こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師、鄭智城先生1の治療例、中医如何处理:8岁男孩咳嗽吐血_郑智城_新浪博客を翻訳しました。子供とお母さんの咳を1~2日で治した例。関連の処方箋は私が解釈しているので、参考になると幸いです。
子供の咳は甘草干姜湯を飲んで治り、血痰も改善。お母さんの咳は2日で治った。
最近治療した8歳の男の子。
症状は風邪を引いた後、咳が止まらなくて、痰の中に血が混ざる(血痰)。
病気になる前後の話を聞いたら、数日前に風邪を引いて熱がある時、すごく喉が渇くので前の漢方医は小柴胡湯+石膏を処方して、飲んでから熱が下がったけど咳だけが残った。しかも咳する時に頭痛がする。
脈は濡。
舌診では、薄い赤で潤っている。
処方箋は、甘草乾姜湯1日分だけにしました。子供のお母さんも風邪を引いて、毎晩咳が止まらないと言うので、小柴胡湯2日分を処方しました。
あとで話を聞いたら、子供は3分の1の煎じ薬を飲んで咳がなくなり、痰に血が混ざるのは大幅に減った。
お母さんの病状は逆に悪化し、咳がひどくなり一晩中咳が止まらない。私は処方が間違ったことに気づいて、すぐ変えました。甘草、乾姜、黄耆、当帰、五味子、2日分。
あとで確認したら、1日分を飲んで咳が6割なくなって、2日分を飲んだら完全に咳が治った。
男の子の咳、病院に行ったらすごい事になるでしょう。
病院の治療で患者と家族がめちゃくちゃ疲れ、治療しないと死にそうな勢いで、西洋医学のお芝居が続きます。
李哲の解釈と感想
処方箋の解説
甘草干姜湯は甘草2:干姜1の比例で作られ、2種類しか入ってない非常にシンプルな処方箋です。でも、効果バツグン。子供は1/3の漢方薬を飲んで、すでに咳が止まり、血痰も減りましたね。
子供の舌診では、薄い赤で潤っている。
肺の陽気が足りないから、咳が治らない。咳しすぎて血管が破れ、血痰が出たと判断できます。

干姜(かんきょう)、胃腸と肺を温める作用がある生薬
甘草、乾姜、黄耆、当帰、五味子を処方した意図は、おそらく干姜五味甘草湯+黄耆+当帰だと思われます。干姜五味甘草湯は、また甘草干姜湯+五味子したもの。
つまり、子供とお母さんはみんな甘草干姜湯をベースにしています。子供は超基本のシンプルなやつで、お母さんは気を補う黄耆、血を補う当帰+咳を収める五味子を追加しています。
甘草干姜湯をベースにした漢方薬症例は、もう一つあります。以下の記事、どうぞご覧ください。
鍼灸でも咳を治せる
鍼治療で咳を治す場合、寒証の咳か熱証の咳か関係なしで、肺兪+中府から雲門までつなげるのが普通。一般的に肺兪だけでも十分効果があります。あとは列缺、魚際などのツボが選べられます。
ひどい咳の場合、肺経の子穴:尺沢穴がとても有効。 董氏奇穴の重子、重仙、水金、水通なども良い選択肢。どちらを選ぶかは鍼灸医の好みですね。以下は尺沢穴一つで、イガイガする喉と咳を治した例、参考になると幸いです。
子供の血痰を見て、慌てて抗生物質の点滴を受けないでください。抗生物質は免疫システムを破壊するので、体温がどんどん下がって寒がり・冷え性になります。また、胃腸も冷えてくるので、食欲不振にもなります。
風邪を治すなら漢方薬、もしくは鍼灸。
西洋医学には風邪のウイルスを治す薬がありません。抗生物質は風邪治療に百害あって一利なしのもの。
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
コメント
李哲先生、こんにちは。
数日前はてなブログに移ってこられたという記事をTwitter拡散した人がいて、拝見しました。
先生の記事は大変おもしろく、勉強になります。
私は都内で仕事する鍼灸師です。Twitterは仕事と紐付けしたくないので、身分を明かしておりません。
そのため拡散のご協力できず申し訳ありません。これからも楽しみに読ませていただきます。
匿名 さん:
こちらこそ、読んでいただける事でありがとうございます。今後も有益な情報発信になるように頑張りたいと思います。