こんにちは、李哲です。
アメリカでの中医師、鄭智城先生1の記事、是药三分毒是对中药一知半解的说法_郑智城(2012-09-18 発表)を翻訳しました。
「薬であれば皆毒を持っている」説を批判した内容です。漢方薬に対する認識が変わると幸いです。
「是薬三分毒」は間違った認識
「薬であれば3分の毒を持っている」
この都市伝説は中国人が発明したものです。
見た感じでは客観的で科学的そうです。
たくさんの中医学業界の人も、この説を認めています。
しかし、よく考えるとこの話は間違っている。
生薬は上・中・下品の3種類がある
皆さん、中医学の4大聖典の一つ、『神農本草経』を読んだ事があれば、『神農本草経』は生薬を上品・中品・下品に分けているのが分かります。
上品:毒性がなくて、滋養強壮効果がある
上品に属している生薬は、性質が穏やかで毒性がない。
長期的に服用しても大丈夫で、滋養強壮効果があります。
だからこそ、上品に属しているのです。
上品の代表者は人参(性質はほんの少しだけ寒、韓国人は年中サムゲタンを食べている)、甘草、天門冬などなど。

超有名な生薬、人参(にんじん)。参鶏湯(サムゲタン)のサムが人参です。
下品:強い毒性があり、緊急救命が得意
下品に属している生薬はほとんど毒性があり、重病を治すのに使うものです。現代医学でいうER緊急救命室で使うもの。
例えば附子(トリカブト)、烏頭(うとう)、大黄、半夏などなど。このような生薬は、しょっちゅう使うものではありません。
中品:毒性は少~中、一般の病気治療で使う
中品に属しているのは、上品と下品の間のやつ。
例えば麻黄・当帰・芍薬などなど。

幅広く使われる生薬、芍薬(しゃくやく)の花も観賞用として有名
ここで分かりますが、漢方薬はすべてを含めていて、なんでもありです。すべての自然に生まれてもの、水も米も含めて漢方薬として使えます。『本草綱目』がこのような生薬の百科事典です。
こんな状況を踏まえ、生薬であれば3分の毒だと言うのは論理思考に合わない。
西洋薬は下品よりも下品な部類
漢方薬は西洋薬と違います。
西洋薬は合成された化学薬品。純度が高くて、性質が非常に偏っています。基本的に生薬の下品よりも下品。だから、薬であれば3分の毒性があるというのは、西洋薬に適している。(西洋)薬であれば3分の毒性があるのが正しい。
健康な人にとって、上品に属している生薬をよく食べると滋養強壮効果があり、元気で長生きできます。全然問題がない。良い所だけで、悪い所はありません。
李哲の追加説明
生薬を上品、中品、下品に分ける理由
鄭先生の話した通り、生薬は上品、中品、下品に分けられています。
生薬の種類 | 代表的な生薬 | 毒性 | 使用場面 |
上品 | 人参、甘草、天門冬など | ない | 普段の養生・滋養強壮剤 |
中品 | 芍薬、当帰、麻黄など | 小~中の毒 | 病気治療 |
下品 | トリカブト、ウトウなど | 大毒が多い | 重症・難病・救急救命 |
3種類の格をつけるのは、尊いとか階層を分けるためではありません。どんな時に使って良いのかを示すためです。
表記したように、病気になったときは必ず下品・中品を主役として使います。滋養強壮効果がある上品も病気治療に使いますが、あくまでも脇役で主役ではありません。そして病気が治り、もっと体力をつけたい・元気になりたいときに登場するのが上品の生薬。
例えばヨクイニン。
中国有名な薬膳:『四神湯』の材料の一つです。日常で食べると湿気を取ってくれるので、ダイエット効果があり、湿疹・汗疹などにも効果的です。
無数の人体実験を通して、生薬は昔から厳格に使用基準があり、適応症が決められました。こんな厳密な科学的な漢方薬を誤解するなんて、『神農本草経』も読んだことがない人でしょうね。中医学を批判したいときは、先に中医学の著作を読まないとダメです。
鍼灸は漢方薬と違って上品、下品の差がない
鍼灸は漢方薬と違って、あなたが病気なくても大丈夫。病気がある場合は、さらにOKです。例えば中脘は胃痛、下痢を治せます。健康な人に中脘を刺しても、腸が動きすぎて下痢になったりしません。
特にお灸は滋養強壮効果もあって、鍼みたいに専門知識がない素人でもできるので、昔から民間で幅広く使われていました。以下は良く使われるお灸のツボを紹介した記事、参考になると幸いです。


人工的に合成された化学薬品は言うまでもない。任意の西洋薬の添付文書を見て下さい。その副作用は本来の治療項目よりも多くて、目が点になるほどです。
(おわり)
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
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