こんにちは、李哲です。
アメリカの著名な中医師、ニハイシャ先生1の治療例、2005-6-8治療日記を翻訳しました。肝臓がん、全身がん、アルコール依存症、高血圧、むくみなどなど、様々な患者さんを治した内容。参考になれば幸いです。
なぜ腫瘍ができたのか分からない西洋医学
06/08/2005、晴れ。
一人のアメリカ人患者。女性、38歳の中医師です。
肝臓に腫瘍ができて、西洋医学の検査を受けたけど、何の腫瘍か確認できない。なぜ腫瘍ができたかも分かってないそうです。
私「生理は正常ですか?」
彼女「毎回遅れています。」
彼女に母乳と生理は同じである理論を説明したら、彼女は「自分が学んだ中医学の学校では、こんな理論を教えてくれなかった」と言ってました。
「母乳と生理は同じもの」を詳しく説明したのは以下の記事です。どうぞご参考に。
彼女が言うのは、「だから、毎回生理が来る前に、両胸がパンパン張っていましたね。しかし、この1年間はこの感じがなくなりました。しかも、生理の周期が乱れてる。」
彼女の主な自覚症状は、
- 不眠症
- 両足が氷みたいに冷たい
- 頻尿
皆さんは現在何が起きたか分かったでしょうか。
全身の腫瘍で、体の筋肉が全部痛い男性
彼女と一緒に来た男性もいい例なので、ここに書きます。彼が言うのは、全身に腫瘍ができている。全部筋肉の間にできて、とても痛いそうです。
その腫瘍は、皮膚を触っただけでも分かるくらいでした。腕と太ももの方が一番痛い。この痛みは、7年くらい続いているそうです。
彼が言うのは、7年前にひどい風邪を引き、1週間くらい筋肉痛が酷かったそうです。あまり痛くて触られるのも嫌、筋肉が絞られるような痛み。
私「貴方は暑がりですか?」
彼「毎日熱いです。熱くて夜寝るときは布団がかけられない。冬でも同じ。口はとても乾いて汗がきです。」
どう見ても熱い症状しか見えません。
これは傷寒論の診断方法から見ると、「陽明症」。「陽明症」は死ぬ病気ではない。病気はこの段階に入ったら、もっとひどくもなりません。だから、彼は7年苦しんでるのに、まだ「陽明症」なのです。
私が処方したのは「白虎湯」。石膏の用量は1日で6両、今の大体180gくらい。牡蛎1両(大体33gくらい)。澤瀉6銭(大体20gくらい)
皆さんは分からないでしょう。中国からアメリカに来て中医学を教える先生は、学生さんに石膏の用量は1両までだけだと教えます。彼らが何を根拠にしてこんな発言をしてるか、私はよく分かりません。
私が使うのは、1日で最低8銭(約24g)。これは、風を引いて高熱があるときの大青龍湯の処方量。熱がりの陽明症に使うときは、5両(約150g)から始めます。
白虎湯の使用例は、以下の記事が参考になるので、どうぞご覧ください。
牡蛎に関して笑い話があります。西洋医学はカルシウムが骨に良いことは知っている。カルシウム剤の説明書を見ても、牡蛎から抽出したと書いてます。しかし、西洋医学は知っていません。中医学の先生が牡蛎を使うのは、カルシウムだけの為ではない。
カルシウムを抽出しただけで、しょっぱい味がなかったら、骨にいい所か逆に骨を壊します。
ほかの例をあげると、果物にあるビタミンDと人工的に抽出されたビタミンDは、成分は似ているけど、効能は全く違います。詳しく説明したのは、以下の記事です。
中医学の理論では、「咸能軟堅」「咸能入腎」。(李哲 翻訳:しょっぱいのは堅い腫瘍を潰せる。しょっぱいのは、腎臓に入る。)
この理論、中医師はみんな知っています。しかし、腫瘍を小さくする時は、牡蛎を使うのを忘れています。
この人の腫瘍は、全て筋肉の間にできている。常識的でも分かりますが、人の汗はしょっぱい。だから、私はしょっぱい牡蛎で腫瘍を潰そうとしてるのです。しかも、軽い量では足りない。
傷寒論の処方を使う医師は、必ず正しい理論の指導が必要です。貴方はこの生薬が必要だと判断した時、軽い量から試して見ようなんか思ってはいけない。症状が軽くならなかったら、貴方はきっと処方箋が間違っていると判断する。そうすると、病気は永遠に治りません。
彼の病気は、7年も続いています。
つまり、この7年は彼の役に立つ先生がいなかった。
