こんにちは。李哲です。
乳癌が肺、胃、リンパ節、すい臓に転移した患者さんの続きの記録。主に胃の調子、食欲の変化を記録していです。前回の内容は以下をご覧ください。
息切れ、視力障害、24時間止まらないベタベタ汗が改善され、最初ののぞみは全部叶えた
先に患者さんが送ってくれた記録を引用します。以下は彼女の文章。
11/5
・施術:大事な約束を失念し落ち込んでいたら、物忘れに効くツボがあるとのことで、打って貰う。
・翌日手の甲に大き目なアザが出る。
・(病院)CT検査:既存腫瘍に変化ないが新たに肝左葉に転移疑いあり。前回の肺の転移疑いは消える。
⇒主治医;マーカーも上がったし肝転移は決定だろう。抗癌剤休んでいるから仕方ない。
11/12
・施術:施術中にだけ顔が火照るようになる。
・よく眠れて体調はいい。特に気になることろなし。
・アザは出ない。体の詰まりが取れるとアザが出なくなる気がする。
11/19
・施術:顔が火照るのは変わらず。
・体調はいい。初雪が降ったが冷えが気にならない。
以下は私の記録です。
2016年11月5日。
鍼治療11回目。
彼女の報告:
この前、会社の健康診断ですべての値がいいと言われた。来月はCTスキャンをするらしけど、私は彼女に話しました。「CTスキャンは強い放射線なので、なるべく避けた方が良いです」
彼女は今日「すごいボケて、忘れものした」と言うので、これは腎臓の機能が弱くなっていることだと説明し、施術には復溜.腎関などを追加。
施術後、彼女が話したのは、「針を刺した瞬間に、ベタベタする嫌な汗がすっと止まるのが不思議。でも、皮膚がサラサラになるから気持ち良いです。」
彼女はもう一つ話しました。
最初の治療の希望は、
- 目が見えなくて困っている
- 24時間止まらないベタベタ汗
- 夜間頻尿
- 脈が早すぎ(今は90回/分くらいまで下がった)
- 階段を上がるだけで息切れ、ハアハア(ドキドキ)する
「これが全部治ったから、自分は健康ではないか?」と彼女は思っているそうです。
私は彼女に教えました。
「もちろん、○○さんの最初の希望は全部叶えています。ただし、ベタづく汗が止まらないのは、まだ心臓が弱いことなので怠慢できないです。完全に汗が止まれば、健康だと言えるでしょう。」
影を見ただけで、がん細胞が転移したという先生、イジワル
2016年11月12日。
鍼治療12回目。
彼女の報告:
検査で○○白血球が少ないみたい。どういう白血球かはハッキリ覚えてない。あとは、「肝臓の左上に影があると診断され、転移の可能性がある」と言われたそうです。
腫瘍マーカー検査では、値が100。正常値は30以下。
「病院の先生は影がある.転移の可能性があると書いた診断書を見ただけで、すぐ確実に転移です!と言うからイジワルだ」と彼女は言ってました。ニハイシャ先生の症例でも、このような意地悪先生がいました。患者さんが漢方薬で治って何が悪いですか?
今日刺したツボは、ほぼ同じ。
なぜか、今日は針を刺して間もなく、気が上に上がってきて首上がカット熱いと言うので、すぐ百会と足三里を刺してあげました。そしたら、2~3分ですっと気が下りました。
帰りに「頭は少しは熱いけど、カットする熱ではない」と言ってました。
視力が0.1→0.2に改善
2016年11月19日。
鍼治療13回目。
彼女の報告:
「この前の健康診断で視力が0.1から0.2になった。去年と同じ検査用のメガネだったら、もう少し結果が良いかも」
病院のCTスキャン結果では、胃の周りに7cmの腫瘍がある。他にも小さいのがたくさん見つかりました。病院の先生は匙を投げて、「治療しても良いし、自分の好きな治療を選んでも良い」と言ったそうです。
今日、彼女は特に辛いところがないので、刺したツボはいつもの同じ。
鍼治療で視力が良くなったのは、ほかの女性からも報告もらいました。以下がその記事、どうぞ参考にしてください。
臭い便が出るデトックス反応
先に彼女から貰った記録文書を引用します。
11/26
・施術:鍼激痛。目の奥の圧迫感と吐き気、悪感。
・帰宅後もずっとツラく、深夜に内臓痛で目覚めるほど。
今までは鍼激痛の翌日に、変な便があり半日ほど寝込んでから復活するパターンだったが、今回 は3日後まで尾をひいた。
