こんにちは。李哲です。
アメリカの中医師:李宗恩博士*1の漢方薬治療例を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、早上起床頭痛嚴重、胸口刺痛 – 當張仲景遇上史丹佛
(2014-2-24 発表)
胃がキリキリ痛い、胸が刺されるように痛いのは、漢方薬1週間でで治った。
30代の男性、ポルトガル人。
初診は2014-2-13。
彼の主訴:
- 朝起きると頭痛がひどくて、頭が締め付けられる感じ。
- 胸が刺されるように痛い。
- 運動したあとは非常に疲れる。
- 胃はたまに焼かれるように、キリキリ痛む。
以下は問診内容です。
寒熱:夜は手足が冷えやすい。
汗:寝汗をかく。
睡眠:12時過ぎて寝るけど、睡眠の質はまずまず。以前は朝スッキリ起きられたけど、今は調子悪い。
食欲:強すぎる。
便通:1日1回。
尿:2~3時間に1回。
口渇:正常。
性機能:正常、ただし週の半分だけ朝たちがある。
▼李哲の説明:朝たちは男性の健康状態をチェックする一つの基準。誰でもこの基準をもとに、セルフ健康チェックができます。
脈診:平穏、少し弦脈で有力。
舌診:少し柔らかくて弱い。
眼診:肝臓と脾臓の反射区に異常がある。
処方箋:葛根 桂枝 芍薬 炙甘草 なつめ 生姜 枳実 薤白 瓜簍実 人参 白朮 黄精 巴戟天 陽起石 白芷 黄耆 川芎
鍼灸のツボ:公孫、内関、百会、巨闕、関元。
【▲陽起石(ようきせき):腎臓の陽気を補う作用が強い生薬】
2014-2-21
彼の報告:
朝起きると頭痛がする。
胃がキリキリ痛むのは治った。
胸が痛いのも、だいぶ良い。
脈診:少し弦、浮。尺脈が長い。
舌診:舌苔は少し厚くて白い。
処方箋:前回同様。
鍼灸のツボ:前回同様。
李哲の解釈と説明
胃が焼かれるようでキリキリ痛いのは、西洋医学で「胃食道逆流症」だと診断するかも知れません。別名、逆流性食道炎。制酸薬を処方するのが一般的だけど、その副作用は①便秘②下痢③胃酸が減るので、食中毒に遭う可能性が高まる。
中医学は逆ですね。
胃のキリキリする痛みを治すだけではなくて、便秘と下痢も治せます。過去の足つぼ整体の症例があるので、参考になると幸いです。
次は処方箋を分解しながら解釈します。(レベル不足のため、解釈が拙いところがあるので、あくまで参考にしてください。)
- 葛根 桂枝 芍薬 炙甘草 なつめ 生姜は「桂枝湯」+葛根。
- 桂枝 枳実 薤白 瓜簍実は、枳実薤白桂枝湯(きじつがいはくけいしとう)から厚朴を削除したもの。
- 白朮、黄精は脾臓を強化する生薬。
- 巴戟天、陽起石は腎機能を強化する生薬で、朝たちが増えます。
- 白芷、川芎は頭痛に良い生薬。
- 人参、黄耆は補気。
処方を分解する目的は、その先生の治療方向を確かめるためです。
治療効果から見れば、李宗恩博士の処方箋は非常に有効。
李宗恩博士の心臓疾患に関する症例は、数多く翻訳しました。ほとんど飲んですぐ効果が現れています。以下は一つの症例、参考になると幸いです。
漢方薬+鍼灸だと相乗効果もあるので、さらに効果が高いですね。
一般的な心臓が痛いのは、鍼だけでも十分効果があります。ツボは上記の通り。秘孔なんか存在しません。普通に刺すだけで効果があるはずです。以下の記事、参考にしてください。
心臓が痛い、胸が刺されるように痛いなどは、心臓に不調が出た時の初期症状です。人によって、すぐ自力で治って二度と再発しないケースもあるけど、何回も続けて心臓の痛みが起きた場合は治療が必要です。
意味不明な心電図検査など受けても、初期症状が現れた時は検査値には出ません。よっぽどひどくなり、心臓が痛くて顔が真っ白になって、脂汗をかかない限り。でも、この時は死ぬ直前で手遅れかも知れません。
◆20年の糖尿病治療薬で心弁膜症になった老人、ビール飲みすぎて胃が痛い、心臓が痛む若者。両足が氷みたいに冷たい、汗が出なくて睡眠が浅いのは、心臓発作の前兆。
◆間質性肺炎、心弁膜症は一週間で半分治り、閉塞性動脈硬化は1回で半分くらい良くなって、長年の痔まで治っちゃった
◆胸と背中が痛い心不全は、すっかりよくなった。乳がんのしこりは2週間で動くようになり、身体と手足も暖かくなってきた。
*1:李宗恩博士の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
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