今日、私に出会ったのです。今日出した6種類の生薬で組み合わせた漢方。みんな大量。一発勝負の攻撃でどうなるか、私は最初から知っています。
漢方が症状に合うとき、漢方薬を飲んだ後によく出るのがめまいと無気力感。夜中にお腹が空きすぎて、冷蔵庫を開けて食べ物を探すなどの好転反応が現れます。
アルコル依存症と高血圧症は1週間の漢方薬で治り、両足のむくみも消えた
今日、72歳の男性患者が2回目の診察に来ました。先週は隣居に無理やり連れられて来ました。
主な病気と症状は、
- 高血圧
- 糖尿病
- 心臓病
- 両足が浮腫んでる
- 不眠症
- 便秘
- 倦怠感
- アルコル依存症
1週間の漢方薬を飲んで両足がむくみは治り、気力が回復。便通が良くなり、血圧も正常になりました。血糖値はまだ測ってない。
彼が言うのは、「何年ぶりによく眠れて、体重も4kg落ちました。もっと不思議なのは、今週は一滴もお酒が飲みたくないです。」
彼は隣居に1年くらい説得されてから来たそうです。
彼は中医学の治療効果がこんなに早い事に驚いてました。そして、なぜ自分のアルコル依存症が1週間で治ったか、不思議に思ってました。
私は笑って答えました。
「これは、我々の古典「黄帝内径」に書いてる生薬。2種類だけです。」
この処方、私は保留します。
西洋医学の製薬会社に漏れたら、また民衆の金を取るから。
毎月肺炎になり5年も苦しんだ奥さん、1日の漢方薬で治せる
今日、彼は奥さんも連れてきました。中医学の治療に自信があるからでしょう。奥さんの顔を見たら、酸素ポンプの管が通って、車椅子に座ってました。彼女が言うのは、肺炎で病院から退院したばかり。
この肺炎は、彼女を5年困らせたそうです。
ほぼ毎月肺炎になって、肺炎で救急搬送されたこともある。
奥さんの主な自覚症状は、
- 座ってしか寝れない
- 呼吸が非常に難しい
- 体力はほとんどない
私「食欲はどうですか?」
奥さん「とても良いです。」
彼女は肺の中に水が溜まっているから、ウィルスとばい菌の最適な育つ環境になっているので、いつでも肺炎になるわけです。
私は1回分の十棗湯しか処方してないです。
皆さんはきっと「十棗湯」ってどんな物か気になるでしょう。皆さんに教えます。「十棗湯」は肺水腫(肺の中にたまる水)を治す唯一の処方。
しかし、現在中国のほとんどの漢方医は使ってません。なぜなら、生薬の毒性が強いから怖くて使ってない。そして、処方箋を教える先生もいないからです。
十棗湯の組み合わせは甘遂,芫花,大戟。十個の棗を煮詰めた汁で飲む必要があります。棗の汁を飲まないと、胃がやられるから。
処方が適当な場合、1回飲むだけで4時間以内に肺の中の水を出す事ができます。しかも、二度と水が溜まって来ない。
しかし、一般の中医師はこの3つの生薬を見ると、閻魔でも見たように怖がって出せない。その結果は、一般の中医師が治療して、また西洋医学の治療にたらい回しされ、患者は死ぬ道しかありません。
彼女は今日私に出会ったのは、死ぬ運命ではなかったら。彼女の食欲がまだ残っているこの最後のチャンス、私が一撃必殺の生薬を出さないと、また一人の命がなくなります。
彼女がもし台湾にいたら、台湾の漢方医も同じ処方を使うと思います。しかし、アメリカでは私しかいないかも知れません。
患者は明日の朝飲みますが、私は飲んだ後の反応と結果をよく分かっています。
彼女はきっと激しい嘔吐と下痢のあと、肺の中の水は全部きれいに出て、仰向けで寝れるはず。そして、二度と肺炎になりません。
以下は「十棗湯」で肺の中に水がたまる肺水腫、心不全を治した例。どうぞご参考に。
(おわり)
倪海厦(ニハイシャ)先生(1954—2012)はアメリカの著名な中医学先生。漢方・鍼灸・風水・占いに精通した天才。「傷寒雑病論」をもとに様々な癌・指定難病を治し、LAST HOPE(最後の希望)だと患者さんに言われました。また、臨床治療を行いながら、たくさんの優秀な中医学先生を育成し、中医学伝授のために努めました。倪海厦(ニハイシャ)先生の生涯を紹介しますで詳しく書きましたので、よかったらご覧ください。
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