・回復後に、ひんぱんに足裏がつりそうになり、黒糖をなめて対処する。
12/3
・施術:鼻水が止まらなかったので鍼で止めて貰う。
・6つの健康チェックをクリアしたので、そろそろ卒業の話が出る。
・(病院)血液検査:マーカーが1か月で150から200に上昇(通常30以下)、
⇒主治医:来年から別の抗癌剤を試そう。肝転移した人には効いたので。
12/10
・施術:鍼の響き強く、特にサンショウ?が激痛だった。
・先週から立ち姿勢の時のみ内臓に違和感・重ダル感あり。貼るカイロで対処。
・その他は快調。腫瘍の大きさから考えると不思議なくらい痛みなく、鎮痛剤も不必要。
以下は私の記録した内容です。
2016年11月26日。
特に記載なし。
元気だと言っている。
今日の鍼は、とても響いてぐったりした。明日ダウンするのではないか、彼女は心配していました。
特に晴明穴は反応が激しく、胃がムカムカした。鍼を取る時に、中脘を何回か回してたら、胃がムカムカするのは収まり、帰るときはだいぶ落ち着いてました。
2016年12月3日。
「前回はやっぱり帰ってダウンした。翌日の朝に3回便通があって、1回目は普通。2~3回目はすごく臭い便が出た。強烈な臭いで、体内の毒素が出るのが分かる。あまりにも辛かったので、昔の抗がん剤をし始めた時の辛さを思い出した」と彼女が言ってました。
私は彼女に教えましたが、これはデトックスの一つ。抗がん剤の毒素は、特に肝臓.腎臓にたまる。毒素が出る時は、大便若しくは小便からでるので、匂いが強烈な時があります。
今日の鍼をしてから、彼女は気が徐々に頭まで上がってつらいと言うので、百会を刺したら気がまた徐々に下がり、頭はつらくない。
ちなみに、彼女の記述に書いた「さんしょう?」と言うのは、石門穴(三焦之募穴)です。お腹に腫瘍があり、胃の外側にも腫瘍があるので、石門穴を刺しています。
まだ生理がある女性、この石門穴は要注意です。以下の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。
2016年12月10日。
先週、血液検査をしたら数値が悪くない。
病院の先生は、しつこく新薬を勧めるそうです。
以前、彼女が点滴したのは、保険なしの場合、毎月80万円かかる。この新薬だと月10万円に収まるそうです。しかし、彼女は拒否。
彼女が拒否した理由は簡単でした。
今は特に体調が悪くないからやりたくない。
彼女の腫瘍マーカー検査。
参考になるかも知れないけど、その値一つが全てではないです。
腫瘍マーカーが高いから、彼女が明日ですぐ死ぬ事もない。腫瘍マーカーが上がったとして、別に慌てる必要ありません。
大事なのは自覚症状。
前より良くなっているかどうかは、彼女が一番分かる。
体調が良くなっているかどうかは、検査で先生が決めるのではなくて、患者さん自分が判断するものです。
インフルエンザを漢方薬で治したけど、家族は信じてくれない
2016年12月24日。
彼女は風邪を引いて、マスクして来ました。
彼女が言うのは、「咳と痰などの症状で小青竜湯を3袋飲んだら、次の日にだいぶ良くなり、病院の検査を受けたらインフルエンザA型だと診断された。その後は大青龍湯を処方してもらい飲んで、ほとんど治した状態で少しだけなごりが残っている。家族は漢方薬でインフルエンザが治るなんて!症状が消えても、インフルエンザが残っているんだよ!」と信じてくれない」
彼女は文句を言いました。
「何を根拠で、漢方薬が効かないと判断するのか分からない。知らないくせに、先入観が強いです!」
風邪を一晩で治したいなら、以下の記事に書いてる処方箋をメモしてください。いつかは役に立ちます。
彼女は前回から中脘あたりにお灸をし始め、胃の調子が良いそうです。
私がお腹を触って見たら、前回胃の周囲がひんやりした冷たい感じは減って、硬い腫瘍も少し柔らかくなっていました。(胃の外側に7cmくらの腫瘍がある)
これはお灸が効いているのを証明します。続けてお灸をすれば、胃の周囲の腫瘍も徐々に溶けるでしょう。
今日刺したツボは、風邪のなごりを治すためでもあり、液門.三間を追加。この2つのツボは、風邪治療に役に立ちます。持病の治療だけではなくて、ある日風邪を引いたら、鍼2本追加するだけで風邪の治療ができる。
