こんにちは、李哲です。
スタンフォード大学の博士、李宗恩中医師1の治療例を翻訳しました。コロナの後遺症、呼吸困難などで困っている方へ、参考になると幸いです。
コロナ後遺症の鍼治療例もありますが、まだ書き終わってないので、記事が完成次第に公表します。漢方薬と鍼、どちらも呼吸困難などを治せることを知ってください。
(2022-7-19発表)
2回もコロナになり、余命6ヶ月だと宣告されたおばあちゃん
4割のカリフォルニア住民は、ラディン系の人たちです。診療所の患者さんも当然にラディン系の患者さんが多い。治療することで、ほかの人種との違いが分かりました。数年前から発見したのは、ラディン系の人はアジア人よりも漢方薬の効果が高い、軽い薬で効果が出るのです。
今日話す患者さんは、ラディン系の80代のおばあちゃん。子供は5人いて、みんな結婚して子供を産んでいます。一人の子供だけカリフォルニアに住んでなくて、ほかの4人は近所に住んでいる。みんな集まってパーティーをやる典型的なラディン系家族です。
不幸にもおばあちゃんは高血圧、糖尿病などの持病があり、去年2回もコロナになってから肺がひどく損傷し、呼吸困難で酸素ポンプに頼るしかなかったです。西洋医学の診断は、余命6ヶ月。治療を止めて、ホスピスをすすめ帰宅させました。
フロリダ州に住んでいるおばあちゃんの息子を治療したのは、ちょうどニハイシャ先生の弟子兼友人。その友人は患者さんを私に紹介したのです。
主訴は①呼吸困難で歩けない②脇腹・背中が非常に痛い
初診時、おばあちゃんは1歩歩くのも大変でした。頑張って杖をついてるけど、家族が支えながら引っ張って診察室に入りました。
おばあちゃんは英語が話せない。息子も英語がうまくないので、スペイン語+英語で私に病状を説明しました。西洋医学の診断以外に、患者さんは2つの問題があるそうです。
1.呼吸困難。
数歩でも歩けなくてゼーゼーハーハーする。
これはもちろん肺の損傷と関連しています。

コロナの後遺症で肺がひどく損傷し、呼吸困難になったおばあちゃん
2.肝臓と胆のう当たりが非常に痛い。
その痛みは右肩と右背中まで伸びている。
これは肝臓と胆のうに問題があることを示します。西洋医学は診断できてないのか、もしくは余命6ヶ月だから、肝臓と胆のうはどうでも良いと思って伝えてないかも知れません。
中医学の治療方向
中医学治療はどうするのか?
理論的には2つの方向を同時進行。
1つ目は患者の肺を守る。
2つ目は肝臓と胆のうの毒素を出す。
患者は年を取っているし、体が非常に弱まっているので、激しい治療はふさわしくないです。その上、ラディン系の人はアジア人よりも漢方薬に過敏なので、強い生薬が原因で患者さんが耐えられない、もしくは悪化するかも知れません。
呼吸困難は改善されたけど、脇腹・背中の痛みで耐えられない
おばあちゃんの一家と何度も討論したあと、焦らずゆっくり治療してみることにしました。最初は軽い粉薬からスタートして、おばあちゃんの反応を見てから決める。
最初は苓桂朮甘湯、半夏厚朴湯をアレンジして、少量の粉薬を出しました。漢方薬を飲んだ一日目、おばあちゃんはなんと3回も吐き出したのです。しかし、おばあちゃんはすごい頑張り屋で、吐いても続けて飲みました。
3~4週間後、おばあちゃんの呼吸困難は改善され、歩くときはまだ非常に疲れるけど前より良くなりました。
呼吸困難と脇腹・背中の痛みを同時に治療できない理由
このとき、おばあちゃんは「肝臓と胆のうあたりの痛みと肩、背中の痛みを治療してほしい」と言ってました。痛すぎてご飯もちゃんと食べられない、夜は眠れなくて生活の質が下がって毎日笑えない。
おばあちゃんの要求は私を困らせました。
一つ目は、肺を守らないと長生きさせることができない。
2つ目は、肝臓と胆のうの毒素を出す生薬は、非常にまずくて吐き気がします。おばあちゃんは若者みたいに、3~4週間も頑張って飲めるとは限らないのです。
私はおばあちゃんと家族に詳しく話しました。ちょうど今回は孫が通訳してくれて楽。長い時間討論したけど、おばあちゃんにマズイ漢方薬を飲ませるかどうかに関しては決定が出ていません。
漢方薬は同じで、鍼治療を追加してみることを決意
