こんにちは、李哲です。
EDで来院した30代男性の治療例
当院の常連である30代男性が、最近EDに気づき、すぐに電話をかけてきました。彼は足ツボ整体に通う健康意識の高い方で、ある日「朝立ちが全くなくなった」と訴えました。
中医学では、朝立ちは内臓の状態を判断する重要な指標の一つです。詳しい説明はこちらの記事で確認できます:
朝立ちと内臓の関係
私が詳しく話を聞くと、彼は西洋薬を飲んでおらず、お酒も過度に摂取していないとのこと。ただ、朝立ちが急になくなったのではなく、徐々に減少し、その後にEDになったそうです。
彼の職業は多忙を極め、睡眠不足や仕事でのイライラ、怒鳴り声が日常茶飯事。これらが腎臓と肝臓の「気」(エネルギー)を消耗し、ED(ぼっき不全)を引き起こしたと私は推測しました。
彼の顔全体の色は黒に近く、目の下は青黒い状態でした。これは昔から脾臓の働きが弱かった証拠です。彼は来院前、コーヒーやサプリメントをよく摂取しており、脾臓にダメージを与えていました。
例えば、コーヒーを毎日3杯以上飲み、エナジードリンクも常用していた時期があったそうです。コーヒーが体に良いと考える方は、以下の女性の検証記事を読んで再考してみてください:
コーヒーの影響を検証
彼の場合、こうした刺激物の過剰摂取が脾臓を弱らせ、下腹部の血流や臓器の機能を低下させた可能性が高いです。
彼の生活習慣とED(ぼっき不全)の関係
彼の多忙な仕事は、1日12時間以上のデスクワークと頻繁な会議で構成されていました。睡眠は平均4〜5時間で、週末も仕事のメール対応に追われる生活。ストレスでイライラし、同僚や部下に怒鳴ることもあったそうです。
これらは中医学で「肝気鬱結」(肝臓のエネルギーが滞る状態)を引き起こし、勃起に必要な血流を妨げます。さらに、睡眠不足は腎臓の「精」(生命エネルギー)を枯渇させ、EDを悪化させていました。
ED(ぼっき不全)の主な原因「肝虚証」とは何か
EDの原因は大きく2つに分類されます。
- 心理的な原因:性欲はあるが、心理的ストレスや緊張で勃起できないケース。これは少数派です。
- 身体的な原因:主に肝臓の問題で、内臓の不調が勃起を妨げるケース。こちらが大多数を占めます。
心理的要因は少数なので、ここでは身体的要因、特に「肝虚証」に焦点を当てます。
中医学の古典『黄帝内経』には、「生殖器官は宗筋之会」「肝主筋」と記されています。直訳すると、生殖器官は筋の塊であり、その機能を肝臓が司るということです。
西洋医学では「充血」が勃起を引き起こすと説明されますが、中医学では肝臓の力が弱まると充血が不十分になり、性欲があっても勃起できない状態「肝虚証」が生じると考えます。
肝虚証には他の臓器も深く関与します:
- 心臓:生殖器官への血流を改善するには、心臓の強い働きが不可欠です。
- 腎臓:陰陽五行説で「水生木」とされ、肝臓を支える役割を持ちます。
- 脾臓:下腹部の臓器全体をコントロールし、血流やエネルギーのバランスを調整します。
彼の青黒い目の下は脾臓の弱さを示し、長年の疲労が肝臓と腎臓にも影響を与えていました。たとえば、彼は若い頃から便秘気味で、食後に胃もたれを感じることが多かったそうです。これは脾臓の「運化」(消化吸収)機能が低下していたサインです。
中医学の五行説とED(ぼっき不全)
中医学の陰陽五行説では、肝臓は「木」、腎臓は「水」、心臓は「火」、脾臓は「土」に分類されます。肝臓(木)が弱ると、腎臓(水)のサポートが不足し、心臓(火)の血流も滞ります。脾臓(土)が弱いと、下腹部全体のエネルギーが不足し、勃起に必要な力が得られません。
