こんにちは、李哲です。
アメリカの中医師・鄭智城先生1の記事、每个男人都应该配备的一款中成药(2014-07-29発表)を翻訳し、頻尿、尿もれ、前立腺肥大、前立腺炎に効果的な漢方薬「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を紹介します。
鄭智城先生のもう一つの前立腺関連記事も参考にどうぞ:術後の排尿痛・尿の灼熱感・尿失禁が一晩で治った漢方薬症例。
男性に多い前立腺のトラブル:頻尿、尿もれ、尿が出にくい
男性は年齢を重ねると、頻尿、尿もれ、尿閉などの小便のトラブルが増えます。昔は「小便不利」と呼ばれていましたが、現代では前立腺炎や前立腺肥大、膀胱炎と診断されます。
例えば、10分話している間にトイレに駆け込む姿を見ると、その深刻さが分かります。
西洋医学では、前立腺検査として肛門に指を入れてチェックしますが、これは患者にとって負担が大きい方法です。
中医学の簡単な前立腺検査と漢方薬「八味地黄丸」
中医学では、前立腺のトラブルを簡単な症状チェックで診断し、効果的な漢方薬を処方します。その代表が「八味地黄丸(はちみじおうがん)」。
『傷寒雑病論』の著者・張仲景が考案したこの処方は、頻尿、尿もれ、無菌性炎症をほぼ全て解決します。
西洋医学では原因不明とされる無菌性炎症も、八味地黄丸で効果的に改善可能です。
八味地黄丸は地黄、山茱萸、牡丹皮などの生薬を配合し、腎機能を強化しつつ、膀胱の働きを整えます。これにより、尿のコントロールが改善され、生活の質が向上します。

腎臓の衰えが頻尿・尿もれの原因
中医学では、中年以降の男性は「命門之火」と呼ばれる生命エネルギーが衰え、腎臓の封蔵機能が弱まると考えます。これにより:
・膀胱が浅くなり、尿を貯められず頻尿に。
・腎臓の陽気が不足し、尿のろ過が不十分で尿量が増える。
これらの問題は、八味地黄丸で改善できます。
八味地黄丸の効果は、腎臓の「陰」と「陽」のバランスを整えることにあります。特に、夜間の頻尿(夜間多尿)に悩む方には、腎陽を補う効果が顕著です。服用は通常、1日2~3回、食前または空腹時に水で飲みますが、体質や症状に応じて漢方医の指導を受けることが重要です。
関連記事:そけいぶのしこりは1週間で消え、夜間頻尿・生理前に疲れる症状も同時に治った
自慰や薬物が腎臓を傷つけ、頻尿・尿もれを引き起こす
現代では、若い人でも頻尿や尿もれに悩むケースが増えています。その原因は:
・過度な自慰:誤った「自慰は無害」という理論を信じ、腎臓を消耗。
・覚醒剤や麻薬:肝臓と腎臓を破壊し、老衰のような症状を引き起こす。
過度な自慰は、中医学でいう「精」の消耗を引き起こし、腎臓の機能を低下させます。現代のストレスや睡眠不足も腎虚を悪化させる要因です。八味地黄丸は、こうした若年層の腎虚にも対応し、頻尿だけでなく疲労感や腰痛の改善にも役立ちます。
覚醒剤中毒の治療にも漢方薬が有効です。詳細はこちら:
依存症治療の漢方薬
女性の頻尿・尿もれにも「八味地黄丸」が効果的
女性の頻尿は男性より多く、公共トイレの行列がその証拠です。原因は:
・生まれつきの腎虚証。
・生理や出産による腎機能の低下。
『傷寒雑病論』によると、出産後の尿トラブルも八味地黄丸で改善可能です。
八味地黄丸は、腹腔の臓器を正しい位置に戻し、機能を回復させる効果があります。
女性の場合、頻尿に加えて冷え性や生理不順を伴うことが多く、八味地黄丸はこれらの症状にも効果を発揮します。特に、産後の尿もれは骨盤底筋の弱化と腎虚が重なるため、漢方うと鍼灸を組み合わせることでより早く改善が見込めます。
関連記事:尿もれの本当の原因は冷え!
注意:現在、本物の八味地黄丸は入手が難しい場合があります。桂枝や附子の成分が異なる製品も多いため、信頼できる漢方医に相談し、煎じ薬を検討してください。
八味地黄丸で腎臓病が改善、人工透析を回避した
ある友人の親族は、幼少期から虚弱体質で足のむくみに悩まされていました。北京同仁堂の八味地黄丸を送ったところ、むくみが消え、体力も回復。農作業も問題なくこなせるようになりました。
この事例では、八味地黄丸が腎臓の血流を改善し、むくみの原因である水分代謝の異常を正常化したと考えられます。腎臓病の初期段階では、漢方薬による介入で進行を抑えられるケースが多く、定期的な漢方医の診察が推奨されます。
もし八味地黄丸がなければ、人工透析が必要になり、経済的・身体的負担で命を落としていたかもしれません。
人工透析の代替として、漢方薬や鍼灸が有効な例はこちら:
人工透析を回避した漢方治療
李哲の感想
日本の病院でも「自慰は腎臓に負担をかける」と認識されつつあります。中医学では、重病治療中の性行為も禁止です。詳細はこちら:
八味地黄丸は、中国で一般的な漢方薬ですが、メーカーによる成分の違いに注意が必要です。日本の製品も同様で、体質に合うか漢方医に相談してください。
鍼灸やお灸も頻尿・尿もれに効果的です。特に、関元・中極穴にお灸をすると、3~4回の施術で改善を実感できます。詳細はこちら:
関元・中極穴のお灸
鍼灸は、腎経や膀胱経のツボを刺激することで、尿のコントロールを助けます。例えば、関元穴は下腹部のエネルギーを高め、頻尿や尿もれを軽減。患者さんからは、「夜中のトイレが減り、ぐっすり眠れるようになった」との声も多く、漢方との併用で相乗効果が期待できます。
お灸は西洋薬より数倍効果的で、副作用も少ない優れた治療法です。
鄭智城先生は「西洋医学は症状の根本原因を見ず、対症療法に頼りがち」と指摘しています。中医学では、頻尿や尿もれを「腎虚」として捉え、八味地黄丸で体質から改善を目指します。このアプローチは、薬の副作用を避けたい方にも適しています。
関連記事:腎虚の具体的な症状
鄭智城先生はアメリカで開業している漢方医。様々な面白い症例があったので、翻訳させていただきました。人物紹介と診療所情報は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外)をご覧ください。
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