今までの鍼治療後の改善点をまとめる
2016年11月5日。
彼女の今までの変化を、簡単にまとめたいと思います。
11回目の時に、彼女は「治してもらい所が全部治った」と言ってました。かかった時間は3ヶ月くらい。(毎週1回のペースで計算して)
もちろん、まだ完治ではないけど、彼女の日常生活は前よりもクオリティが高いです。特に抗がん剤副作用で、目が見えないのが治っただけではなくて、視力が少し上がった。階段登りでハアハアするのがなくなり、体力がついてきました。
前回の記事で彼女の記述を引用しましたが、腫瘍の大きさから考えると不思議なくらい痛みなく、鎮痛剤も不必要。
今後の目標としては、胃の周囲の腫瘍を徐々になくし、視力をもう少し良くしたいです。全体的の気の流れを良くすれば、体内に腫瘍があっても体のシステムには影響がありません。眠っている腫瘍なので、抗がん剤.放射線療法で攻撃しない限り、がん細胞.腫瘍は活発にならない。
そのままがん細胞.腫瘍を寝かせて、ともに共存。
これが私の考え方です。
胃の調子は良い、風邪は8割治った
2016年12月30日。
彼女の報告:
風邪はだいぶ良くなった。
今日は特に辛いところがない。
腹部の触診では、みぞおちあたりは少し冷たい。中脘から臍の間はまだ温かい。 中脘から左は、大きい硬いコリがある(中には癌)。中脘から右はまだ柔らかい。
彼女は来月、血液検査をするそうです。
「大学病院の先生が新薬を強く勧めているので、行くのを止めようかな?」と彼女は悩んでいました。
彼女が言うのは、「去年の3月は癌の痛みで西洋薬を飲むしかなかった。その後は腹膜播種(ふくまくはしゅ)だと診断され、余命1~2年だと言われました。自分は癌があるけど、万が一腹水になったら鍼治療で抜いてもらうし、痛みはお灸をすればすぐ治るので怖くないです!」
余談ですが、腹水症には水分.水道.陰陵泉.三陰交など、たくさんの有効なツボがあります。お灸若しくは鍼、どちらも腹水を出すことができる。
2017年1月14日。
彼女の報告:
胃の調子は良い。
風邪は8割治ったけど、喉に痰が絡んでいる。
鍼を始める前に、彼女は急に質問してきました。
「リフトアップした過去記事を読んだけど、同じツボを刺してくれますか?」
まだ鍼の専門学校にいたときの記事ですね。当時は頭維穴に1本刺しただけでした。
彼女「鍼治療する前までは全身が熱くて布団も要らないくらいだった。そして、手のひらがカサカサになったけど、鍼治療してから少し潤ってきた。心臓の熱が腫瘍の中に入れないから逆流して、それで熱くなるでしょう?」
彼女の見解は正しいです。
腫瘍があるので、気が体内に入れなくて逆流するから、夜の燥熱が出ます。たくさんのがん患者は、このような微熱を持ってます。昼間はまだ良いけど、夜になると熱い。中医学では燥熱と言います。
手のひらがカサカサするのも同じ理由。心臓の熱が心臓の経絡に沿って、一番遠い手のひらまで届くのです。
彼女「お灸のあと、葉っぱで作られたお茶を飲んではいけないのを、ネットで調べたけど書いてなかったです。」
私「それは中国の昔の鍼灸書に書いています。」
明朝の『鍼灸大成』(楊継州 著)。
この本は、歴代の模範的な教科書と言っても過言ではない。残念な事は、日本の専門学校ではあまり触れていないです。
鍼治療してから、食欲が出て朝ごはんが食べられるようになった
2017年1月21日。
彼女の報告:
中脘。下脘。関元。
この3つの場所で、お灸を続けているそうです。鍼とお灸のおかげか、朝ごはんが食べられるようになった。以前は食べたい気持ちもなかったそうです。
今はオニギリ1個持っていて会社で食べるけど、「とても美味しい!」と言ってました。夜も、うどんとか半人前しか食べられなかったのが、今は1人前食べても胃が苦しくならない。
この前、洋服屋で見たら肩と背中がスリムになった。以前は体脂肪率が40%、今は下がっている。
当院には、中性脂肪が下がったと言った女性もいました。以下の記事、参考になると幸いです。
鍼治療で痩せたのは良いけど、たるみ・シワが心配と言われた
彼女「痩せるのは嬉しいけど、皮膚がたるんでシワが増えるから嫌だ」(笑)
私「顔の皮膚は、主に胃腸の調子と関係しています。胃腸が強ければ、シワも少ないし皮膚も良いです。」
