ひどい不眠症、情緒不安定の子ども、白虎湯をアレンジした漢方薬で著しく改善。

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こんにちは、李哲です。
中国河南省石家荘市の女医、張静中医師1の症例、不是太热导致不了失眠的严重焦虑抑郁(2024年05月22日発表)を翻訳しました。

体内の熱が原因でひどい不眠症と情緒不安定になった中学生を治した内容、参考になると幸いです。

情緒不安になった子ども

すごい久しぶりの友人が診療所に来て、少しおしゃべりしました。
友人「漢方薬を顆粒にすることは可能ですか?」
私「なんで顆粒にしたいですか?」

後で分かったのは、彼女の息子さんに使わせたいみたいです。

彼女の息子は小さい時、診療所に何回もきました。超活発の子供で診療所のあっちこっち走るので、非常に印象深かったです。子供は現在中学生。ほかの人から見るとどうでもいいことだけど、彼にとっては大問題になって情緒不安になりました。

李哲の説明:
張静先生の症例には子どもたちがよく載せています。以下は情緒不安で発狂までする子どもを治した症例、参考になると幸いです。

躁うつ病、情緒不安定で親を殴るくらい発狂する子供が漢方薬と鍼で治った症例 | 本場の中国鍼 李哲鍼灸院のブログ

治療したけど効果がない

子供のお父さんは北京に行って、いわゆる名医が処方した漢方薬を飲みました。しかし、子供はちゃんと飲んでいません。飲んだり飲まなかったり、最後は完全に飲まなくなりました。だからお母さんは「顆粒にすることはできますか?」と聞いたのです。

顆粒にはできないので、私は友人に話しました。
私「時間がある時に、子どもを診療所に連れてきてください。」
友人「分かりました。やってみます」

李哲の説明:
漢方薬が煎じ薬、顆粒にするのはみんなその目的があります。便利のためにやるものではありません。以前の記事で詳しく説明しているので、参考になると幸いです。

漢方を煎じ薬、散剤、丸薬に使い分ける理由

数日後、お父さんが子供を連れてきました。もうめちゃめちゃ大きくなりました。175cm以上で太ってきたけど、顔はすごいやつれていました。

子供は言うのは「眠れません。非常に疲れています。暑いのが非常に苦手です。今は安眠剤を飲みながら寝てます

脈を見たら洪水みたいに大きい。
処方箋は白虎湯びゃっことうをアレンジしたもの。

李哲の説明:
白虎湯びゃっことうというのは、どんな時に使う漢方薬なのか?簡単にいうと、体内の熱が強い時に使います。白虎湯びゃっことうから派生された漢方薬は、白虎加人参湯びゃっこかにんじんとう。両者との作用は同じ、後者は人参が一つ多いだけです。以下、私の子どもを治した症例があるので、参考になると幸いです。

1歳児の高熱、「白虎加人参湯」5mlで下がった例

子供は来る時、たまに自分の猫を連れてきます。漢方薬を煎じている間、猫のお世話をしてました。猫は非常に可愛い、でも私たちは触ることは許しません。

子どもが漢方薬を飲んでくれるために工夫

私はちょっと悩みました。どうすれば子供が飲んでくれるのかな?誰が処方したって、飲んでくれないと意味がないから。

子供達は最後の患者さんでした。薬を渡したとき、私は子供に話しました。

「私とあなたのお母さんは大学の同僚で、みんな教諭の仕事をしたことがあります。学生が多いと必ず制度で皆さんを拘束する必要があります。でも、あの処分は私から見てみると、やりすぎだと思います。

あなたの先生は医師でもないので、自分が間違っていると気づいてないかも。私たちは規則、ルールと真正面で戦う必要はありません。あなたはじっくり力を蓄えながら成長する必要があります。この社会はあなたみたいな 賢くて優秀な人材が必要です。あなたがこのような特別な存在です。

あなたの親と先生は、あなたがいたずらこでだと思うかもしれないけど、私はあなたが非常に賢くて特別な人だと思います。あなたが一番いい高校と大学に進学することを願います。私たちの国は将来あなたみたいな 賢い子供が必要です。私はあなたはできると思います!」

私は非常に真面目に子供に話したけど、子供は全然見向きもしないで、ずっと彼の猫を見てました。漢方薬を渡したら、彼は挨拶もしないで猫を抱っこして帰りました。

帰る時、お父さんが話しました。
お父さん「病気治療に洗脳教育もやるんですか?」
私「漢方薬も鍼もしないで、洗脳教育で病気は治るんだったら、それこそ本当の名医です」

お父さん「確かに!」

李哲の説明:
患者さんが治療に協力するように説得するのは、中医師の一つの大きな仕事です。私が尊敬するニハイシャ先生2は厳しく叱る時があれば、優しく慰めるときもありました。すべては患者さんの生きる力を最大限にするため。以下はニハイシャ先生がもっとも神経を費やした症例、詳細は下の記事をご覧ください。

肺がんの吐血、咳、食欲がまったくない、不眠症、手足が氷みたいに冷たい、便秘…などは1年の漢方薬でやっと治った。患者さんの気持ちは治療効果を左右する!

