破傷風治療で病院が放棄!死にかけの患者を鍼灸・漢方で救った実症例

破傷風患者の激しい痙攣症状を表すアニメイラスト。青いズボンを穿いた若者が地面に倒れ、ブルブルと全身を震わせている様子。
破傷風による激しい痙攣症状のアニメイラスト(症例参考)

こんにちは、李哲です。
良い症例があったので、翻訳しました。

西洋医学が治療を放棄した死にかけた破傷風患者、鍼灸医がどのように救急治療したかを詳しく説明した内容です。以下の文献から翻訳してます。救急治療には西洋医学が優れているけど、鍼灸もまったく引けを取らないことを知ってください。

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目次

西洋医学が治療を放棄した破傷風患者

陳さん、男性、16歳。江西省資渓県横山郷の人。

病歴:
1982年10月25日、竹を踏んで足底(湧泉穴あたり)に深さ1.5cmくらいの傷を負えました。傷口は包帯を巻いて止血し、1週間後には傷口が治りました。しかし、その後発熱・咳・喉が詰まる・嚥下困難が現れました。

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郷の衛生院(市町村の病院)で診断を出したのは、重症の風邪。2日治療したけど、効果なし。郷の衛生院から県立病院に行ったら、診断は咽喉頭の炎症。注射、投薬治療したけど無効。日が経つことで病状は悪化し、顔の筋肉がけいれん、口を開けることすらできなくなりました。

11月6日、県立病院に入院し、診断名は破傷風。
破傷風の治療薬、ペニシリン、輸液など3日間治療したけど無効。すでに危険状態だと宣告し、治療を放棄ました。

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呼吸が弱い、全身が痙攣、二便が出ない、意識不明状態に陥った危篤状況

そして、11月9日、中医師が往診。
当時、患者は完全に昏睡状態で、全身が硬直し背中には紫黒色の斑点があり、顔色も青黒い。呼吸は弱く、腹部はパンパン腫れて、尿と便が出ていません。体温低下で35.6度。脈は非常に弱く、血圧すら測れません。体を触ると痙攣しているのが分かる。病状が非常に危険な状態。

急いで救急の鍼をしました。
水溝、内関、曲澤、委中、十宣。
反応がありません!
委中、十宣で刺絡療法したけど、血がまったく出ない!
百会、大椎、神闕、命門に1時間も大量にお灸したけど、汗が出ない!

解毒用の「一枝花酒」1を飲ませ、全身をマッサージして、布団をかぶらせて汗を出すようにしました。

七葉一枝花の生薬写真。大きな緑色の葉が放射状に広がる植物で、解毒薬として使用される。
解毒に効果的な七葉一枝花の生薬(記事で使用した一枝花酒の主成分)

患者さんの意識と体温は正常に戻り、ご飯が食べられるようになって、1週間後には退院

その夜、もう一度鍼をした1時間後にはネバネバの臭い汗が出て、患者の意識が戻り、うめき声で「痛い痛い」と言ってました。患者の尿は黄色い油みたいで、大便は固くて黒い・匂いが強烈。

11月10日、患者をもう一度診察したら、すでに座ってご飯が食べられていました。体温は正常に戻り36.8度。もう一度鍼をして、毎日耆附参麦湯2を服用しました。

  • 常用ツボ:行間、三陰交、足三里、合谷、曲池、気海。
  • 救急用のツボ:水溝、内関、曲澤、委中、十宣(刺絡療法)
  • お灸するツボ:百会、大椎穴、命門、神闕など。

毎日常用ツボ6つを選んで、太い鍼で刺し、置鍼時間は30分くらい。随時鍼を回して響きを強化しました。
お灸は1つのツボに15分~30分。赤くなって少し汗が出るまでやり、その後は布団をかぶらせて汗を出しました。ひどいときは、一枝花酒を塗ってマッサージ。その後は布団をかぶらせて発汗させる。

数日後、頭が重い・体が痛い・倦怠感などの諸症状が全部治り、1982年11月15日に退院しました。

*上記の症例は、『中国鍼灸』2000年第10期より引用。主治医(中医師)の名前は「魏九康」。

李哲の解釈と感想

破傷風の初期治療でお灸が最強

破傷風は破傷風菌が体内に入ったのが原因です。もっとも多いのは錆びた釘、破片などを踏んだときに感染される。

一般的に、もし破傷風毒素が入ったら、体の免疫システムはすぐ反撃します。具体的に現れる症状は、発熱・患部が腫れて痛い。毒蛇、狂犬に噛まれたときと同じです。

このとき、適切な中医学治療を受ければ、その場で治ります。破傷風毒素が入った初期、もっとも強力な治療法はお灸。

破傷風ではないですが、犬に噛まれて大きく腫れて痛かった患者さん、自力でお灸してたちまち治した症例はあります。以下の記事、参考になると幸いです。

しかし、時間が経つとお灸は効果が薄れてきます。その時は、ほかの鍼・漢方薬など併用しないと破傷風毒素に勝てません。

上記の患者さんは、最初から止血して包帯を巻いただけでの措置だったので、後々で大変なことになりました。当時は有能な鍼灸医・漢方医がいたら、危険な目には遭わないはずです。

なぜ最後にやっと中医学治療を探すのか?


毎回このような症例を見たとき、私は思います。
なぜ最初から中医学先生に診てもらうのではなくて、いつも西洋医学が治療して無効、患者が死ぬ寸前になってから、中医学治療を探すのか?

上記の症例は救ってきたから良かったけど、鍼灸医が治せなくて死んだら、中医学治療はデタラメだと言うでしょう?西洋医学が何日も治療して患者に死にそうになったときは、なぜ西洋医学がデタラメだと言わないですか?

李宗恩博士3は以下の記事でも同じ質問をしていました。

緊急救命には漢方薬と鍼を最優先すべき!

緊急救命のとき、世間の常識は救急車を呼んで病院一択。
なぜなら、鍼灸・漢方薬が治せることを報道しないからです。テレビしか見ない一般人は、もちろん知らないわけ。実際に、鍼灸と漢方薬の治療効果は西洋医学より優れるときが多いです。たとえば、

  • 抗生物質も効かない感染症
  • 大量出血
  • ショック(意識不明)状態

以下はその代表的な症例です。病院が治療を放棄してから、鍼灸医・漢方医の手で治った例も少なくありません。

中医学が緊急救命に優れていることを知らない人が多いので、今後も気になる症例があったら記事にします。

普段の病気治療はもちろん、危機一髪の緊急救命でも中医学が素晴らしいことを知ってもらえると嬉しいです。

(おわり)

  1. 「一枝花酒」の組み合わせ:七葉一枝花30g、桂枝、細辛、黄連、地竜、蜈蚣(むかで)各10g。効能は発汗、解毒、鎮静、経絡の流れを良くして、昏睡状態を治す。 ↩︎
  2. 耆附参麦湯の組み合わせ:生黄耆30g、熟附片7g、白参10g、麦門冬15g、五味子15g、当帰10g、川芎10g、芍薬10g、地竜10g、桔梗10g、陳皮3g、紅花3g。 ↩︎
  3. 李宗恩博士はアメリカ・カリフォルニアの著名な中医師。数々の難病・がん治療で高い臨床効果を出して、中医学の普及のために記事を書か続けて、研修医たちも育てている素晴らしい先生です。李宗恩博士の診療所情報は、以下の記事で説明しているので、どうぞご参考にして下さい。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)

    ↩︎
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