
こんにちは、李哲です。
中国河北省石家荘市の女医、張静先生1の症例、半月板撕裂( 2019年11月21日発表)を翻訳しました。
半月板損傷に関して、西洋医学では手術するのが多いですが、中医学ではメスを入れないでどう解決するのか?今日の翻訳文が参考になると幸いです。
たくさん歩くと足がしびれる、膝痛が増える男性
男性、37歳、職業は長距離の運転手。ある日、車から飛び降りた時、膝を痛めて歩けなくなりました。病院に行って検査してみたら「半月板損傷」。そして、手術を薦められました。
彼は自分で調べてから保守的治療を取り入れて、少し西洋薬を飲んで安静することにしました。ところで、1ヶ月後も足はまだ腫れたままで、たくさん歩くと足がしびれる。階段を登るのがとても困難で、膝の痛みが増えました。
彼のおばさんはちょうど私の親友。だから、おばさんは私を紹介したのです。
彼は体がガッチリしているけど、朝起きたときに口が苦い・足が明らかに腫れて歩くのが大変でした。
漢方薬20日で痛みがだいぶ良くなり、40日くらいでは治った
1回目の処方箋は、小柴胡湯+瘀血をとる生薬。20日くらい飲んでから、痛みはだいぶ良くなりました。ベッドで安静する必要がなくなり、少し歩けるようになりました。でも、まだ足の腫れはあります。
今度は二妙散+甘草附子湯をアレンジして10日処方。1ヶ月経たないうちに彼は再び仕事を始められ、長距離運転もほぼ大丈夫になりました。
彼は自分が治ったと思ったけど、1回だけ漢方薬をもらいに来て、治療効果を強固することにしました。煎じ薬を処方した時、私は外用の粉薬も処方して、彼の損傷した関節が早く治る事を狙い。
治療して40日くらい経ってから彼が言うのは、「ほぼOKです。痛みもないし、歩くのがだいぶ軽いです。ただし、痛めてない足と比べるとなんか違って、ちょっと筋が張る感じです。」
私「皮膚が張っている感じですか?筋?筋肉が張る感じ?」
彼が指した場所は、関節と関節のくぼみの所。
処方箋:甘草附子湯のアレンジ。

治療過程の分析
明らかに分かるのは、損傷で膝関節の動きが駄目になっています。当時、彼は口の中が苦いなどの少陽症があったので、小柴胡湯に瘀血を取る生薬を入れたのです。
20日治療してから痛みがだいぶ良くなり、腫れは引いてなかったです。外から触るとまだ熱い感じ。だから、中にはまだ瘀血がつまっていると判断。陽気を強化して瘀血をとる生薬を使いました。
最後、筋が張っている感じはまだ血が足りない事を示します。中にはまだ瘀血があるかも知れません。だから、芍薬甘草湯で最後の片付けをしたのです。
李哲の解釈と感想
半月板損傷≠小柴胡湯
一般的に半月板損傷に小柴胡湯を使う発想はありません。張静先生が処方した理由は、口の中が苦い少陽症があるからです。
漢方薬はあなたの病名で処方するのではなくて、あなたの症状です。例えあなたが膵臓がん・白血病だとしても、口の中が苦い症状があったら小柴胡湯を使います。
口の中が苦いのは鍼治療でも簡単に治ります。以下の鍼治療例、どうぞご参考に。
記事中の漢方薬に対しる簡単な解釈
次は処方箋の解釈をします。
二妙散の組み合わせは、蒼朮+黄柏。
蒼朮は湿気をとる。
黄柏は抗炎症作用があります。
甘草附子湯の組み合わせは、炙甘草+加工したトリカブト(附子)+白朮+桂枝。主に足・膝が腫れて痛いときに使います。痛風もしくは変形性膝関節炎…とにかく、下半身が腫れて痛いときに使うケースが多い。
痛風は漢方薬以外に、足つぼもしくは鍼治療でも治せます。以下は一つの過去記事、参考になると幸いです。
芍薬甘草湯での組み合わせは名前とおり、芍薬と甘草2つのみ。だったの2つですが、ちゃんとした効能があります。血を養う作用が強いので、足がつる・筋が張る症状に有効ですね。
ちなみに、足がつるのを治す最も簡単な飲み物があります。以下の記事で紹介しているので、どうぞご覧ください。
膝の痛みには鍼も効果バツグン
膝の痛みが捻挫が原因であろうとスポーツで痛めてあろうと、病名を問わず鍼治療はすべて有効です。
以下は2つの鍼治療例。
①筋トレで膝を痛めた男性、計7回で膝の痛みが消えました。
②半年も治らない膝痛で足を引きずりながら歩く女性、鍼で著しく改善した例。
西洋医学の手術は有効かも知れません。しかし、手術は不可逆的なので、万が一片方の筋が短い・関節の合わせがズレた場合、後遺障害が残ります。その時はどうしますか?
鍼治療は副作用がありません。
手術みたいに1回で終わらないけど、数週間~数ヶ月の時間をくれれば治ります。
(おわり)
張静先生は中国・河北省石家庄市の中医師です。『傷寒雑病論』の処方箋で様々な病気を治す若者実力派。本ブログでは彼女の症例を数多く翻訳しました。張静先生の診療所住所・電話番号などは以下の記事をご覧ください。オススメの漢方医・鍼灸医(海外)
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