漢方薬を飲んだその夜は眠れた

この子供にはストーリーがあります。
最近とても暑いのに、学校の冷房が涼しくない。学校の寮にはリモコンがなくて、冷房の温度は学校で統一して管理。そして、子供は裏技で自分の寮だけ温度を下げたのです。結局学校にばれて、厳重な処分が当たりました。

翌日、私はお母さんに聞きました。
私「漢方薬を飲みました?」
お母さん「飲みました。昨日は睡眠が良かったみたいです

李哲の説明:
西洋医学は不眠症に対して治療方法は一つのみ。安眠剤。
中医学はどのように治療するのか?
患者さんの諸症状を分析して安眠の処方せんを出します。万人受けの安眠剤なんかありません。以下はニハイシャ先生の症例、参考になると幸いです。

乳がん患者、ひどい寝汗・不眠症と胸の灼熱感は治り、体力が回復し気持ちまで晴れてきた。西洋薬とサプリで、骨粗しょう症と膀胱炎になった更年期女性。

夜は眠れるようになって、全体的に状態は明らかに改善

1週間後、再診察に来たとき、子供を咳をしてました。お母さんが言うのは「鍼で咳を治して欲しいです」

子供を見てる限り、全体的状態は明らかによって良くなってました。

私「睡眠はどうですか?」
子ども「今は眠れます。でも寝付けられないのが心配だから、スマホで音楽を聴きながら寝てます。

処方する時、元の処方箋に咳止めの薬を少し追加しました。

李哲の説明:
咳に対して漢方薬は効果抜群。臨床症例から見ると、鍼の効果も良いです。甲乙つけがたい。ベストは両方を併用することですね。以下は一つの併用した症例、参考になると幸いです。

20日も治らないコロナの咳、喉の痛みは鍼1回でだいぶ良くなり、小青竜湯と桔梗石膏を併用して完治

私「じゃあ、鍼やってあげますよ」
子ども「いいえ!漢方薬を飲むだけでいいです。私のお母さんには鍼をしたと伝えてください」

私「え?そしたら鍼の治療費はどうする?鍼1回で30元もするんだよ。」

彼は何も言わず、診療所の外側に行って遊びました。

李哲の説明:
子どもが鍼を拒否するのは、おそらく痛いからでしょう。しかし、鍼はもともと痛くて響きます。マッサージ感覚で気持ちよく病気が治る中国鍼はありません。以下の記事で詳しく説明したけど、そんな鍼があるなら私も勉強したい。

中国鍼が痛い(響く)のは当たり前。痛くない鍼で病気が治るなら、私も習いたい。

不眠症から寝坊をしすぎるくらいになった

もう1回、7日間飲んでから再診察に来ました。

お母さんが言うのは「現在は寝過ぎて困ります。もう寝かせないでください。1回寝ると翌日のお昼まで寝てますよ

私は子供に最近の状況を聞いたあと、彼に話しました。「病気が治ったら学校に戻るでしょう?今は中学校3年生だし、みんな勉強頑張りすぎて疲れてるんだけど、あなたも戻るでしょう?学校の拘束があれば、あなたも翌日のお昼まで寝ないと思いますよ」

子ども「先生、私は高校に入れますよ。毎日真面目に勉強してて、学校でも復習をしてます。私は現在寝る以外ずっと勉強です。」

私「あなたのお姉さんが清華大学の卒業生だから、親はプレッシャーをかけたりしないですか?」
子ども「それは特にないんですけど。でも私は受かりますよ。試験はそんなに難しくないし」

子供は自信満々なので私は励む言葉を少し話して、もう1回7日分の漢方薬を出しました。

李哲の説明:
寝られないのは大変だけど、寝すぎも困りますね。臨床で見ると、ウトウトしすぎて困った患者さんはいました。幸いにも施術してから徐々に頭がハッキリしてきたこと。関連の説明は以下の症例をご覧ください。

1回で異常な眠気が改善して目が冴え、数回で生理前の頭痛、顔のほてりが治った:鎮痛剤から解放された女性(上)

不眠症、情緒不安の原因は体内の熱

中学3年生の体力テストが始まり、子供を学校に戻りました。ある日、子供のお母さんから電話かかってきて、少しおしゃべりしました。

私「子供は暑すぎて眠れないし、情緒不安定になっています
お母さん「彼は小さい時から暑いのが苦手で、よくお腹を壁にくっつけていました。中学校の寮に入ってから、真冬でもタンクトップで全然平気だったんです」

私「今は前よりだいぶいいですよ。とりあえず学校に通って、試験が終わったらもう一度治療しましょう。彼の体の熱は完全になくならない限り、 後々で問題が出るので徹底的に治す必要があります。」

李哲の説明:
中医学で子どもは「純陽之体」だと言います。体内の熱が多すぎるので寒さに強くて、薄着になりたがるし、動くのが好きです。これは自然現象。
過去記事、尾畠さんの言葉: 「子どもは上に上がるのが好き。下ることはない」を中医学の理論で分析。 で子どもの陽気を説明しました。参考になると幸いです。

現代人には冷え性が原因で体調不良になるケースが多いけど、上記の子どもみたいに熱がこもって情緒不安定、うつ病になるケース、私は治療したことがないです。
熱がこもった場合、様々な不調が出ます。たとえば胃にこもった場合、胃潰瘍・口臭になるし大食いにもなる。肺にたまった場合は、寝ている時にすら落ち着きがなくなります。ニハイシャ先生の症例が一つあるので、参考にして下さい。

妊娠高血圧症候群で中絶するしかない奥さん。肺の熱が原因で、寝言を言いながら動きまわる・落ち着きがないご主人。

情緒不安定、うつ病、不眠症だと病院の薬しか治せないと思う方が多いでしょう。実際に鍼、漢方薬でうつ病・不眠症を治した症例はたくさんあります。上記の症例が一つの証。

〇〇精神疾患だと診断されたとき、慌てないで先に鍼、漢方薬を試して下さい。3ヶ月治療してもダメだったら、病院の薬を飲んでもいいでしょう?

  1. 張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

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  2. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

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