彼の場合、脾臓と腎臓の弱さが肝臓に連鎖し、肝虚証を引き起こしたのです。このように、中医学では単一の臓器だけでなく、全身のバランスを整えることが重要です。
鍼灸でED(ぼっき不全)を治療する仕組み
中国ではEDや不妊症を「腎虚証」と結びつけることが多いですが、これは半分しか正しくありません。腎臓は精子の数や運動率を司りますが、勃起そのものは肝臓が主役です。詳しくはこちらの記事を参照してください:
腎虚証とは何か
鍼灸治療では、以下のツボを組み合わせます:
- 肝臓を強化するツボ:太衝(足の親指と人差し指の間)、曲泉(膝内側のくぼみ)。太衝は「肝経の元気」を高め、イライラやストレスも軽減します。
- 腎臓を補うツボ:復溜(足首内側のくぼみ)。腎臓の「精」を補充し、肝臓を間接的に強化します。
- 血流を改善する腹部のツボ:関元(へそ下3寸)、中極(へそ下4寸)。関元は下腹部のエネルギーを高め、勃起力を直接サポートします。
特に関元は患者から「バイアグラみたいに効果がある!」と好評で、治療後に下腹部が温かくなり、力がみなぎる感覚を得る人が多いです。詳細はこちら:
関元の効果とは
彼の場合、関元を刺した初日に「下半身がどっしりした」と驚いていました。これらのツボは、肝臓の機能を高めつつ、隣接する臓器(心臓、腎臓、脾臓)を強化し、総合的にEDを改善します。
ツボの選び方とその効果
太衝は肝臓のエネルギーを流し、ストレスによる「気滞」を解消します。彼は仕事でイライラすることが多く、太衝を刺すと「頭がスッキリした」と感じたそうです。復溜は腎臓の「陰」を補い、疲労感や腰のだるさを軽減。関元と中極は下腹部の血流を促進し、勃起に必要な力を直接高めます。これらのツボを組み合わせることで、単なる対症療法ではなく、根本的な体質改善が可能です。
肝虚証を引き起こす3つの要因
「肝虚証」は以下の3つの生活習慣から生まれます。
1. 病院の薬や人工的なサプリメント
血圧を下げる薬、血糖値を下げる薬、コレステロール薬、鎮痛剤などは性機能を低下させます。長年これらを飲んでいる男性に聞けば、「朝立ちが減った」「性欲が落ちた」と答える人が多いでしょう。実際に、薬の副作用でEDになった人は山ほどいます:
薬とEDの関係
サプリメントも同様で、心臓や腎臓に負担をかけます。特に過剰摂取で尿路結石や腎臓結石を引き起こすケースが目立ちます:
サプリと腎臓への影響
彼の場合、サプリメントが脾臓を弱らせ、間接的に肝臓に影響を与えていました。たとえば、プロテインやビタミン剤を過剰に摂り、腎臓に負担をかけていた時期があったそうです。
2. 大量の飲酒
過度なお酒は肝硬変や肝臓がんだけでなく、EDも引き起こします。酔った翌朝に朝立ちがなくなる経験は、多くの男性が共感するはずです。また、脾胃(脾臓と胃)を傷つけ、膵炎や胃がんのリスクも高まります。過去の症例では、ビールの飲みすぎで膵炎になった若者がいました:
ビールと膵炎
彼も年末の宴会でお酒を飲み、治療効果が一時的に薄れたことがありました。ビールやウイスキーを毎晩飲む習慣は、肝臓の解毒機能を圧迫していたのです。
3. 夜更かしと過労
夜は肝臓が解毒する大切な時間で、西洋医学でもその重要性が認められています。夜更かしで解毒が滞ると、毒素が体内に溜まり、長期的には様々な病気を招きます。「昼寝で補えば良い」と思うかもしれませんが、夜の睡眠と昼寝の質は全く異なります。夜にしっかり寝た方がスッキリし、昼寝ではだるさが残ります。
異常な眠気やだるさを感じる方は、以下の症例を参考にしてください:
異常な眠気の治療
過労による不調
彼の場合、多忙な仕事で睡眠不足が続き、肝臓の解毒機能が低下。週末に昼寝をしても疲れが取れず、朝立ちが弱まっていったのです。
