こんにちは。李哲です。
妊娠してから、酸っぱいものを更に好む女性は少なくないです。
中国にいたときの冗談話では、急に酸っぱいものを大量にほしがると、「妊娠したのではないのか?」と言われます。
妊婦はなぜ酸っぱいものが欲しがるのか?
今日は中医学の理論で分析します。
いろんな味と各臓器の関連性(陰陽五行論)
先に酸っぱい、甘い、しょっぱい、苦いなどの味は、どの内臓と関連しているのかを説明します。中医学の聖典:『黄帝内経』(こうていないけい)の原文は以下の通り。
五味所入,酸入肝,辛入肺,苦入心,咸入肾,甘入脾。
『黄帝内経•素问•宣明五气篇』より引用
中医学の理論では、酸っぱいもの(栄養)は肝臓に入る。
たとえばレモン、グレープフルーツは、肝臓を助ける役割があります。酸っぱい味もあり、甘い味もあるのは、肝臓と脾臓両方に入ります。
栄養(味)が臓器に入ると言うのは、その臓器を助ける・役に立つ意味。
適量を食べるのは内臓に良いことですが、食べ過ぎた場合は逆に臓器に負担を掛けるので、臓器の損傷が起きます。これはまた次回で紹介。
欲しがるのは、体内にその「味」が足りない。その味を司る臓器が弱いからである
今日は酸っぱいものと肝臓だけ説明します。
以下の古文を見れば分かりますが、肝臓の役割は倉庫みたいに、血液を貯めること。
「肝藏血、血舍魂」。
『黄帝内経・素問・本神第八』より
西洋医学でも分かりますが、肝臓の中には大量の血管があり、静脈から戻る血液を格納して、解毒してからまた心臓に新鮮な血液を送る。
人間は体内になにか足りない時は、自動的にそれを食べたくなります。
次は日常生活での例を上げます。
例1:しょっぱいものは塩分補給だけではなく、腎機能の強化にもなる
肉体労働で汗をかいて疲れたときは、自然にしょっぱいものを食べたくなります。しょっぱいものは、塩分を補給するだけではありません。
中医学の理論では、しょっぱいものは腎臓にも良いです。
骨を動かす運動、重いものを運ぶときも腎臓のエネルギーを消耗します。重労働で汗をかいたときは、しょっぱいものを欲しがるのは、体の自然な反応です。
ちなみに、塩はもう一つ作用があります。
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例2:酸っぱいものは、集める作用があるので、肝臓に血がたくさん集めるように助ける
肝機能の低下、肝臓に戻る血が足りない時。
人間は自然に酸っぱいものが欲しくなります。
酸っぱいものの属性は、古代の薬草学:『神農本草経』で説明しています。
「酸主収斂」
意味は、酸っぱいものは、集めることができる。
これは、肝臓の機能と同じです。静脈を全部集めて、肝臓の中でリセットする。
もう一つ、酸っぱいレモンなどは強いアルカリ性食品で、体内の掃除(デトックス)ができる。つまり、肝臓の解毒作業を助けることもできます。
だから、酸っぱいものは肝機能の強化ができると、中医学では言います。
上記のレモンと言うのは、自然体のレモンです。市販のレモンジュース、レモン風味の食べ物ではありません。酸っぱいのも、自然のものを指します。
人工的な食べ物と自然の食べ物の違いは、サプリメントの説明を見れば分かると思います。
妊娠中、胎児を養うのは大量の血液、つまり肝臓がフル活動の時期
妊娠中は大量の血液で、胎児を養う必要があります。
血液というと、血液の倉庫:肝臓が必ず関わる。
もう一つ、子宮の中を通る経絡は、肝臓の経絡しかありません。つまり、子宮への栄養(血液)を提供するのは、肝臓の経絡が大事です。以上の2つの理由で、妊娠中は肝臓がフル回転。
たくさんの血を肝臓に集めて、子宮にいる胎児に送る必要があります。
もともと肝臓が強い女性は、自力でも肝臓にたくさんの血が戻って、大量の新鮮な血が作れるので問題ないです。
しかし、肝臓が弱い女性は、外部から酸っぱいものを食べて、肝機能を強化しないと間にあわない。
妊娠中に酸っぱいものを食べたがるのは、体が自分で自分を救うための防衛反応です。
肝機能が弱い人の例をあげると、肝炎(B型肝炎、C型肝炎)があります。西洋医学では肝炎ウィルスを殺す薬で、患者さんの免疫力もガタガタになるけど、漢方薬は肝炎の諸症状をすぐ治せます。以下は一つの症例、参考になると幸いです。
酸っぱいものを選ぶときは、自然なもの限定!
自然な酸っぱいものであれば、なんでも構いません。
酸ラタン、梅、果物、お酢(米酢限定)など適当に食べるのは、肝臓にとても良いです。
ただし、人工的に作られた酸っぱいもの(例えばクエン酸)は体内に入ると強い酸性物質になり、胃が荒れて逆流性食道炎になるので気をつけてください。
あなたが妊婦であろうと男性であろうと、ある日急に酸っぱいものがすごい欲しくなったら、肝機能の低下が原因です。
食生活習慣など見直し、余裕がある方は信頼できる鍼灸医・漢方医に診てもらってください。
(おわり)
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