こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師:鄭智城先生*1の漢方薬治療例:西班牙裔中年男一次“触目惊心”的急性发炎_郑智城(2012-08-04 発表)を翻訳しました。
目が腫れて痛い男性、目から黄色い浸出液が垂れていた
数週間前、一人の太ったスペイン中年男性が来て、私に中国語で挨拶しました。
「ニーハオ。今日先生のお父さんはいないですか?」
彼は最初、私のお父さんが担当したので、お父さんのほうが印象深かったです。
彼は中国人の印刷会社で働いています。大量の中国語業務があって、彼も自然にある程度の中国語が話せるようになりました。
座ってから彼はサングラスを外して、私に目を見せてくれました。
「目に炎症が起きています」
私は見て背中がゾッとしました。
彼の左目は真っ赤で、大きな黄色い浸出液が垂れて、ア然とするしかなかったです。
中医学の診断:便秘が原因で目の炎症が起きている
私は彼に聞きました。
「なにがキッカケで、こうなったんですか?」
彼は仕方がないように言いました。
「天気が暑くて。ある日、扇風機の掃除をしていたら、たくさんのホコリが飛んで、目に入りました。」
彼は前から便秘症で治療に来てました。今回はちょうど目が炎症で腫れて痛い。「もしかして便秘症と関連性があるのか?」と私は思いました。
眼診では彼の外側に、太くて赤い血管が見えました。
「胸は苦しい時がありますか?」
「そうですね。胸はギュッと縮まる痛みがあるし、心臓のドキドキもあります。」
脈診ではすごく弱い。
「とても疲れやすいですか?」
この問診は要らないものでした。彼は疲労困憊の顔だったので。
見た感じでは虚証も実証もあって、ちょっと簡単には治せないものでした。
処方箋の説明
いろいろ考えてから、彼のお腹を押してみたら、比較的に痛みが強かったです。最終的に便秘を治す大柴胡湯(だいさいことう)を出しました。ただし、大黄を蒲公英1両にチェンジ。
蒲公英はもともと目の炎症が治せます。そして便通を良くする作用もあって、大黄よりは緩やかです。
彼の心臓にも問題があるので瓜蒌(かろ)・薤白(がいはく)を追加し、腎虚証なので鎖陽(さよう)を追加して5日分出しました。
大柴胡湯の症例は、ほかにもあります。
以下の記事、どうぞご参考に。
4日の漢方薬で目の炎症と動悸は全部治った
数週間後の今日、彼は突然入ってきて「名刺をください」と言いました。友人に上げたいそうです。
私はすぐ「前回の漢方薬はどうですか?」と聞きました。彼が言うのは、「あと1日分残っています。目はもう治ったので飲みきってないです。」
「心臓はどうですか?」
「最近は何の不調もなく、調子がいいです。」
私は急いで名刺を渡して、彼を見送りました。
李哲の解釈と感想
鄭先生の治療例を分析します。
便秘は中医学で「陽明病」だと言います。腸に毒素がたまった場合、毒ガスは横隔膜を通って顔にまで上がり、目の炎症になります。治療としては、便通を改善すれば 、目の腫れと痛みも良くなる。
鄭先生のもう一つ治療例がありますが、目の炎症を超えて目から出血していました。それでも同じ漢方薬で治したのです。
宿便の毒素で目の炎症が起きたと言ったら、西洋医学の先生はきっと「はぁ???」と言うでしょう。経絡・気はうさんくさい物だと思われるから。
効果があるのは、その科学的根拠があります。
なぜ効果があるのかを分からないのは、あなたの問題。
西洋医学は目の炎症だから、強い抗生物質を出すでしょう。一時的に良くなるかも知れませんが、根本が改善しないのでまた再発します。
抗生物質の正体、その副作用などには気をつけないといけません。生化学者が書いた論文があるので、ぜひ目を通してください。
目の外側は胆経の太陽穴(瞳子りょう)、三焦経が通ります。鍼治療としては外関、もしくは液門・陽陵泉などが考えられる。それよりも、刺絡(しらく)療法が一番早く目の炎症を治せます。
以前日本の鍼灸専門学校の同級生から話を聞きました。目が真っ赤になって痒かったとき、鍼灸師の知人が耳で刺絡してくれたら、その場で赤みが引いて目のかゆみもなくなって、同級生は感動したそうです。
刺絡療法の凄さ、皆さんは実感してないと思います。以下の記事を読めば、危篤状態の患者さんでも治せるのが分かります。
上記の患者さんは腎虚証+心臓の問題+便秘+目の炎症だけど、一人の先生が全部解決しています。
これが中医学の先生に診てもらうメリット。
病院に行ったら、たらい回しされて大変な事になるでしょう。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
コメント
id:MT6538
m(匞囜) さん
ブコメありがとうございます。
胃腸の毒素は経絡を通じて、顔と目に現れます。
だから、胃腸の毒(宿便)を治せば良くなりますね。