こんにちは、李哲です。
PTSD(post traumatic stress disorder)、日本語訳では「心的外傷後ストレス障害」です。
簡単にいうと、衝撃的な事件・事故がキッカケで、患者さんは情緒不安定になり、極端の恐怖を感じること。詳しい日本語解釈は以下のサイトが参考になります。

PTSDは中医学で治せるのか?
答えは、もちろん治せる。
スタンフォード大学の博士、李宗恩中医師1の症例があるので、翻訳しました。参考になると幸いです。
(2021-11-2 発表)
10年も恐怖感から抜け出せないPTSD患者
患者はインド人で、アメリカ生まれ・育ちのハイテクノロジー会社のエンジニアです。初診時、彼はPTSDでこの10年、ずっと恐怖の中から抜け出してないと言ってました。
恐怖を克服するため、彼は座禅・太極拳・気功を習い、古代のインドの修行方法も勉強しました。
彼はアメリカ育ちで、ハイテクノロジー会社のエンジニアだから、「以前はちっとも信じてなかった。自分が生まれた国、インド古代からある修行方法はゴミだと思った」そうです。しかし、この数年練習・勉強が増えることで、体と心の変化を感じました。そして、彼は古代の人達の智恵を信じ始め、太極拳を教える先生の推奨でこちらに来たのです。
PTSDになったキッカケは、銃殺事件を目撃
初診時、恐怖の影響なのか、彼はあまり会話してないです。特にPTSDのきっかけに関しては、一言も触れていません。私が見た限り、彼は退職した軍人でもない、重大な交通事故にあったそうでもなかったです。
彼を傷つけない範囲で徐々にリラックスさせ、昔何が起きたかを教えてくれるようにしました。何回か疎通したあと、彼はやっと一言話しました。「10年前、オフィスビルで射殺事件が目の前で起きました…」
私は彼の話を聞いて、ドクンドクンしました。サンフランシスコ・ベイエリアでこの10年、重大な射殺事件だとSiPortしかありません。私の親友であり、仕事の仲間でもあった一人が、殺害された一人だったのです。もっと詳しく聞いたら、本当にSiPort事件でした。
被害者と私の関係を知ってから、彼は当時の状況を話してくれました。
2008年11月、新設会社SiPortの一人の中国人エンジニアは仕事がうまく行かず、ある金曜の朝にリストラされました。中国人エンジニアは荷物を片付けて離れたあと数時間後にまた戻り、リストラした理由について上司と口論になりました。
SiPort会社の執行役員、副総裁、人事管理の総監は中国人エンジニアを会議室に呼んで、リストラに関して説明しました。しかし、数分後エンジニアは突然拳銃を取り出し、その場で3人を処決!
極度の恐怖で魂が体の外へ出た
SiPortの執行役員Sid Agrawalは、私の以前の仕事仲間です。私が初めてハイテクノロジー会社を作ったとき、スポンサーの推薦でSidは執行役員になり、私たちは友達になりました。数年後、Sidは再びスポンサーの招きでSiPortの執行役員になったのです。その時、Sidは私がSiPortの最高技術責任者(CTO)になったほしいと言ってました。しかし、私は自分のやりたい事があったので、参加してなかったです。
患者さんは当時SiPortの会社員で、仕事席も会議室の隣で至近距離で射殺事件を見たのです。また、警察に電話したのも患者でした。電話した時は、被害者の生死にかかわる時だったので、911センターは「3人がまだ生きているかどうかをチェックしてくだいさい」と患者に要求しました。
患者が言うのは、「体が震えながら3人の脈拍をチェックしたけど、魂は体から離れて自分のすべての動きが上から見えました」
PTSDの恐怖心が薄れない原因
患者の魂が体から抜け出したかどうか、私たちは確認できません。現代医学の理論でいうと、危機一髪のとき、大脳は可叙述内容(declarative)に関する記憶は著しく減退し、非可叙述内容(non-declarative)に関する記憶は著しく向上します。
つまり、危機一髪のとき、大脳はどんな事が起きたかをはっきり覚えてないけど、その時の感受は長い間も忘れない。これはPTSDの主な原因だと言われています。
大脳にはもうろう状態の記憶しかなくて、ほかの事との区別がつかない。たとえば、叩く音だけでももうろう状態の記憶とつながり、患者は非常に恐怖を感じるようになります。
もしかして、患者の魂が体から離れたのは、もうろう状態の記憶が作った副産物かも知れません。ただし、PTSDの強烈な恐怖感は極端にリアルで、長い間経ってもなくならないのです。
中医学は生理的にバランス崩れたところを治すことで、精神疾患を治す
中医学はどうやってPTSDを治すのか?
実際に、この質問は間違いです。
中医学は西洋医学の病名を根拠に治療しません。
PTSD、うつ病、妄想症だからこんな風に治す。また、恐怖を感じるから補腎。怒り気味だから肝気鬱結を解決するものでもありません。
患者の詳しい症状をよく分析したあと、体内のどこに問題が起きたかを推論するのが大事。たとえ、心理的な病気でも、必ず生理的にバランス崩れた所があります。私たちが治療するのが、ちょうど生理的に崩れた所。
わずか1週間で情緒不安定が治り、恐怖感も薄れてきた
患者は下焦の冷え・湿気がひどくて、脾虚・肝血虚・肺気不宣などの問題がありました。みんなひどくはないけど、一緒に集まると体もめちゃくちゃになります。
治療はもちろん患者の生理問題(自覚症状)をメインにします。どの漢方薬で大脳の働きがよくなり、ドパミンが増えるとか、そんな事は考えません。
患者は2回目の診察の時に話しました。
「情緒不安定はだいぶ落ち着き、恐怖感は減って発作するときも少ないです。恐怖感の塊は、胸骨あたりにあります。古代のインドヨガ理論でいうと、第三チャクラ(Solar Plexus Chakra)から第四チャクラ(Heart Chakra)、第5チャクラ(Throat Charkra)。漢方薬を飲んでから胸に集まった恐怖感の塊は、徐々に散って体の外側に流れて行きました」
患者の陳述を聞いて、私は非常に驚きました。
患者の瞑想レベルが高すぎたのか、想像力が強すぎたのか、痰と湿気が減るのをチャクラで説明しているのです!
患者はとにかく喜んでました。
ここ10年も治ってないPTSDの恐怖感、1週間の漢方薬で著しく改善され、未来に対する自信と期待が増えたのです。
現代の脳神経科学、古代インドのチャクラ理論など、みんな興味深いものですが、臨床治療で私が従うのは中医学の弁証論治です。ある日、中医学の伝授が定まったら、ほかの人類文明を研究するかも知れません。
(おわり)
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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