コロナのひどい咳、痰が喉に絡むのを著しく改善した鍼治療例。コロナの咳がなかなか治らない原因も分析します。

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コロナの熱が下がったけど、痰と咳が治らない女性

こんにちは、李哲です。
コロナの鍼治療例を一つ公開します。

2022年9月7日(水)
30代女性、常連さん、久しぶりに鍼治療にきました。

どうやらコロナになったみたいです。
4日前から熱が続いて、解熱剤を飲んで37度代にでなったけど、その後からひどい咳が現れた。痰は白色がメインで、たまに色がつく痰。今日は小青竜湯しょうせいりゅうとうを飲んで、咳が少し緩和したそうです。

ほかにある症状は、胃が辛くて食べられない。ほかの臓器が腫れ上がって、胃を圧迫して食べられない。(これは彼女の持病、以前通ったときからありました。その時は鍼治療で良くなったけど、最近また再発)

鍼1回刺しただけで咳が改善

今日鍼したのは風門、肺兪。中府、尺沢、内関、公孫、然谷(瀉法)、足三里(瀉法)、中脘、上脘、関元。

うつぶせで鍼刺した後、すでに深呼吸がしやすくなりました。仰向けで刺した後は更に楽になり、帰るときはだいぶ収まって、本人はすごい喜んでました。

今日の鍼治療以外に彼女は漢方薬も飲み始めました。
小青竜湯しょうせいりゅうとう桔梗石膏ききょうせっこう

不慮の事故、気胸になったけど鍼でまた治した

2022-9-10
なんと気胸になりました。
私のミスで深く刺したのが原因。
幸いにも1回でほぼ治したこと。詳細は以下の記事をご覧ください。

2022-9-13
彼女の報告:
気胸で肺が辛かったのはもう治った。
むせるような咳が連発する時があれば、出ない時もある。

以前も風邪を引いて咳が長引くことがあり、小青竜湯しょうせいりゅうとう桔梗石膏ききょうせっこうを飲めばすぐ治ったけど、今回はあまり効かないそうです。漢方薬は小青竜湯しょうせいりゅうとう苓甘姜味辛夏仁湯りょうかんきょうみしんげにんとうにしました。

背中のツボを追加してから、咳は更に楽になった

2022-9-15
彼女の報告:
漢方薬を飲んでるけど咳は変化なし。寝ると咳が楽、立っていると咳が多く出る。

前回は背中のツボを刺してないので、今日は背中のツボを追加しました。肺兪、心兪、風門。仰向けでは中府、魚際、内関、太淵、足三里、公孫、豊隆。

帰るとき彼女が言ったのは、「今までの鍼で1番楽になった感じです

2022-9-21
彼女の報告:
咳はまだある。
夜より外出した日中のほうが多く発作。

今日刺したツボは前回とほぼ同じ、腎兪を追加しただけでした。

込み上がる痰は、鍼を刺した瞬間から落ち着いてきた

2022-9-27
彼女の報告:
前回鍼してから昨日までは咳してなかったけど、今日はかなり咳が多い。喉に痰が込み上がってくる。

今日は置鍼している間、咳とともに痰が込み上がってきたので、途中で鍼を1回回しました。そしたら、咳はすぐ落ち着きました。しかし、その後また咳が出たので、今回は天突を追加。刺した瞬間から咳がなくなりました。

帰るとき、彼女が言うのは、「天突、兪府穴などの鍼を回したとき、込み上がってきた痰が落ちていくのが分かります。今は喉周辺がスッキリ!

2022-10-8
彼女の報告:
咳の頻度はだいぶ減ったけど、痰は変化なし。
今日はお腹にガスが溜まって張っている。

刺したツボは公孫(瀉法)、内関、中脘、下脘、関元、水道、陰陵泉、地機、三陰交、足三里、内廷、中府、兪府、列缺。

面白かったのは列缺で瀉法を行ったら、速攻で喉に込み上がる痰が減ったこと。帰るとき彼女はまだ少し咳をしてたけど、「喉の痰はなくなった」と言ってました。

咳はほとんど治ったので”卒業”

2022-10-14
彼女の報告:
咳はだいぶ良い。たまに出るくらい。
胃腸の調子が悪くて、食べるとお腹が辛い。

私が聞いた限り、彼女の咳は濃い痰が肺の深部から出る響く音
今日刺したツボは前回とほぼ同じで、少しアレンジしただけです。

2022-10-18
彼女の報告:
咳はたまに出るくらい。
胃が辛いのは、前回の鍼で治ったけど、まだたくさん食べられない。子宮筋腫があるところ(右そけい部)がたまにギューっと痛くなる。


鍼する前に咳するのを聞いたけど、まだ痰がある感じでした。今日刺したツボは前回とほぼ同じ。

その後、数回鍼治療に来ましたが、回数券が終わると同時に卒業することにしました。咳はほとんどなくなったから。完治までは行ってないですが、日常生活に支障をきたすほどでもない。あとはしっかり養生すれば自然に治るでしょう。

鍼治療が長かった原因は2つある

今回の鍼治療を繰り返してみます。
2022-9-7からひどい咳で鍼治療を始め、1回目の鍼をしてから咳が減り始めました。そして、2022-10-14には咳がだいぶ良くなって、たまに出るくらい。鍼治療のペースは週1~2回、落ち着くまで1ヶ月かかり、治療期間が少し長いほうでした。

なぜ長かったのか?
原因は2つあります。

①コロナの咳は頑固


コロナの咳は、私の想像以上に頑固でした。
これは私が最近何人かコロナの咳を治療した感想。
ほかの漢方医の症例を見ても、肺のレントゲンに影が現れるくらいなので、相当のしつこい痰が肺にくっついて、ひどい肺炎のような感じでした


一般的なカゼ、インフルエンザの咳はすぐ治るけど、コロナの咳は頑固で1~2回で治らない。鍼1~2回で咳は改善しますが、だいぶ良くなる(完治)まで回数がかかります。

②心臓が弱いと咳の治りも遅い

2つ目の原因は、彼女の心臓が弱い
体質が原因だともいえます。

少し前に発表した女性の例も、同じ原因で治すのに時間がかかりました。詳細はコロナ後遺症、咳が止まらないのは3分1まで減り、冷え性・寝付けられない症状が1回で改善されてビックリした【鍼治療例】をご覧ください。


咳と痰の原因は主に肺にあるけど、隣の心臓に問題があると肺の回復が遅れます。だから、中医学は肺を強化すると同時に、心臓も強化している。また痰の源は胃腸なので、胃腸の調子を整えながら、子宮筋腫が原因のお腹の痛み・むくみを改善しないといけない。水の代謝が悪いと、上部の心肺機能に影響するからです。

西洋医学では咳止め薬で終わりでしょう。胃の不調、お腹のむくみ、子宮筋腫の痛みなどは別々の科になり、治らないままたらい回しされるのがほとんど。中医学は全体的に治していくので、パッと見た限り治療期間が長いけど、患者さんがもらう利益は想像以上に多い。あちこち同時に改善できるから。

おわりに

私の経験だと頭痛、高熱、体の痛みなどは1番治りやすい。朝飯前だと言っても過言ではありません。以下の症例、参考にしてください。

唯一、コロナの咳は頑固で治療回数がかかる。
治せないわけではなくて、時間がかかるだけなので忍耐強く1~2ヶ月通う必要があります。

(おわり)

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