こんにちは、李哲です。
今日は、不整脈が改善した一人の患者さんの症例を通じて、心臓と便通の深い関連性についてお話しします。
患者さんの背景と驚きの変化
患者さんは40代の女性で、大きな子宮筋腫を抱え、定期的に私の治療を受けている方です。過去の記事でも触れたことがあります(こちら)。
この前、彼女からこんな報告がありました。
「前回の鍼治療を受けてから、便通が良くなって本当に驚きました。もともと便秘ではなかったし、毎日1回は出ていたんです。でも、鍼をしてから1日に3回も出るようになったし、朝からもスッキリするんです。何が起きたんでしょうか?」
正直、私も最初は「何が起きたんだろう?」と首をかしげました。でも、脈診をしたときにその理由がはっきりと見えてきたのです。
不整脈が改善した瞬間
彼女は以前から不整脈に悩まされていました。脈を診ると、3回強い脈が続いた後、4回目がとても弱く、気をつけないと「脈がない」と感じるほどでした。これは、心臓が動いてはいるものの、時折「空振り」している状態を示しています。

ところが今回は違いました。20~30回脈を診ても、規則正しく動いているのです。たまに4~5回で少し弱くなることはあっても、以前のような「3回動いて1回空振り」というパターンは消えていました。
つまり、彼女の心臓は以前より強くなっていたのです。
心臓と便通の意外な関係
「便通が良くなることと心臓が強くなることがどう繋がるの?」と思うかもしれませんね。実は、中医学では心臓と便通が深く関係していると考えます。
心臓が弱ると、便秘や下痢が繰り返すことがよくあります。皆さんは「便通は腸だけの問題でしょ?」と思うかもしれませんが、中医学の理論では、五臓六腑(心臓、肺、脾臓、肝臓、腎臓など)は単独で動くのではなく、お互いに影響し合っています。
たとえば、心臓が弱ると全身の血流やエネルギーの巡りが悪くなり、それが腸の動きにも影響を与えます。また、腎臓も便通に大きな役割を果たしていて、中医学では「腎主二便(腎臓が便と尿を司る)」とも言います。だから、便通が悪いのは単に「腸が詰まっている」だけではないのです。
薬では解決しない理由
たとえば、下剤を飲んでも便通が良くならない人がいます。それはなぜか?
下剤は腸の通りを一時的に良くするだけ。もし心臓や腎臓の働きが弱いことが原因なら、根本的な解決にはなりません。私はこれまで、下剤を常用してもスッキリしない患者さんを何人も診てきました。その一例はこちら(参考記事)。
鍼治療で変わった脈と体調
今回の彼女の場合、不整脈を改善するのに私もかなり苦労しました。鍼治療を続けてきましたが、まだ完全に治ったとは言えません。それでも、今回脈が安定してきたのは、積み重ねてきた治療の効果だと感じています。
ただし、彼女には大きな子宮筋腫もあるので、治療はまだ途中。完全に安定するまで、もう少し様子を見ていくつもりです。
別の男性患者さんのケースでも、不整脈と便通の改善には時間がかかりました。詳しくはこちらをご覧ください(参考記事)。
まとめ:体のつながりを感じてみて
不整脈が改善すると、便通がスッキリする。これは一見意外な話かもしれません。でも、体はすべて繋がっていて、心臓が強くなれば全身の巡りが良くなり、それが腸にも良い影響を与えるのです。
もしあなたが「薬を飲んでもスッキリしない」「朝が重たい」と感じているなら、それは単なる腸の問題ではないかもしれません。ぜひ一度、体の全体的なバランスを見直してみてください。
(おわり)
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