻。
脈は弦脈、細。

彼「どこが悪いでしょう?」
私「臓器から言うと、脾胃の冷え。六経弁証から言うと、太陰病です」

そして、一枚の紙の上で図を書いて説明しました。心臓と小腸、脾胃との関係。

症例:風に当たると下痢する男性を人参湯+四逆湯で改善

話しているうちに、地震のときある人たちが長時間の飢餓にも耐えられるけど、ある人たちはすぐダメになる話題がありました。その違いを簡単にいうと、脾胃の貯蓄したエネルギーが違うからです。

🔎合わせて読みたい:何も食べないと何日で死ぬ?『黄帝内経』の答えから見る中医学の解剖学

彼は最後まとめたのは、「私の脾胃のエネルギーが足りないから、風もしくは冷気に当たるとすぐお腹を壊しますね」

彼は要点を理解しました!

2018年の処方箋は、人参湯にんじんとう+四逆湯しぎゃくとう。
今回の思考回路も同じですが、生薬の量を少し調整しました。

 夫瘦人绕脐痛,必有风冷,谷气不行,而反下之,其气必冲,不冲者,心下则痞

引用先:『金匮要略・腹满寒疝宿食病脉证治第十 』

李哲の解釈と説明

人参湯と四逆湯の違い|生附子と炮附子の使い分け

先に人参湯にんじんとうを紹介します。
脾胃が弱くて冷え性がある方に多く使われる漢方薬。
冷えが取り除けない場合、さらに温める附子(トリカブト)を追加すれば、附子理中湯ぶしりちゅうごうになります。

赤みがかった金色の光に包まれた人参が重なって並ぶ漢方薬素材の写真
人参湯の中心となる生薬・人参。脾胃を補い、冷えによる下痢を改善する

上記の処方箋は人参湯にんじんとう+四逆湯しぎゃくとう。
四逆湯しぎゃくとうには附子が入っています。だったら、人参湯にんじんとう+附子=附子理中湯ぶしりちゅうごうだけで良いのではないか?

答えは違います。
四逆湯しぎゃくとうで使うのは生のトリカブト(生附子)。
附子理中湯ぶしりちゅうごうで使うのは加工したトリカブト(炮附子)。
根本はみんな同じ植物から出るけど、加工が違うので効能も違います。

また加工したかどうかによって、毒性も変わります。これは過去記事で説明しているので、良かったらご覧ください。

鍼灸でも下痢は治る|脾胃を温めるツボの考え方

脾胃の虚寒は漢方薬の得意分野ですが、鍼灸でも同じように治せます。以下は下痢を治した鍼治療例。治したツボが様々なのは、当時のツボの組み合わせを考えて選んだからです。実際に下痢を治せるツボはたくさんあります。全部刺す必要もなくて、2~3個のツボで十分治せます。

下痢止め薬を安易に使うべきでない理由

上記の患者さん、もし病院に行ったら病院の先生は下痢止め薬を出すでしょう。一時的に下痢が止まるかも知れませんが、肝心な体内環境は変わっていません。つまり、胃腸の冷えは治ってないので、いずれかまた再発します。

また、薬の副作用でほかのもっとひどい問題を引き起こします。以下は、ある西洋薬の説明。

[関係部位:症状]
皮膚:発疹・発赤,かゆみ
精神神経系:頭痛
泌尿器:排尿困難
その他:顔のほてり,異常なまぶしさ

ストッパ下痢止めEX説明書より引用

下痢より排尿困難、異常なまぶしさの方がよっぽどひどくないですか?

一時的に治ったように見せかける。
肝心な体内環境は治せないから、いずれか再発。
副作用は何が出るのかわからない。

こんな治療方法は、安易に頼ってはいけません。

下痢を改善した症例まとめ(内部リンク)

→ 真武湯で下痢と中毒症状が改善した症例

→ 食あたりの下痢・食欲不振を鍼で改善した症例

→ 20年の下痢を改善した漢方薬症例

→ 夜間頻尿・下痢便・逆流性食道炎が改善した症例

→ 子供の腹痛、発熱、下痢が一晩で治った症例

→ 激しい生理痛、嘔吐と下痢は完全に治って、髪の毛が大量に抜けるのも改善した症例

  1. 張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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