鍼灸の効果・適応症を書かない理由:鍼灸治療は全体像を見て、すべての痛み・体調不良を治せるからです

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今まで治した病名・症状は、多すぎて書ききれない

こんにちは、李哲です。
だいてい鍼灸院のホームページには、どんな病気・症状に効き目があると書かれています。例えば腰痛症.肩こり.生理痛.うつ病.更年期障害など。しかし、当院の治療内容に書いたのは、すべての内臓の病気と痛み。

すべての病気?

癌でも治療するわけ?

フザケてる?

私はフザケてないです。
治せる病名が多すぎて書ききれないので、すべての内臓の病気だと書いたのです。

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先週末まで、いろんな自覚症状を抱えている患者さんを治療しました。

  • 風邪の諸症状
  • 尿が出にくい
  • 頻尿、夜間頻尿
  • 近視、遠視、乱視
  • 老人性黄斑変性症
  • 飛蚊症、白内障、緑内障
  • 生理不順、不妊症
  • リウマチ性の手指関節痛
  • 痛風
  • 不眠症
  • 生理前症候群、生理痛で吐いてしまう
  • 激しい膝の痛みで、まともに歩けない
  • 心房細動、不整脈、動悸、息切れ
  • 胸が苦しい
  • 心臓病、心臓が痛くて背中まで痛い
  • 逆流性食道炎
  • 下痢、リーキーガット症候群
  • 便秘
  • 不安障害、統合失調症、うつ病
  • 偏頭痛、背中痛
  • 咳、喘息
  • 脂肪肝
  • 花粉症、アレルギー性鼻炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 湿疹、皮膚がただれる
  • 足の裏がむくんで足指が痛い
  • 足がつる
  • 食欲不振
  • 多汗症
  • 乳がん、乳房のしこり
  • 膵臓がん
  • 腸閉塞
  • 子宮筋腫
  • 白血病
  • ALS(筋萎縮性側索硬化症)

… …

首こり、肩こり、頭痛、腰痛は例にもしていません。

診察する患者さんの数が増えることで、治療した自覚症状は更に増えています。西洋医学の病名通りに書くと山ほどの数になるので、あえて書かないです。

中医学にあるのは「健康」と「不健康」の定義だけ

西洋医学は胃腸科.心療内科と精神科.循環器科など、細かく科目を設置しています。本当に治せるかどうかは別として、ぱっと見ただけではすごくプロに見えますね。

中医学は昔、科目の分別がなかったです。一人の先生は子供、妊婦も診て、爺ちゃん婆ちゃんも診ました。内科の咳.高熱.腫瘍を治療して、外科の骨折.打撲なども治療してました。

なぜ全然違う患者さんを診れたか。

中医学には健康と不健康。
正常と異常。
この基準しかないからです。

中医学にも婦人科.内科.小児科.外科などに分けているけど、西洋医学ほど細かくないです。2500年前に書かれた周礼 – Wikipediaには、お医者さんの職種が別れていました。

具体的にいうと、

  1. 食医:皇帝の食膳を管理。薬膳料理が多くて、地位が一番偉い人でした。
  2. 瘍医:今で言う外科医。腫れ物・腫瘍・やけど・金属製の武器にやられた傷口などを治す人。
  3. 疾医:今で言う内科医。
  4. 獣医:動物・家畜の病気、伝染病などを治療する人。

これは当時の政府の決め事で、実際の臨床で中医学はどんな患者さんでも治療します。五臓六腑はみんな同じ、病気として現れる部位が違うだけだから。女でも男でも、五臓六腑は同じ。経絡の流れも同じ。

唯一に違うのは生殖系。
女性には婦人科疾患が多いだけです。

もっとも有名な東漢時代の名医・張仲景ちょうちゅうけいの著書:『傷寒雑病論しょうかんざつびょうろん』は薄い1冊の本だけど、風邪から癌の処方箋すべてがそろえています。

風邪・インフルエンザ・アセモ・ニキビなどの処方箋もあるし、婦人科疾患・心不全・腎不全・肝臓がん・胃がんなどの処方箋も完備してある。

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唐・孫思邈(そんしばく)の著書:『千金翼方せんきんよくほう』と『備急千金要方びきゅうせんきんようほう』も様々な科に分類されて、病気の原因と処方箋対策まで書いてあります。

