【※本記事は2020-07-02更新しました】
こんにちは。李哲です。
倪海厦(ニハイシャ)先生の有能な弟子、アメリカの中医師:李宗恩博士*1の漢方薬治療例を翻訳しました。中国語本文のリンク先は、鼻竇炎十年,開刀兩次沒有效果,西醫轉診 – 當張仲景遇上史丹佛(2013.9.18 発表)
- 10年間の蓄膿症で鼻詰まる、黒くて黄色いはなくそが出る女性
- 中医学の問診内容と診断・処方
- 10日後、鼻の状況は良好、寝汗が治り、睡眠と冷え性も改善された
- 1ヶ月1週間後、鼻くそが全部出きった感じがして、便通も前より良くなった
- 3ヶ月1週間後、副鼻腔炎の鼻のつらい症状は完治
- ステロイド剤よりも漢方薬の方が、治療効果が優れている
10年間の蓄膿症で鼻詰まる、黒くて黄色いはなくそが出る女性
白人女性、50歳。
10年前から蓄膿症が非常にひどい。
2回手術を受けたけど良くならなくて、アメリカの有名な耳鼻科医:Dr. Winston Vaughan (www.calsinus.com) の紹介で来ました。
初診は2012年6月5日。
患者さんの主訴:
2001年、喘息でたくさんのステロイド剤を飲んだら蓄膿症になり、10年経った今でも治ってない。蓄膿症は非常にひどくて、くしゃみをする時、黒くて黄色の鼻くそが出る。
▼李哲の説明:ステロイド剤の副作用は、蓄膿症になるだけではありません。ひどいうつ病にもなり、日常生活の質が非常に下がるのです。ほかの漢方医の治療例があるので、ぜひ参考にしてください。
蓄膿症の手術は2回受けたけど、まったく効果がない。
鼻詰まりが酷くて耳が痒い(いつも右ばかり)。
痰は薄い黄色。
鼻と目は腫れて、目は痒い。
疲労感が強い。
更年期障害は2年前からあるそうです。
▼李哲の説明:更年期障害の諸症状は、漢方薬ですぐ改善できます。以下はもうひとりの漢方医の症例、ホットフラッシュは3日で治りました。
中医学の問診内容と診断・処方
寒熱:手足は冷たくて身体は熱いのは、朝シャワー浴びてからしばらく続く。だいたい朝6~7時くらいまで。
汗:常に多汗症で、夜は寝汗もかく。
睡眠:夜は10~11時に就寝、夜中の2~3時はよく目が覚めて、朝4時半から6時は、割とよく寝れる。
▼李哲の説明:多汗症はいろいろタイプがあります。以下は風邪薬を間違えて、飲んだあとに汗が止まらないのを治した例、参考になると幸いです。
食欲:正常、甘いものが好き、しょっぱいのは嫌い。
大便:2日に1回の大便。
尿:黄色くて臭い匂いがする。
脈診:右のが左より強い。心臓と肝臓の脈が弱い、緩弱無力。
舌診:舌苔白厚。
処方箋:
茯苓 白朮 桂枝 炙甘草 辛夷 蒼朮 菖蒲 加工したトリカブト(炮附子) 葛根 白芷
鍼灸のツボ:
三陰交。陰陵泉穴。地機。合谷穴。迎香穴から内迎香穴までつなげる。
10日後、鼻の状況は良好、寝汗が治り、睡眠と冷え性も改善された
2012年6月15日
患者の報告:
- この10日間は、鼻のアレルギーがなくて、鼻の状態は良好。
- ホットフラッシュは良くなった
- 比較的によく寝られるし、寝つけるのも良い。寝起きた時は、よく寝た感じがする。
- 寝汗は治った。
- 手足は暖かくなった。
▼李哲の説明:蓄膿症で鼻が辛いのは、鍼灸でも著しい効果が出ます。以下は、ほかの先生の治療例、参考になると幸いです。
ほかに改善されてないのは、
- 夢はまだ多い。
- 尿のにおいは、まだまだ強い。
- 大便は2~3日に1回。
脈診:軟弱、少し弦脈。
舌診:舌苔白乾。
処方箋:
茯苓 白朮 桂枝 炙甘草 辛夷 蒼朮 菖蒲 加工したトリカブト 葛根 白芷 麻子仁
鍼灸のツボ:
三陰交。陰陵泉穴。地機。合谷穴。迎香穴から内迎香穴までつなげる。天枢。
1ヶ月1週間後、鼻くそが全部出きった感じがして、便通も前より良くなった
2012年7月13日
彼女の報告:
今週の火曜日の朝、鼻からたくさんの鼻くそが出て、水曜日の朝もたくさん出た。感覚的には全部の鼻くそが出きった感じで、とても気持ちが良い。
▼李哲の説明:私が治療した蓄膿症の患者さんも、似ている報告がありました。鼻奥の血の塊が出てから、急ににおいが良く分かるようになったのです。
旅行に出かけたので、前回の煎じ薬を飲みきってない。
尿はまだ匂いがする。
大便はまだ不規則だけど、前よりは良い。
脈診:緩、少し有力、弦脈ではなくなった。
舌診:舌苔乾、少し厚い。
処方箋:
既成品の苓桂朮甘湯+辛い(辛夷) 蒼朮 菖蒲 加工したトリカブト 葛根 白芷。
鍼灸のツボ:
三陰交。陰陵泉穴。地機。合谷穴。迎香穴から内迎香穴までつなげる。
▼李哲の説明:三陰交、陰陵泉穴、地機は私が足の冷え性・むくみを治す時によく使うツボ。以下は一つの臨床症例、参考になると幸いです。
2012年7月19日
西洋医学の先生:Dr. Winston Vaughanが、患者さんのをSinus CT Scanしてから、メールをくれました。
“There is for sure less swelling in the maxillary sinus on the right side. She still had a polyp in the frontal recess and we reduced it. She will follow up and we will see how she does. Thanks so much for helping in her care !!”
