はじめに
こんにちは、鍼灸師の李哲です。
今回は、妊娠中に「咳をすると尿が漏れる」という悩みを抱える妊婦さんに向けた鍼治療の症例をご紹介します。
妊娠8~9ヶ月になると胎児が大きくなり、膀胱や大腸を圧迫するため、尿漏れや便秘、頻尿が起こりがちです。しかし、これは「仕方ない」と放置すべきではありません。
本記事では、尿漏れの原因と鍼治療による改善方法を、実例をもとに詳しく解説します。
妊娠中の咳による尿漏れの原因とは?
妊娠後期になると、胎児の成長により膀胱や大腸が圧迫されるのが一般的です。これにより、便秘や頻尿が多発します。しかし、咳やくしゃみで尿が漏れるのは正常な現象ではありません。主な原因は以下の通りです:
- 膀胱の貯蔵能力の低下:膀胱が尿をしっかり保持する力が弱まる。
- 腎臓の封鎖能力の低下:尿を適切にコントロールする機能が衰える。
これらは内臓の弱さが背景にある異常な状態です。内臓が強ければ、妊娠後期でも尿漏れや頻尿は起こりにくいのです。
鍼治療で尿漏れが改善した実例
患者さんは妊娠9ヶ月目の妊婦さん。ある日、「最近咳をすると尿が漏れそうで恥ずかしい」と相談されました。私が施術した鍼治療の詳細をご紹介します。
使用したツボと治療方法
妊娠後期ではお腹のツボが使えないため、以下のツボを中心に施術しました:
- 腎兪(じんゆ):腎臓機能を強化。
- 膀胱兪(ぼうこうゆ):膀胱をサポート。
- 大腸兪(だいちょうゆ):便秘解消にも効果。
- 志室下1寸の圧痛点:重要なポイントで、深めに刺鍼。
腰や手足のツボを使い、2~3回の治療で尿漏れが解消。便秘も改善し、患者さんに喜んでいただけました。
治療のポイント
特に「志室下1寸の圧痛点」は効果的で、こうした隠れたポイントを見逃さないことが成功のカギです。
尿漏れに効果的な漢方薬
鍼治療と併用できる漢方薬もおすすめです。以下は腎臓・膀胱機能を強化する代表例:
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腎機能を高め、尿漏れに効果的。
- 海馬補腎丸(かいまほじんがん):体力回復と腎臓サポートに。
具体的な処方は漢方医に相談してください。詳細は過去記事「八味地黄丸の効果」も参考にどうぞ。
自分でできる対策と注意点
鍼治療以外にも、日常生活で尿漏れを軽減する方法があります:
- 骨盤底筋トレーニング:軽い運動で膀胱をサポート。
- 水分管理:過度な飲水を避けつつ脱水にも注意。
いまだに水を多めに飲めば健康になるという馬鹿げた理論があるけど、大間違いです。詳細は以下をご覧下さい。
一日必要な飲料水は2.5リットル、これは間違い!正しいのはのどが渇いた時に少し飲むことです!
関連症例:おばさんの尿漏れ治療
2023年1月28日追記:私のおばさんも尿漏れに悩んでいましたが、鍼治療で改善しました。詳細はこちらの記事「背中痛と尿漏れの鍼治療」をご覧ください。
まとめ
妊娠中の咳による尿漏れは、膀胱や腎臓の弱さが原因です。鍼治療では腎兪や膀胱兪などのツボを使い、数回の施術で改善が期待できます。漢方薬や生活習慣の見直しも有効です。
お悩みの方は、ぜひ鍼灸師や漢方医に相談してみてください。

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