こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学の博士、李宗恩中医師1の癌治療例、快樂的癌末病人(2023-3-17発表)を翻訳しました。末期癌治療で漢方薬はどれだけ役に立つのか、見れば分かると思います。
末期癌だけど、抗がん剤を拒否した85歳のおばあちゃん
このおばあちゃんは85歳の高齢者。アメリカの東に住んでいます。去年、病院で卵巣がん末期、肝臓に転移したと診断されました。西洋医学は打つ手がない。また、患者さんが高齢なので、家族全員は患者を苦しませる抗がん剤を拒否して、漢方薬を試すことをしました。
おばあちゃんは地元の漢方医のところで数ヶ月診ましたが、特に効果なし。両足のむくみと腹水は増えるばかりで、その漢方医も「自分は治せない」と言いました。
5ヶ月前、患者さんが初めて来たとき、今まで飲んだ漢方薬を教えてくれました。党参、白朮、白花蛇舌草、茯苓、三棱、莪术、三七、川芎、連翹、升麻、黃耆、山藥、芡実、元胡、炙甘草、蒼朮、炒酸棗仁、柏子仁、仙草、鷄内金、神曲。

中医学教育で普遍的な問題
その漢方医と直接討論してない限り、なぜこのような漢方薬を使ったのか私には分かりません。しかし、このような処方は、漢方医の目的が不明確であることも説明します。
癌だと聞いたら、市場でいわゆる抗癌作用がある白花蛇舌草を使う。癌細胞の塊があれば、三棱、莪术、三七、川芎などで瘀血を溶かす。その上に気を補う生薬と胃腸を治す生薬を入れる。みんな一緒に入れて、がん治療効果を期待しているのです。
これは現在の中医学教育の普遍的な問題です。
育てた中医師は、中医学の四診(望聞問切)で弁証論治をするのではなくて、西洋医学の病名病状で生薬を決める。
小さな病気だったら、運が良くて治るかも知れません。しかし、複雑で重い病気に会ったら、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるやり方になります。もしくは西洋医学を勧める。
むくみ、腹水、食欲不振は良くなり体力も増えてきた
この5ヶ月、患者さんの治療は主に2つに分けました。
第一弾:腹水とほかのところの浮腫をなるべく減らす。
第二弾:肝臓癌の急激に悪化するのをなるべく抑制する。
第一弾の処方箋は、当帰四逆湯+五苓散をアレンジして炮附子、生半夏、厚朴、枳實、陳皮、大腹皮、木香、香附、燈心草などを追加。その治療効果は良かったです。むくみと腹水は徐々に減って、食欲不振が治り、体力が増えて来ました。
肝臓がんの処理に迷った理由
第二弾の治療は葛藤したところ。肝臓癌の成長を抑制しないと、患者さんは激しい痛みに襲われて、生活の質が著しく下がります。しかし、患者さんは肝臓癌を抑制する漢方薬に耐えられるのかが心配。また、腹水とむくみが消えたのも維持しないといけない。
いろいろ考えてから、私はやはり肝臓癌を抑制する(デトックス)方向を選びました。なぜかというと、時期は人を待たないからです。
体力があるときにやらないと、一旦患者さんの体力が落ちたときは、肝臓のデトックス作業ができなくなります。
むくみ、腹水は良くなり、睡眠・食欲・精神状態も良くなった
第一弾の処方箋は柴胡、玉金、黃芩、龍胆草、炙鱉甲、茜草、五倍子、海金沙、鷄内金、金錢草、金鈴子、炙黃耆、白芍、厚朴、枳実、炮附子、大腹皮、木香、燈心草、白朮、茯苓、豬苓、澤瀉など。
生薬の組み合わせは非常に煩雑だけど、仕方なくて選んだものです。
現在、患者さんの状況は良い方です。むくみと腹水はだいぶ良くなり、睡眠よし食欲よし、精神状態よし、肝臓癌も成長が遅れています。
おばあちゃんは生活が楽しくて、笑い声が多い
もっとも大事なのは、患者さんの日常生活が楽しい。毎回診察に来たときは、笑い声が多かったです。おばあちゃんが言うのは、「漢方薬を飲んだあとは調子が良い、ただし漢方薬がとても苦い!」まずいとは言うけど、おばあちゃんは毎日ちゃんと飲んでいます。
私は冗談半分で言いました。
「漢方薬がまずい文句だけだったらいいですよ~どこが痛くて眠れないとか、呼吸困難とかだったら大変です。あなたは現在人生を楽しむことができます。」
末期癌治療で医師にできるのは2つ
末期がん治療は西洋医学に対しても、中医学に対しても、みんな手が焼けるものです。誰が100%治せる保証をしたら無知であるか、もしくは詐欺であります。
末期がん治療で、医師がやることは2つです。
1.なるべく患者さんの命を延ばす。
2.なるべく患者さんの生活の質を上げる。
上記のおばあちゃんはすでに85歳です。もし暴力的な抗がん剤を使ったら、おばあちゃんは生きたまま地獄に落ちるかも知れません。楽しい生活ができるところか、命を延ばすこともできません。
(おわり)
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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