▼李哲の説明:グーグル翻訳文をの貼りました。正確性には欠けていますが、だいたいの意思は伝わっています。
確かに右側の上顎洞の腫れが少ないです。彼女はまだ前頭陥凹にポリープがあり、私たちはそれを減らしました。彼女はフォローアップし、私たちは彼女がどのようにしているかを見ていきます。彼女のケアを手伝ってくれてありがとう
3ヶ月1週間後、副鼻腔炎の鼻のつらい症状は完治
2012年9月6日。
彼女の報告:
6月から今日まで、鼻のアレルギー症状は治って再発してない。手は暖かくなったけど、足はまだ少し冷たい。また旅行に行ったので、前回渡した既成品を飲みきってない。
脈診:弱、左の関部は躍動感がある。
舌診:舌苔は白乾。
処方箋:
前回の残りを飲みきる。
鍼灸のツボ:
三陰交。陰陵泉穴。地機。合谷穴。迎香穴から内迎香穴までつなげる。
2012年9月19日。
彼女の報告:
副鼻腔炎は、もう治りました。
▼李哲の説明:アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、蓄膿症…様々な病名があるけど、漢方薬治療は同じように治せます。なぜなら、漢方薬が治すのは体内環境で、病原菌が何かを気にしてないからです。以下はもう一つの症例、参考にしてください。
ステロイド剤よりも漢方薬の方が、治療効果が優れている
ステロイド剤が体に対する害は、非常に大きいです。
たくさんの患者さんはステロイド剤を使ったあと、体内の冷えがひどくなり、鼻の奥に寒気と湿気が溜まるだけではなくて、全身にも悪影響が及びます。
▼李哲の説明:ステロイド剤を使った後に現れる皮膚炎・アトピー肌は、鍼治療しても効果が薄いです。本来ならすぐ効果が出るはずなのに、ステロイド剤の毒素が邪魔をしているので、鍼灸医の私はいらつきます。
彼女は更年期障害(子宮が乾燥し始める)で、顔のほてりも現れていました。
漢方薬治療には寒気と湿気を除去するのがメイン。あとは、生薬の力を鼻まで持っていく。鼻を治療するだけに見えますが、実はトリカブト(炮附子)と白朮・茯苓の作用で、全身のいろんな問題が同時に解決できました。
▼李哲の説明:ついでに治すのは、漢方薬のメリット。鍼灸も同じように、持病の治療のついでにほかの問題も解決できます。以下は一つの鍼治療例、参考になると幸いです。
この白人女性は、漢方薬と鍼灸を受けたことがありません。
最初Dr. Vaughanが私を紹介した時、彼女はもう一人の西洋医学の先生だと思ったそうです。身分を解釈してから、彼女は試すことを選びました。
「漢方薬はとてもまずい」と、私は彼女に何回も説明しました。
彼女の答えは、「10年以来、ずっと副鼻腔炎で苦しんで来たから、どんなに漢方薬がまずくても、どんなに鍼が怖くても体の事は任せます。」
結果的に何回か漢方薬を飲んで非常に満足し、急いでメキシコとメイン州に旅行に行ったのです。
彼女が電話で話したのは、「ずっと鼻で苦しんでいたので、旅行にも行けなかったけど、今日からは人生を楽しみたいです!」
*1:李宗恩博士の紹介は、オススメの漢方医・鍼灸医(海外) をご覧ください。
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