こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師、鄭智城先生*1の記事を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、网友国内70多岁的老爹前列腺出状况_郑智城(2012-11-03 発表)
手術後に尿が出ないのを漢方薬1日で治した例
この治療例は非常に面白いので、皆さんに紹介しようと思います。
以下はネット友たちから来たメール文。
術後5日分の抗生物質で、尿が出なくなり、排尿痛が増えた
~~~引用開始~~~
鄭先生。
朝、先生に電話しましたが、忙しくていなかったです。
私の親が外出して遊びに行ったとき、お父さんは転んで手を骨折しました。お母さんが言うのは、複雑性骨折、骨まで外側に出てきたそうです。その後、病院で手術を受けて、いつ治るかも分からない状態。
手術したので病院の先生は感染症を恐れて、5日分の抗生物質点滴をしました。
ここで問題が出ました。
尿が出なくなったのです。
その後、薬を飲んで少しは良くなったけど。年寄りなので点滴の時に、いろんな薬を入れてました。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防する薬。胃の消化を助ける薬。ほかには抗生物質などなど。
病院の先生が言うのも、「入れすぎたかも知れない…」
前立腺の炎症は薬で少し良くなったけど、今でも排尿痛はまだあるそうです。幸いにも尿は出るし、色も正常。血尿は出てないのです。
昨日、病院で検査をしたけど、一つだけ高かったです。
いま病院の診断では、前立腺に問題があるけど、具体的な原因は知らない。ただ、何個か数値が悪いだけだと言い、たくさんの薬を処方していました。
私はあまり飲ませたくないです。
なんのための薬かも知らない。
病院はただの金もうけだけでしょう。
治療費が高くてビックリしました!
手術後、耳の聞こえが更に悪くなり、気力も落ちた
お母さんが言うのは、お父さんは手術してから耳の聞こえが更に悪くなり、反応が遅くなって気力も前ほどない。
今回転んだのが、ひどかったかも知れません。
病院の先生は、骨粗しょう症が原因だだそうです。年をとると何かしら弱くなるでしょう?
お父さんは普段体が良いです。胃がちょっと弱いくらいで、70歳だと見えません。舌苔も少ない(胃が悪いからだと思います)。あとは耳の聞こえがとても悪いです。
鄭先生、治療してくれませんか?
前立腺の問題と、手術後の回復。
お父さんにたくさんの西洋薬を飲ませたくないです。
~~~引用終了~~~
アメリカ人が薬を飲まない理由、中医学学者がまとめたのがありました。以下の記事、どうぞご覧ください。

漢方薬1日で諸症状が良くなった
以下は私の返事です。
了解しました。
西洋医学の過度な治療で、内臓に負担がかかりすぎです。
前立腺の炎症も、虚証から来ています。
処方:
黄耆6、党参4、白朮4、炙甘草2、当帰3、陳皮2、柴胡2、桔梗1.5、淫羊霍5、補骨脂4、莵絲子5、クコの実5。(単位は銭)

クコの実:滋養強壮効果が大きく、中国ではよくお酒に漬けて飲んだりします。
煎じ方:濃い目に煎じる。茶碗4杯の水で1杯(もしくは1.5杯)になるまで煮詰め、2回に分けて飲みます。1回で茶碗半分。
(もしくは1.5杯分を3回で分けて飲む。つまり、1回で茶碗半分。)
後書き:
報告が入ったけど、「1日目の漢方薬を飲んで良くなりました。とても感謝しています!」などなど。
▼李哲の補足説明:鄭先生には、ほかの治療例もあります。膀胱がんで尿のトラブルがあったけど、漢方薬でかなり改善した例。参考になると幸いです。

李哲の感想と解釈
外科は西洋医学。内科の病気は中医学に診てもらうべき
西洋医学が役に立つのは、2つしかありません。
- 歯科:入れ歯を作るなど、歯の形が壊れた場合のみ。
- 骨折、義肢のつくりなど。
西洋医学の外科は、中医学より強いです。
外科の内容はテクノロジーで、サイエンスではないから。
皮ふの外側に出た骨を戻すのは、西洋医学の外科医にまかせて良いけど、あとの治療は任せてはいけません。内科の病気は、漢方薬・鍼灸を含む自然療法がふさわしいです。
内科の病気を西洋医学に診たもらうのは、短命を買う行動。
上記のお父さんも抗生物質の点滴をしてから、耳の聞こえが更に悪くなり、前立腺のトラブルが増えたのです。
鄭先生のもう一つの治療例を見ても分かります。
手術後に生じた排尿障害。こんな後遺障害があることを知ったら、手術なんかしますか?

鄭先生の処方箋の分析
以下では、鄭先生の処方を簡単に分析します。
- 淫羊霍
- 補骨脂
- 莵絲子
- クコの実
腎臓と肝臓を補う。普通は1つだけ使っても効果あるのに、ここでは4種類も使っています。そうとう補う力が強いはずです。
骨は中医学の理論で、腎臓が作り出しているので、骨折した時は腎臓を強力に補わないといけません。
- 黄耆
- 党参
気力の『気』を補う。
つまり、体と内臓を動かすパワーを補給します。
- 白朮
- 炙甘草
- 当帰
- 陳皮
- 柴胡
- 桔梗
消化系の脾胃・胆嚢(胆汁を分泌して消化を助ける)などを強化します。
桔梗は痰を取り除く生薬で、消化系に溜まっている痰を取る事もできます。
当帰だけ効能が特別で、血を補って貧血を治す最強の生薬。
ほかの生薬は、当帰みたいに血を補うことができません。以下は一つの貧血を治した症例、参考になると幸いです。
すべての臓器は、必ず食べ物から栄養を吸収して、臓器の働くパワーになるので、消化系が弱いとすべてが衰えます。骨折であろうと、前立腺問題で尿が出ない・排尿痛があるでだろうと、前提条件は消化系を強化することです。
中医学で消化系は最も大事なところ。
後天の本(生まれた後の本)だとも言います。
ちなみに、「先天の本」は腎臓。
中医学の考え方に関して、1つの過去記事があるので、どうぞ参照して下さい。

補うときは漢方薬が有利、痛みを治すのは鍼灸が得意
鄭先生の処方は、全体的に見ると補う方向が強いです。
開腹手術のあとは、ほとんど気血を失って免疫力が下がります。だから、補うのは王道ですね。西洋医学の毎日の血液検査で血を抜くのは、患者さんはどんどん貧血になります。
以下の記事で、鄭先生は痛烈に血液検査のムダを批判しました。

漢方薬は医食同源のものが多いので、補うときは鍼灸より強いです。鍼は医食同源の食べ物にではないから。
ただし、経絡のつまりから来る痛みを治すときは、鍼のほうが漢方薬より早いです。
尿のトラブルには、鍼治療も有効
尿が出ない、頻尿、尿もれなど前立腺の問題は、腎陽虚がほとんどです。
腎臓の陽気を強化し、尿が順調に出るようにするツボは、中極、関元、陰陵泉、太谿、三陰交などです。もちろん、当時の状況を見て、ツボが少し変わるからも知れません。
以下は尿のトラブル:くしゃみすると尿もれしそうな症状を治した例。参考になると幸いです。

尿が出ない、排尿痛、頻尿などはみんな鍼治療で改善・完治ができます。
近くの信頼できる鍼灸院に診てもらって下さい。
*1:鄭智城先生の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
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