超絶な博物館みたいに、すべての病気に対して論じている。その幅広さは、今の西洋医学の先生が見たら気絶するでしょう。

私が尊敬するニハイシャ先生1が臨床で治療したのは、赤ちゃんから年寄りまで。風邪からいろんな癌の患者。毒蛇に噛まれた患者、破傷風の患者。診ない病気がほぼないくらいでした。

ニハイシャ先生は冗談を言ったけど、「もし中医学に科目を設置するなら、一つだけになる:健康科のみ。」

自分が健康かどうかは、6つの自覚症状をチェックしてみれば分かります。以下の記事、どうぞご参考に。

西洋医学は木を見て森を見ず

胃だけ悪くてほかは大丈夫・膝だけ痛くてほかは正常。臨床でこんなケースは、ありえません。一人の患者さんには必ず様々な自覚症状・病気を合併しています。

患者さんもそうでしょう。
1個の病気(つらい自覚症状)だと限らないのです。

胃腸の風邪を引いて、不幸に足首の捻挫をして、持病の腎不全があって最近トイレが近い。そして、パソコン作業で目が悪くなり、生理痛・生理不順があるかも知れません。

この時、患者さんは病院のどの科に行ったら良いでしょうか?胃腸科、泌尿器科、整形外科、耳鼻科、眼科、婦人科?いつになったら全部回れるんですか?

中医学の治療は簡単です。
患者さんは〇〇科、〇〇科にたらい回しされる必要もなく、一人の先生が全部治療ができる。

中医学は西洋医学みたいに、体を一つ一つのパーツとして見ない。全体像を診ているので、治す時はほかの所まで一緒に良くなります。

人を様々なパーツに区切りして、循環器.呼吸器.胃腸科などに分けると、患者さんもあちこち行かないと治療ができない。

結局、患者さんはたらい回しされて、何ヶ月経っても原因不明で終わる時が多いです。これは効率良い、ためになる医学だとは言えません。

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人間をいろんなパーツに分けて診断する場合、群盲象を評すことになり方向を見失いやすいです。だから、西洋医学の治療を受けると、もっとひどい状態に陥る。

例えば生理痛のために飲んだバファリン。胃がやられて胃潰瘍の原因にもなります。喉痛、高熱を治すための抗生物質。心臓と胃腸がやられて、患者さんは体力がなくなり、不眠症になって、さらなる薬を飲まないといけません。

以下は標準治療でどんどん悪化した患者さんの例です。

中医学は全体像を見て、広範囲でのバランスを整え、自然治癒力を強化

木だけ見て森を見ない西洋医学と違って、中医学は全体像を見て、広範囲でのバラストを整え、自然治癒力を強化することで不調を治します。

ほかの違いは、以下の記事で詳しく述べていますので、どうぞご参考にして下さい。

人間の五臓六腑、経絡は絡み合って、複雑なシステムになっています。

頭が痛かったら頭だけ治せば良い。
便秘だったら、便が出れば良い。

体はそんな簡単なものではありません。
必ず繋がりの臓器、経絡との関連性があるので、1つだけ治しては根本的な問題解決にならない。

中医学の生理学は広範囲での定義で、しかも様々な関連性を持っています。体を単一の臓器だと見るのではなくて、全体的に作動するのを見ているのです。

癌であろうと花粉症であろうと、胃痛であろうと尿もれであろうと、すべて五臓六腑・経絡理論で解釈できる。そして、関連の治療法・ツボもあります。

これが中医学の強み。

中医学には同病異治、異病同治の概念があります。
違う病名でも、原因が同じであれば、同じ方法で治す意味です。以下の記事が参考になると思いますので、どうぞご覧ください。

一人の中医学の先生は、一つの総合病院に等しい

大げさだと言われるかも知れませんが、一人の中医学の先生は総合病院と同じ存在。

中医学治療のメリットは1つ:
患者さんはたらい回しされないで、一つの診療所ですべての症状が解決できます。

実際にもそうですが、私が治療している患者さんたちは、毎回違う症状もしくは思い出した症状を話して、「これは治せますか?」と聞きます。

幸いに、ほぼすべての症状を改善もしくは完治できたこと。唯一に治せなかったのは、手遅れの末期癌。緩和ケアにはなったけど、治せることはできませんでした。以下は私の鍼治療例、すい臓がんの治療記録です。参考になると幸いです。

重症になる前、鍼灸治療を受けてください。
辛い自覚症状さえあれば、病名と関係なしで鍼灸では治療ができます。

すべてを治せるとは保証できないけど、最善をつくします。

(おわり)

  1. 倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。

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