彼女は胃の周囲にでかい腫瘍があって、胃を圧迫しているから、食べる量も少ないし食べたい気持ちも少ない。
腫瘍が小さくなるまで時間がかかると思いますが、胃腸が強くなれば、必ず美容にもつながるはず。美容、リフトアップに関する記事は、以下のもご覧下さい。
今日はいつものツボ以外に、頭維.頬車を追加。この2つは胃経のツボで、顔のたるみなど引っ張って上げることができます。もちろん、ほかの顔にあるツボも選択できます。
顔のツボよりも大事なのは、胃経の足三里など。美容したいなら、胃腸を強くしないと根本的なもとがなくなるので、内側からの美容はできません。
お灸と鍼で、胃の周りの腫瘍が良くなったかどうかを判断するのも簡単です。胃の周りに大きな腫瘍があるので、彼女はたくさん食べられないし、胃がムカムカしやすい。もし、彼女が以前より食べられる。朝からお腹空いて食べられる。そして、胃がムカムカしなければ、腫瘍が小さくなっている事です。
この論理的な推測。彼女も納得しました。
「拳みたいな大きさの子宮筋腫も持っているけど、痛くも痒くもないからほったらかしている」と彼女は笑ってました。
他にも子宮筋腫を切らない女性たちがいました。彼女たちの理由は特別なもの、でも、理にかなうと思います。
ハアハアして息が苦しいのが、5分で治るなんて嘘みたい!
2017年2月4日。
鍼治療23回目。
先週は病院の検査と他の事で来れなかった。
今日歩いて入った時は、ハアハアしている。
この一週間はずっと下痢。
食欲はあるけど、半人前くらいしか食べられない。
この2週間は尿がすごい黄色。
病院の検査の結果、肝機能がすごい低下して、肝機能を強化する西洋薬を処方されました。病院の先生は検査データを見て話したのは、「骨への転移がある可能性を示している」。
彼女の食べられないのは、胃の周りに腫瘍があり、胃を圧迫しているご飯が入らないのです。
今日刺したツボは中脘、巨闕、関元、上脘、下脘、不容、承満、石門、中極、奇穴、養老、復溜、公孫、足三里、門金(これは董氏奇穴)、太陽穴、百会、陽白透魚腰、合谷穴。
途中で1回鍼を回したら、彼女は泣いてしまった。お腹の鍼がものすごい響いて、我慢できなくて泣いたそうです。なので、回すのを止めて寝かせました。
30分後、鍼を全部取って様子を見たら、ハアハアする呼吸困難はまだある。少し横になって休んだけど治らない。お茶を飲むとき、収まりそうでないので、座ったまま鍼をしました。
内関と間使。2つとも心包経のツボで、心臓の強化ができます。
5分後は呼吸困難が治り、「さっきまでハアハアして息が苦しかったのに、5分で治るなんて嘘みたい!」と彼女は喜んで帰りました。
息が苦しい、呼吸困難などは鍼治療の即効性が良く見られます。以下はもう一人の鍼治療例、参考になると幸いです。
急に黄疸が現れて、鍼治療で緊急対応
2017年2月7日。
24回目。
前回帰ったあと、また調子が悪くなって翌日までぐったり。彼女が言うのは、以前からハアハアする呼吸困難があった。ただ、当院に来る時は発作してない。
今日病院の先生に言われたのは、ビリルビンが出ている。つまり、黄疸です。
私が見たら、彼女の目の白いところは少し黄色。顔も少し黄色。でも、顔には艶があるので、中医学で言う『陽黄』です。陰の黄疸よりは治しやすいもの。
病院の先生が言うのは、周りの腫瘍が圧迫して胆管がつまり、黄疸になった。対策は内視鏡でステントを入れて胆管を拡張させる。若しくは手術で胆嚢を切除。
彼女「手術しないで、鍼でなんとかなるかな?なら、週3回通ってみたいです」
私「黄疸の治療には、2~3週間だけ時間を下さい。もし、黄色が落ちない感じだったら、手術しても良いでしょう?」
彼女も急いで手術しないで、鍼で様子を見ることにしました。
今日刺したツボは、いつもの仰向け以外に、背中のツボもありました。至陽、陽池、心兪、肝兪、胆兪、脾兪、胃兪。仰向けでのツボは同じ。
至陽、陽池、心兪、肝兪、胆兪は黄疸に有効なツボ。2~3週間の時間をくれれば、効果が分かると思います。
彼女が言うのは、「黄疸の数値は高いけど、肝機能の数値は半分くらい減ったので良かったです」
~つづく~
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