コロコロ便が続くのは小腸がつまった時、麻子仁丸で治せる理由も解釈します。

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コロコロのウサギ便には、麻子仁丸がオススメ

こんにちは、李哲です。
今日話すのは漢方薬下剤。

大腸がんであろうと一般の便秘であろうと、西洋医学は一律下剤を出します。ダメだったら浣腸。漢方薬は様々な処方箋で便秘に対応しています。その中で一つ特別なのが「麻子仁丸ましにんがん」。コロコロのウサギ便を専門的に治します。

昔は、年寄りだけこのような便秘になっていました。年をとりすぎて腸の働きが弱くなり、腸の水分が少なくなって、硬いウサギ便が出たのです。

現在はどうでしょう?
病院の薬が氾濫して胃腸機能が乱れる人が多いから、若者でもコロコロ便が出るようになりました。

コロコロするウサギ便は麻子仁丸で治せる

コロコロするウサギ便は麻子仁丸で治せる

コロコロ便が出るのは小腸がつまっているから

一般的に便秘だと、皆さんは大腸がつまっていると思うでしょう。しかし、宿便は大腸以外に小腸に詰まる時もあります。

小腸は大腸と構造的に違って、グニャグニャ曲がっています。だから、宿便が詰まる時は、球状のコロコロ便になりがち。

もう一つ、小腸がつまった時、コロコロ便ではないけど便が出ないケースもあります。この時は違う漢方薬になりますが、説明が長くなるので省略させていただきます。

便秘の原因が小腸なのか大腸なのかは、便の形を見れば分かります。前にも話しましたが、中医学は外側から中の状況を判断する医学。わざわざ患者を苦しませる大腸内視鏡検査をしなくても済む。

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麻子仁丸はなぜ効くのか?その構成を分析

麻子仁丸ましにんがんの構成を分析すると、なぜ便秘を治せるのかが分かります。

以下はその構成。

  • 麻子仁(マシニン)
  • 杏仁(キョウニン)
  • 大黄(ダイオウ)
  • 厚朴(コウボク)
  • 枳実(キジツ)
  • 芍薬(シャクヤク)
●麻子仁は腸を潤う生薬。油が多いです。
●杏仁は肺を潤う生薬。肺と大腸は表裏一体なので、腸の機能を強化することができます。
●大黄は宿便を無理やり押し出す攻撃性の生薬。
●厚朴は詰まったものを降ろすパワーがあって、腸を広げる作用がある。
●枳実は腸を広げる同時に、ほかのところから水分を運んできて腸を潤う。
●芍薬は平滑筋の痙攣、つまり腹痛を治す代表者。

簡単な説明だと以下の通りです。
宿便を無理やり押し出す同時に、痛くならないように腸を潤わせながら広げる。それでも心配だから、腹痛を予防する芍薬を配合。

漢方薬って至り尽くせだと思いませんか?

漢方でたくさん使われる芍薬、その花まできれいですね~

漢方でたくさん使われる芍薬、その花まできれいですね~

もちろん、生薬の組み合わせは簡単に解釈できるものではない。複雑な共同作業ですが、私のレベルでは説明が難しいので止めときます。

日本でもっとも売れている「葛根湯」も至り尽くせの代表作です。詳しく解釈した記事もあるので、良かったらご覧ください。

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麻子仁丸は「わりと優しい」漢方薬下剤

麻子仁丸ましにんがん以外、漢方薬には大承気湯・小承気湯・大柴胡湯など強力な処方箋があります。それらと比べたら、麻子仁丸はわりと優しい印象。なぜかと言うと、攻撃性の大黄が主役ではなくて、腸を潤う麻子仁が主役になっているからです。

麻子仁の画像

麻子仁の画像

余談話ですが、麻子仁は大麻の種。製薬会社は法律を利用して大麻を禁止しているけど、大麻の種は古くから漢方薬として使っているので禁止ができない。良くわからない理屈です…依存性がない最強の鎮痛剤、大麻が合法的になったら製薬会社の悪夢ですね。

麻子仁に関しては、鄭智城先生の記事で説明があるので、良かったらご覧ください。

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麻子仁丸ましにんがんはわりと優しい下剤なので、昔は体力がない年寄りの便秘に良く使われていました。もちろん、コロコロ便が主流ですよ。年寄りだからと言って、何でもかんでも「便秘には麻子仁丸ましにんがん!」というわけでもありません。大腸がんなど頑固な便秘のときは、大黄が主役になる処方箋じゃないと便が出ない。どういう漢方薬下剤が良いのかは、漢方医と相談したほうが良いです。

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一つ注意が必要なのは、少量だけど大黄が入っているので、人によって下痢になるかも知れません。その時は、自分で飲む量を減らしてください。

足つぼ整体・鍼灸でも便秘を治せる

便秘を治す自然療法はたくさんあります。以前行った足つぼ整体も治せるし、現在やっている鍼灸治療はさらに効果的です。もちろん、ほかの食事療法・運動療法などもあります。

病院の薬はただ宿便を出すだけで、胃腸機能が良くなるわけではない。根本的に治したい人は、病院の薬以外の治療方法を探してください。

足つぼで便通がよくなった女性

漢方飲んでもあまり効果が感じない方。
足つぼ整体が一つの選択肢なので試してください。

この前、一人の女性。
足つぼだけでは便秘が治らないと心配して麻子仁丸ましにんがんを教えましたが、次に来たとき彼女が話したのは「前回足をやってもらってから便通が毎朝あるので、漢方は買わなかったです」

便通がよければ、確かに買う必要もないですね。
お金がもったいないです。

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便秘を治した鍼灸症例

足つぼ整体と違って、鍼灸は直接お腹の深部に鍼を刺すので更に効果的です。今までの施術例から見ると、便秘は1回だけでも改善できる、もしくは治ります。腫瘍ができた大腸がんでなければ、鍼の即効性はすぐ見られます。以下は一つの症例、参考になると幸いです。

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※2010年の記事ですが、ほとんど書き直したので現在の日付として発表しました。

(おわり)

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