実際の鍼治療の経過と患者の声
以下は、この男性の治療記録を時系列で詳しくお伝えします。
1回目(2016.10.27)
使用したツボ:中極、関元、陰陵泉、地機、三陰交、腎関、復溜、太衝、巨闕。
太衝は彼のイライラを抑え、肝機能を高め、朝立ちを回復させる目的で選びました。巨闕は心臓を強化し、血流を整えます。
治療後、彼は「陰部と肛門周囲に力が入るようになった」と実感。具体的には、座ったときに下半身に力が入りやすくなり、以前の「だらっとした感覚」がなくなったそうです。彼は「何か下半身が安定した感じがする」と笑っていました。
2回目(2016.10.29)
顔の黒っぽさがだいぶ薄れ、まだ正常とは言えませんが改善が見られました。彼は「昨日は朝立ちがなかったが、今朝は復活した」と報告。陰部に力が入る感覚は、漢方薬の症例でも同様に見られます:
漢方薬の効果
彼から「五行堂で海馬補腎丸という漢方薬を買って飲んでいるが大丈夫か?」と質問がありました。私は「漢方薬なら鍼灸と相性が良く、むしろ効果を高める。病院の薬とは違い、副作用の心配もない」と答えました。
漢方薬には性機能に良いものが多く、例えば八味地黄丸や六味地黄丸は前立腺や精力の改善に使われます:
八味地黄丸の効果
彼は海馬補腎丸を飲み始めてから「夜の疲れが減った」と感じていたそうです。
3回目(2016.11.1)
「鍼をした翌日の朝立ちがすごかった!」と興奮気味に報告。特に2回目の治療後、朝立ちの勢いが以前とは比べ物にならないほど強かったそうです。過去には、足ツボ整体で高齢者の朝立ちを復活させた例もありますが、その時は何度も施術を重ねてやっと効果が出ました:
足ツボの効果
彼は3回で治ったと思い込んでいましたが、私は「EDはそんなに簡単に完治しない。最低でも2〜3ヶ月は様子を見てください」と伝えました。彼は「目標を半年に設定し、治った後も週1ペースで通いたい」と前向きに返答。
健康な人にも鍼を刺してもEDになることはなく、逆に性機能が強化されます。過去には重い膵臓がんの患者が鍼治療で精力まで増した例もあります:
膵臓がん患者の精力回復
生活習慣の改善とその効果
治療を進める中で、彼に生活習慣の改善も指導しました。具体的には、コーヒーを完全に止めて、夜11時までには寝る習慣をつけること。最初は「仕事が忙しくて無理」と抵抗しましたが、2週間試したところ「朝の目覚めが全然違う」と実感。睡眠時間が6時間以上確保できるようになると、朝立ちの頻度も安定しました。
彼は「今まで夜更かししてたのがバカみたい」と笑っていました。また、ストレス管理のために軽いストレッチや深呼吸を勧め、太衝の効果を日常でも維持できるようにしました。
治療中の課題と禁酒の重要性
週2回の治療を続けましたが、一進一退の時期もありました。朝立ちの回数や勢いは以前より良くなったものの、毎日ではなく、EDも完全には治っていませんでした。
治療中、彼は風邪を引いたり、年末の宴会で胃を痛めたりしました。風邪には液門や三間を刺して治りを早め、胃痛には中脘や足三里を刺して即効性を実感させました:
胃痛の1回治療
彼は胃痛でガスター10を数日飲んでいましたが、「鍼で十分。薬は不要」と伝え、次回来院時には「胃がすでに良くなった!」と喜んでいました。
しかし、鍼治療には明確な禁止事項があります。施術後3日以内はお酒を飲まないでください。3日以降なら飲んでも大丈夫ですが、彼は年末年始の付き合いでお酒を避けられず、治療効果が薄れる場面がありました。