最後、私は患者さんの代わりに決めました。
漢方薬は同じものを使って、肺を守ることを優先する。でも、別の方法でおばあちゃんの痛みを改善できないかを試して見ましょう。
前回おばあちゃんが来たとき、まだまだ気血不足の状態で、鍼治療のタイミングではなかったです。でも、私は鍼で背中と肩の痛みを治すことにしました。肝臓と胆のうの痛みは解決対象外。刺したのは左右の陽陵泉透陰陵泉。左の条口透承山。
漢方薬はもともとの処方箋に旋覆花代赭石湯の粉薬を追加しました。あまり期待はしなかったけど、なんとかしないといけなかったのが現状。
鍼は下から上まで、漢方薬は上から下まで作用することで、背中の痛みを少しでも軽減できればいいと思って。このような発想、私もおかしいと思いました。しかし、ラディン系の患者さんは漢方薬に過敏だし、試すのもありだと思ったのたです。
鍼1回で痛みが半減し、漢方薬を飲んでからすべての痛みが消失
おばあちゃんは今日の午後来たけど、杖がなくなり、一人で歩いて診察室に入ってきました。顔色はだいぶ良くなり、いっぱい会話しました。私はラディン語がわからないけど、孫の翻訳があって助かりました。
おばあちゃんは現在前より長く歩けるし、よく食べられてよく寝られる、気分も非常に良い。この孫は初めて診察に同伴して来ました。私が「おばあちゃんの痛みはどうですか?」と聞いたとき、孫は何を言っているのか分からない表情でした。
おばあちゃんは前回の鍼をしてから痛みは半分以下になり、漢方薬を飲んでから全部取れたのです。痛みがなくなってから、この孫が看病に参加したので、おばあちゃんが痛がっていたことを知りません。
念のために、私は2回も確認しました。おばあちゃんは手振り身振りでスペイン語で話し、孫がまた英語に翻訳してくれました。やっぱり痛みは消えたそうです。
抜群の治療効果は、神さまからのプレゼント
私は非常に驚きました。
今回の作戦にさほど期待してなかったのです。10分の1の痛みが取れたら神さまからのプレゼントだと思いました。しかし、おばあちゃんの数ヶ月の痛みは全部治りました。おばあちゃんの症例で、ラディン系の生命力がいかにも強いのか、私はもう一度認識しました。
今回の治療で私の医術はほんの一部しか功を奏してない。大部分はおばあちゃんの生まれつきの生命力!
ラディン系の人たちの回復力が強い理由
なぜラディン系の人は生命力が強いのか、的確に解釈した医学研究はまだありません。臨床での観察から以下の原因が関連していると思います。
1.ラディン系の人は、熱帯で生まれなくても親もしくは祖母が熱帯から来ている。寒さにやられたのが少ないので、生まれつきの陽気が損傷した可能性は少ないです。
2.ラディン系の食事。
様々な豆類、Taco、Fajita、Burritoなど伝統的な料理にはいろんな豆を入れています。中医学の理論で、豆は腎臓に良いです。
南米のブラジルの昼定食、豆がいっぱい入っています
3.ラディン系の人は楽観的な人が多い。たくさんの人は儲かったらとりあえず飲んで遊ぶ。明日の家賃払えなかったら、その時また考えるやり方で、アレコレ心配したりしません。
4.ラディン系の家庭観念は重い。
中国人よりも家庭を大事にしている。
カリフォルニアは毎回休日になると、公園にはラディン系の人たちで溢れます。祖父、子供、孫、孫の子供…30~40人が集まって肉を食べて歌いながら踊るパーティーは、よく見かけます。こんな強い家庭団結力のおかげで、病気の苦痛に遭っても耐えられるのです。
おわりに
私はカリフォルニアで開業できて幸運だと思います。様々な国からきた人種がいて、さらに海外から飛行機で治療に来ている人もいるので、いろんな病状・体の状態が分かりました。
いろんな人種の漢方薬飲んだあとの反響から、古代の本に書いている記述も逆推測できて、理解を深めることができました。中国人に見られない珍しい病状でも、古代の本の記述が間違ったとは言えません。先生がそんな患者さんに会ってないだけです。
(おわり)
李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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