お酒で全てが台無しになるわけではありませんが、効果が半減し、3ヶ月で治るはずが1年かかる可能性もあります。彼にも「治療中は禁酒が鉄則」と強く伝えました。実際、彼が禁酒を徹底した週は、朝立ちの勢いが明らかに違いました。

3ヶ月後の成果:毎日朝立ちが復活しED(ぼっき不全)が治った
最近、彼は「最近は毎日朝立ちがある」と報告。顔の薄い黒色もすっかりなくなり、調子が良いと言います。「睡眠と関係しているか?」と聞かれたので、「その通り」と答えました。睡眠不足だと朝立ちが弱まり、一日中だるさが残ります。逆に質の良い睡眠は朝立ちを強くし、EDを防ぎます。
約3ヶ月後、彼は「EDが治った!もう大丈夫です。今後は週1回でメンテナンスに来ます!」と宣言。去年の10月末から治療を始め、週2〜3回のペースで回数券を3枚使いました。EDが治っただけでなく、心臓の痛みも消え、胃腸も整い、全身が強化されました。
本来なら1〜2ヶ月で治るケースですが、彼の仕事柄お酒が絶えなかったのが遅れの理由です。それでも、彼は「禁酒を続けたらもっと早く治ったかも」と振り返っていました。
ED(ぼっき不全)治療中の2つの注意点
ED治療で鍼灸を選ぶ男性は、以下の2つを守ってください。
- 治療期間中は禁酒
鍼治療中にお酒を飲むと効果が薄れ、治療期間が長くなり費用もかさみます。お金が余っている方は別ですが、治った後は飲んでも大丈夫です。彼も禁酒を徹底した時期は、治療効果が飛躍的に上がりました。 - 性交渉を控える
腎臓や肝臓が弱っている状態で無理に性交すると、回復力が落ち、治療の足を引っ張ります:
腎臓の節約
この2つを守れば、鍼灸でのED治療は非常に簡単です。数ヶ月時間をください。あなたは必ず回復します。
バイアグラのリスクと鍼灸の優位性
西洋医学のED治療で有名なバイアグラは、確かに効果があります。しかし、海外では使用中に死亡した事件が報告されています。なぜか? バイアグラは心臓に大きな負担をかけるからです。以下に、バイアグラの主な副作用と、鍼灸治療との比較をまとめました。
項目 | バイアグラ | 鍼灸治療 |
---|---|---|
主な副作用 |
|
|
効果の持続 | 服用後4〜6時間 | 継続治療で根本改善 |
心臓への影響 | 負担増大、心臓が弱い人は危険 | 心臓機能を強化 |
依存性 | 毎回服用が必要、心理的依存のリスク | 依存なし、自己回復力向上 |
コスト | 1錠約1000〜2000円、継続費用高 | 初期投資必要だが長期的に経済的 |
バイアグラの副作用には「顔面紅潮」「動悸」「心拍数増加」が含まれ、心臓が弱い人は性交中に耐えきれず急死するリスクがあります。心臓が弱い人はそもそもEDになりやすいのに、薬で無理やり血流を増やし、心臓を酷使するのです。さらに、バイアグラは毎回性交前に飲む必要があり、薬物依存のような状態に陥ります。実際、バイアグラを使い続けた男性から「薬なしでは不安」との声も聞きます。

一方、鍼灸は心臓を傷つけるどころか強化し、性機能を自然に高めます。鍼灸や漢方薬で心臓病が改善する理由はこちらで詳しく説明しています:
心臓病と鍼灸
彼も治療中に「心臓がドキドキしなくなった」と実感し、全身の調子が上がったと喜んでいました。
まとめ:鍼灸で安全にED(ぼっき不全)を克服
EDに悩むなら、副作用のある薬に頼る前に鍼灸を試してください。肝虚証を改善するツボと中医学の理論に基づく治療で、安全かつ効果的に回復できます。治療中の禁酒と忍耐が鍵です。数ヶ月続ければ、あなたも彼のよう毎日朝立ちが復活し、自信を取り戻せるでしょう。
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